1993.04.22
朝食40分待ち
オールディダイニング「アンシャンテ」第一ホテル東京
怒-3

長い間親しまれてきた新橋第一ホテルをスクラップ&ビルドして生まれた第一ホテル東京。今までのビジネスホテルのから高級シティホテルに華麗なる変貌を遂げたオープン間もないこのホテルに、朝食を食べに出掛けてみた。高級ホテルの実力は、朝食にもっとも顕著に表れる。朝食で満足できれば、宿泊でも満足できることが多い。

心機一転の再スタートで従業員一同やる気満々だろうから、帝国ホテルと肩を並べる好立地で、どこまで健闘できるのか、非常に興味があった。第一ホテル東京ベイをリージェントから引き継ぐ時に得た、高級ホテル運営のノウハウがどこまで活かせるのか、また、今までのビジネスホテルライクな仕事っぷりからきちんと区切りをつけられるのか、その成果次第で今後の第一ホテルのあり方が変わるといっても過言ではないだろう。

朝食は2階オールディダイニング「アンシャンテ」で提供している。店は比較的空いており、すぐに席につきメニューを眺めると同時に店内の様子をうかがってみた。バーガンディーを基調としたクラシカルで落ち着いた内装に、濃い色の位置皿と真っ白なクロスが映えている。オールディダイニングというよりも、メインダイニングと言う方が相応しい内装は、新しいだけあって清潔な印象だ。

客層はひとりで来ている年配の男性がほとんどだし、従業員は新橋第一ホテル時代そのままの顔ぶれだから、設えだけ新しくなっても空気は以前と何一つ変わっていない。むしろ新しくなって勝手がわからなくなった様子で、仕事がしにくそうだった。

メニューには3種のセットメニューの他に豊富なアラカルトが用意されている。セットは、コンチネンタル2,000円、アメリカン2,800円、そしてステーキなどが付くアンシャンテブレックファスト3,800円がある。超高級ホテルの値段設定だ。ぼくは、コンチネンタルブレックファストとフロマージュサラダを注文した。とりあえずジュースとコーヒーは出てきたが、肝心のパンやサラダが出てくるまでに40分を要した。

にもかかわらず、「お待たせしました」とか「申し訳ございませんでした」という言葉はまったくなく、何事もなくスムースに提供した時と何ら変わりない態度だった。この一件の原因は、開業早々の混乱ではなく、意識の低さだと感じさせるものがあった。せっかくの新しい設備も、古い体質のサービスに埋もれてしまうような気がする。無理に高級志向にせず、ビジネス特化型にして今までの経験を活かした方がよかったかもしれない。先が思いやられる。

Y.K.