1992.09.01
ミモザ
シェラトングランデトーキョーベイホテル&タワーズ Tower Suite
哀-2

タワールームを通常料金の65,000円で予約したところ、いつも通りSCIの特典でスイートにアップグレードしてくれた。オープン当初43,000円だったタワールームも、値上げに次ぐ値上げを重ね、36平米の部屋としては、首都圏でもっとも高価な客室になってしまった。だから、アップグレードしてもらえないとなった場合、とても損をした気分になるだろう。

もちろん、サービス内容は極めて充実している。ラウンジの利用はもとより、バトラーのフルサービスに、スポーツクラブの無料利用など、至れり尽くせりだ。本格的なバトラーサービスは、都心でさえお目にかかれない洗練度だ。モーニングコールとほぼ同時に、チャイムが鳴り、バトラーが高価な器に入ったコーヒーを運んでくる。簡単なプレスなら、バトラーが無料でやってくれる。

今でも充実している感じられるが、オープン当初はもっと充実していた。アメニティはダンヒルの化粧品やプラスチックケース入りの歯ブラシセット、同じくケース入りの石鹸など、超高級品。ターンダウンと共にセットされるナイトキャップはコニャックやリキュールのミニボトル。ウェルカムドリンクはミモザだった。しかし、最近はことごとく低品質に格下げされている。値段は上がって、品質は下がる。これを顧客はどう見るか。行く末が心配だ。

以前は10階から12階までの3層の半分がタワーズだったが、今では10階が一般階になっている。一般階の客室の中には入ったことがないので違いは分からないが、エレベータホールや廊下、ドアのつくりにはかなりの差があるので、10階のタワーズ側のウイングにアサインされたゲストはラッキーだ。

このホテルではタワーズフロアにいる間は、快適が約束されているものの、一度ロビー周りに行くと、どんな非礼が待ち受けているか、注意が必要だ。特にシグマスポーツクラブの従業員は態度が悪い。ホテルの付帯施設だという認識が欠けているのか、ゲストに対する口の利き方が極めて横柄だ。まるで、小学校で先生が生徒に接するような感じ。

客室内に置かれていたギフトカタログに、タワーズで使用しているタオル類が、売店で販売されていると書かれていたので、購入しに行ってみると、「扱っていない」という。情報が矛盾しているので、マネージャーに確かめてみた。すると、チェックアウト時には、希望の枚数が用意されていた。

「サミット」での朝食

Towersに滞在中のゲストはメインダイニングでの朝食を無料で楽しめる。これがまたタダの朝食ではない(タダだけど)。メインディッシュがタマゴと肉や魚の本格的な料理6種からチョイスできるし、状態かよくおいしいカットフルーツや、新鮮な野菜のサラダなど、とても高品質のサイドディッシュが付く。ここまで高級志向で本格的なことをするのなら、ついでに言いたいのだが、せっかくの凝った料理にラウンダーポテトを添えるのはみっともないし、制服は汚れまくっているし、銀器は曇っているし、サービスのタイミングも悪い。トータルで高い評価が得られるよう改善して欲しい。部分的に極めて優れているゆえにとても残念。

1998年のコメント:ねずみのキャラクターで人気の公園に隣接したホテルは、週末ともなれば風船を持った子供ちゃんが走り回っているのが当たり前の光景になっていますが、このS字型ホテルの上層階に位置する特別階「TOWERS」は、かつて大人の雰囲気があって落ち着けるいい空間でした。そう、過去形です。上村素子さんという元フライトアテンダントのスーパーウーマンがマネージャーを務めている頃は本当にいいホテルでした。

バトラーサービスというに恥じない内容の高品位のサービスに、目の前の東京湾の眺め。それだけで他は何も要りません。オープン当時からサービス内容を試行錯誤し、客としては行くたびに内容が変わって戸惑ったのも事実ですが、よりよい満足を実現するためにアイデアを出し合っていたことがよく分かります。マネージャーがかわってから、一度だけ泊りに行きました。

でも、サービスも低下したし、何といっても覇気がなくなっていました。リーダーを失うとこーなっちゃうんだなといういい例を垣間見た気がします。程なくしてこのホテルから特別階「TOWERS」はなくなってしましました。ぼくと同じように感じたお客さんがあまりに多かったのかもしれません。

Y.K.