1992.06.21
家庭的なお気軽フレンチ
「オーパスナイン」玉川学園前
楽-1

小田急線玉川学園前駅を出てすぐ正面のビルにある、フレンチレストラン「オーパスナイン」は、小ぢんまりとした雰囲気の家庭的な店だ。厨房に2人程度、ホールはひとりで切り盛りしている。ビルの3階だが、小さな庭もあって、昼間は明るい陽光は差し込み気持ちがいい。フローリングの床とマットな色調の椅子・テーブルが気取らない雰囲気を演出しており、テーブルにはクロスを掛けず、レースのランチョンマットが敷かれ、それらがこの店のイメージにはぴったりだ。

料理はとても好調で、だれでも知っている素材を、確かな調理法でご馳走に変えてしまう。この日の昼コースはエスカルゴのコロッケ サラダ添え、ポークヒレ肉のグリエ、ワゴンデザートとコーヒーという内容で、1,800円というお値打ち価格。それにビシソワーズを追加ではさんでもらった。デザートはすべて手作りで、ワゴンから好きなものを2種類選んで盛り付けてもらう。少ない人数で大変だと思うが、盛り付けも丁寧で、温度もよい。

半オープンキッチンのような設えなので、入退店の時には厨房を覗き見ることが出来るが、その際必ず中から一声掛けてくれるのが嬉しい。サービス担当の人も、気取りのない人で、とりわけ気が利くわけではないが、なんとなく憎めないキャラクターで、和気あいあいとしたムードが出来上がる。食器はバラエティゆたかで楽しいもの。カトラリーはクリストフル、ワイングラスはリーデルだ。ハウスワインはカリフォルニア産のJFJクラシック。トイレも清潔。入口の扉がぎしぎしいうのは修繕して欲しい。

尚、エントランスにあるゲストブックに名前を登録すると、誕生月にコースが半額になるバースデーカードが送られてくる。この店では通常営業の他に、お菓子教室も開催されている。

1999.09.20
門前払いとその後
「オーパスナイン」玉川学園前
楽-1

最近、特にランチタイムは予約をして出掛けないと、満席で引き返さなければならないことが多い。2ヶ月前にも、昼下がりにふと立ち寄ってみたところ、イヤな思いをした経験がある。予約なしで扉を開け、「2名なんですけれど、平気ですか?」と声を掛けたところ、若い男性従業員が「どうぞ」と席に案内しようとした。

店の途中まで足を進めた頃になって、厨房にいる女性調理人が彼を呼び止め、大きなバッテンを手で指し示して、この後何かがあるからそこはダメだと言っている。それを見て、我々がなんだか悪いことをして咎められているような気分になってしまった。

結局、席を目の前にして追い出される結果になったのだが、オープンキッチン内のにいるその調理人は、厳しい表情をまったく変えることはなかった。こうしたケースの場合は、多少の遺憾を表現してくれてもよいのではないかと思う。

以来、あまりいい印象を持っていなかったのだが、たまたま近くに用事があったので、再度出向いてみることにした。今度は、きちんと予約をして。13時に行くと告げてあったのだが、時間より少し早く到着した。店内には2組の先客があるだけで、この日は珍しく閑散としていた。そのままほとんど入店はなく、終始落ち着いた雰囲気が保たれていた。

実際にはこれ以上混み合ったら、厨房もサービスも回らなかったかもしれない。サービスは外国人の女性がひとりで切り盛りしており、それなりに感じのよいサービスなのだが、プロのサービスと呼べる域ではない。また、外国人らしく、どことなく乱雑で角のあるサービススタイルだ。

昼のコースは今でも1,800円で用意されており、オードブル、メインディッシュ、デザート、パン、コーヒーが付く。また、スープをプラス600円で付けることが可能だ。メインディッシュは数種の中からチョイスすることができ、選択した料理によっては追加料金が必要になる。デザートも、以前と同じくワゴンから好みの2種を取り分けてもらうスタイルだ。氷菓はないが、ケーキ類やフルーツのコンポートなどは、安定した出来映えだ。

料理も好調で、南仏風の軽やかでエレガントな料理を、工夫を凝らした盛り付けで楽しむことができる。しかも手頃な価格と来れば、満足度は高い。尚、92年のレポートに登場したサービス人は、国際ボランティア活動に参加しているため、今は不在となっている。同じ料理でも、もてなす人間が変わると、ずいぶんと雰囲気が変わるものだ。それだけ、サービス人が料理の出来映えに与える影響が大きいということだろう。

Y.K