1993.11.24
キャビアとシャンパン
フランス料理「パビヨンダルティニー」
哀-2

フランスの名門「シャトーダルティニー」と提携したフレンチレストランと聞けば、日本の感覚だけではなしえないフランスのエスプリを強く印象付けてくれる店だろうと、高い期待を抱く。ダイニングを充実させる舞浜のホテル群の中でも、差別化を図ろうとの意欲がうかがえる。

店はホテルの最上階。といっても12階だが、海に面しており、見事な眺めを楽しめる。予約した時間に到着したが、案内が滞った。どうも手順が悪く、スタッフ同士で破たんしているようにも見えた。白髪まじりのベテラン係に案内された席は、奥まった海の見えない場所。少し残念だが、それなりに席が埋まっているので仕方がない。

朝食を食べて間もないし、ゆっくりと腰をすえて話をするために設けた席なので、料理はあせらずにゆっくりと選ぶつもりでいた。ツンとした風体でメニューを差し出そうとする係に「とりあえず、キャビアとシャンパンを適当に」と注文したが、最初は戸惑い、すぐさま「キャビアはありますが、ご用意するのに時間が・・・」という返答。スマートさに欠ける対応は、明らかにこうした流れに慣れていない様子を物語っていた。

しばらくシャンパンで喉を潤していると、キャビアが運ばれてきたが、添えられた薬味が付け焼刃で用意した印象だった。キャビアそのものは、瓶から移すだけなので、だれでもできる。これでは期待はできないと判断したので、観光地の気取った店という見方に改め、オーソドックスな料理を注文し、会話に集中することにした。せっかく相手をきちんともてなそうとしたのだが、この店では役不足だった。

Y.K.