1994.01.17
通りすがりの発見
「グリリアマヤ」緑園都市
喜-3

車で仕事から戻る道すがら、おなかが空いて、近くにあった雰囲気の良さそうなレストランに飛び込んでみた。緑園都市といえば新しい住宅地で、まだ歴史も浅く、きちんとした店があるとはついぞ思っていないから、この店も喫茶店を豪華版にした程度だろうと思って入った。

駐車場がどこだかわからなかったので、店の目の前に路上駐車して、エントランスを入ると、蝶ネクタイの給仕がにこやかに出迎えるではないか。この時点で失敗したと思った。この店は予約をしてくるべき店だ。しかし、出迎えひとつでそれを痛いほど伝えられるというのは、サービス人の腕だろう。この時ぼくはマネージャーと二人で、どちらも軽装だったこともあり、「食事をしようと思ったのですが、こんな格好ですから、また出直してきますね」といって帰ろうとすると「せっかくですからどうぞ」と招き入れてくれた。

店内は軽やかで陽気なインテリアだが、抑えた照明が雰囲気を醸し出している。メニューにはコース料理の他にアラカルトも豊富にあり、メニューを見てはじめてここがリストランテであることがわかった。オススメの4,000円のコースとバローロをひと瓶注文した。サービスはとても洗練されており、控えめながらよく気がつく。ただ、お客さんも少ないせいかいまひとつ活気がなく、もう少しはつらつとした明るさが伴なえば、より楽しい食事を演出できるだろう。

料理はとてもよい仕上がりで、一皿ごとに思いを込めて作っている料理人の様子が目に浮かぶ。また、自家製のパンがとてもおいしく、いくらでも進んでしまうほどだった。デザートはワゴンから選ぶようになっているが、ぼくのマネージャーはいつものグランメゾンのノリで数種類選択しようとすると、一種類のみだと断られてしまった。最後のコーヒーも薫り高く満足のゆく食事ができた。思わぬところに思わぬ名店を発見し、うれしい気分。もう少し駐車場をわかりやすくすると、より入りやすい。

1999年のコメント:また機会があればぜひとも訪れたいと思っている店ですが、この日以来再訪のチャンスに恵まれません。このご時勢ですから、今なお営業しているのかどうか心配です。リーズナブルにおいしいものを食べられて、しかも雰囲気がいい。これからはこういうお店こそが元気になってほしいですね。

Y.K.