1992.09.26
秋のプティバカンス
寸座ビラ(浜名湖) Standard Room
楽-4

1泊2食付きで1名19,000円の「秋のプティバカンス」プランを利用して寸座ビラに2泊した。夏の面影をわずかに残した湖畔のリゾートは、人影も少なく時間がゆったりと流れ、思っていたよりもずっとリラックスすることができ、大満足のステイだった。建物も決して施設が充実しているわけでも、高級感が漂っているわけでもない。むしろ飾り気がなく、プリンスホテルのリゾートを彷彿とさせる部分もある。

いずれにしても、リゾートで何より大切なのは、リラックスした時間を過ごすことをどれだけサポートしてくれるかだ。寸座ビラでは、穏やかな湖水の表情と、広い空がゲストだけのもののように思える静かな環境が整っているし、サービスでのサポートも万全だ。客室は広く、大き目のベッドが2台入り、リビングスペースがゆったりしている。バルコニーにも十分なスペースがあり、遮るものが何もないので、陽光がさんさんと降り注ぎ、のんびりと風を感じながら遠くの景色を眺める時間は最高だった。

館内には売店とレストランの他、なんの付帯設備もないが、この景色と空気さえあれば、何も要らない。付近には名所が多くあるので、滞在中に外出すれば退屈することもないだろう。遠くに行かなくても、東京から車で数時間でこんなに開放的な気分に浸れるとは、いい発見をしたと思う。

1992.09.26
エピキュリアン料理
「メインダイニングルーム」寸座ビラ
楽-2

生け簀鮮魚マリネ オリーブ風味

姫栄螺香草焼き

季節野菜のスープ

帆立貝寸座風

牛フィレストロガノフ

季節サラダ

デザート盛り合わせ

コーヒー又は紅茶

リゾートホテルのサービスとしては、第一級だ。比較的年齢層の高いサービス人が多いので、安心感がある。しかし、この日は土曜日で家族連れが多く、レストランは混み合っていた。食事をスタートしてすぐ、近くの席で子供が走りまり始め迷惑だったので、席を移らせてもらわなければならなかった。

リゾートホテルで、子供の利用もいたしかたないのは理解できるが、こちらもせっかくの静かな夜を楽しみたいとドレスアップして出掛けてきているのに、遊園地よろしく走り回られては迷惑千万。子供は黙っていれば騒ぐのも無理ないのだから、それを保護する立場の親たちにはきちんと気遣ってもらいたいものだ。せっかくの食事が途中で席を移ったことで、流れがだいなしになってしまった。

料理は新鮮な素材とハーブをふんだんに使い、オリジナリティ溢れる感覚でさっぱりと仕上げている。想像していたよりもずっとよい料理が出ていた。唯一残念だったのは、デザートがプチケーキとフルーツの盛り合わせで、ティーラウンジで提供するような品だったことだ。せっかくの食事の締めくくりには、とどめをさすように、工夫を凝らした一皿であっと言わせてもらいたいと思うのは、期待し過ぎか・・・

3日目の朝食も、このメインダイニングで取った。月曜日の朝とあって、他にお客さんの姿はなく、われわれのためだけにこの店は営業していたようだ。それでも2名のサービス人を配し、気配りの行き届いたサービスでもてなしてくれた。ヨーグルト、サラダ、シリアル、ジュース、ベーカリー、卵料理と付け合わせ、フルーツ(葡萄と姫リンゴだった)、コーヒーという充実した内容の朝食だった。もちろん、白いテーブルクロスと布のナプキンがセットされていた。

1992.09.28
湖のハシゴ
「イル・ミラジオ」箱根ホテル
哀-1

浜名湖から芦ノ湖へとハシゴをし、新しくなった箱根ホテルのダイニングルームでランチを楽しむことにした。新しい箱根ホテルは斬新なモダン建築で、ホテル全体にスタイリッシュな雰囲気が漂っている。ロビー階は2階で、そこから斜めの階段を降りると、レストランのフロアに出る。レストランの前には芝生を敷き詰めた中庭とテラスがあり、その向こうには芦ノ湖が広がっていて壮快な眺めだ。

レストランは和・洋・鉄板焼とあるが、すべてエントランスは一個所に集約されていて、中でセクションが分かれているという構造になっている。一番手前のセクションがイタリア料理を中心としたコンチネンタル料理を提供する「イル・ミラジオ」だ。アーチ状の高い天井と大きな窓にモダンなデザインの家具がユニークで、背後にはカウンターバーとワインセラが見える。空間的には非常におもしろいのだが、それに比して料理にはガッカリした。

朝食を食べたばかりだったので、ちょっと控えめに5,000円のコースを注文したが、その内容は、タコのマリネ、トマト風味の辛しスパゲッティ、仔羊のバルサミコ風味、アイスクリーム、コーヒーという構成だった。ひとつひとつの料理にインパクトがないばかりか、盛り付けにも注意が払われている様子がなく、これでは、せいぜい2,800円程度の実力しか感じられない。デザートのアイスクリームというのも5,000円のコースの締めくくりにはまったく物足りない。

サービスに関しても、冷淡で気が利かず、高邁な態度を崩すことはなかった。歴史と誇りがあることには敬意を払うが、なにもそこまで天狗にならなくとも・・・というのが正直な感想だった。授業料としては高く付いたと思う。

Y.K.