1993.03.30
大輪田
ポートピアホテル Deluxe Suite
哀-2

ぼくはこのホテルのロビーが好きだ。二層吹き抜けの高い天井にステンドグラスと鏡、静かな噴水とせせらぎのある広々としたロビーラウンジ「大輪田」は、無料で利用できるスペースとして開放されている。雰囲気も然ることながら、このロビー独特の“香り”が何ともいえず心地よい。客室はオーソドックスで、オークラやシェラトンがオープンした今となっては、設備的に少々物足りない感じだが、滞在中のゲストとしてこのロビーの雰囲気を味わえるだけでも魅力的だ。ただ食事に来た時と、滞在中とでは、まったくくつろぎ度が違う。

このホテルは本館と新しくできた南館があるが、ぼくはむしろ古い本館の方が落ち着ける。今回は南館のスイートを利用したが、本館のスタンダードルームの方が、開業当時からの思い出につながって心地よく過ごせる。この部屋は南館の先端部に位置し、かつては非常にワイドな半円形の窓からパノラミックな海の景色を望めたが、今では半埋め立て状態の、むき出しの土が視界を覆い、工事現場を見ているようでありがたみがない。リビングにはソファセットとダイニングセットのほかオーディオ設備があるが、全体的にガランとした印象で、おもしろい仕掛けがなく物足りなさを感じる。

ベッドルームに行く途中にキッチンが備えてあり簡単な調理もできそうだが、冷蔵庫以外利用しなかった。ミニバーは無料だった。ベッドルームは南館の一般的な客室と同じサイズで、内装がややグレードアップしている程度。バスルームは、一般的な客室では入り口になっているスペースに、ドレッサーとベイシンを設けているが、バスルーム内は同じサイズ、同じ設備でガッカリだ。100,000円もする部屋なのだから、せめてバスルーム内はビニールでなく、石張りにして欲しい。

アメニティは多少豊富になっているのだろうが、珍しいものはなかった。インテリアのテイストも、最新のホテルに比べるとテーマが曖昧で、トータルのコーディネイトが半端だから、あまり好きになれない。この程度なら50,000円くらいが妥当だと思う。因みに、このスイートのリビング部分だけのスペースを持つデラックスツインルームがあるが、なぜか通称「ハナコルーム」と呼ばれているらしい。なぜだろう。

夜になって、車で六甲山にドライブに行った。山頂は震えるほど寒かったが、空気が澄んでいて大阪方面に開けた夜景が、それはそれは見事だった。

朝食は本館30階スカイラウンジ「プレンデトワール」に出掛けた。一番乗りができず、開店30分後に行ったら、もう行列。「すぐにご案内できます。」といわれたのでそのまま待っていたが、結局15分待たされた。席についてからも、コーヒーをなかなか持ってきてくれないし、なにか頼みごとをしても無愛想で、ガッカリした。しかし、従業員も従業員なら客も客。こう言っては悪いが、客層が悪すぎる。ブッフェカウンターは散らかり放題だし、一皿に目いっぱい盛りつけるから、運びながらこぼしたりしている。子供が一度つかんだパンをまた元のカゴに戻すところを目撃したので注意すると、逆に親からにらまれた。

1993.03.30
シーサイド
「イエスタディ」朝霧
楽-2

神戸から国道2号線を明石方面に向かうと、須磨のあたりから海沿いに出る。そこから明石の手前まではずっと海沿いで、多くのレストランやバーが点在していおり、いつも若者で賑わっている。「イエスタディ」は最も明石よりにあり、周囲は静かで雰囲気のいい店だ。すかいらーくの直営店だが、メニューもサービスもはるかに洗練されている。

しかし、かつては今よりもはるかに本格的なレストランだったので、以前を知っていると見劣りがする。好きな大きさにカットしてもらえるケーキ、デザートやステーキのフランベサービスなど、演出効果の大きな商品がたくさんあり、珍しい材料の料理や、各国の料理をいち早く紹介する旬の店だった。価格も良心的で、若者のデートでも十分利用でき、お値打ち感があった。

また、数あるイエスタディの中でもこの店はロケーションが素晴らしい。シーリングファンがゆっくりとまわるテラス席の大きな窓からは、明石海峡と淡路島が一望でき、刻々と変わる海の表情を間近に眺めながらの食事を楽しめる。近く明石海峡大橋が完成すれば、絶好のビューポイントになるだろう。

Y.K.