1994.09.25
コンテンポラリーデザイン
ハイアット・リージェンシー・オーサカ Regency Club Deluxe Room
喜-2

今年6月にオープンしたばかりのハイアットリージェンシーを目指し、新今宮駅かたタクシーに乗った。湾岸の見慣れない街並みには、太く整備された交通量の少ない道路が縦横に走り、これは暴走族にはたまらなく魅力的な場所だろうと思った。そんなあまり人の寄り付きそうもない地区に、突如近代的な開発が進行中の地域が現れる。整備が済めば、エキサイティングなスポットになるのだろうが、現在のところはコンテナを積んだトラックが最も似合うような、殺伐とした未開の地区だ。

そんな環境に、ハイアットリージェンシーとしては非常に豪勢なホテルが誕生した。立派なアプローチから車寄せに入り正面玄関を抜けると、グリーンの大理石をふだんに使った、圧倒的なスケールのロビーが待ち受ける。地階へと続く階段も大理石でできており、そのシェイプは実にエレガントだ。高い天井を生かしたロビーラウンジや、それを見渡す位置にあるフロントなど、規模もクオリティもグランドハイアットクラスに見える。

係にリージェンシークラブを予約している旨を告げると、フロントには立ち寄らず、長い廊下を進んだ先にある洒落たエレベータホールから、高層階のリージェンシークラブレセプションに直接案内された。

レセプションにはふたつのデスクがあり、それぞれに係が座って待機し、チェックイン・アウトの他、滞在中の用件を集中して受けている。アームチェアに座ってチェックインを済ませ、部屋に向かう前にラウンジで一服した。

ラウンジはゆったりとしたソファを中心に、くつろいだ雰囲気に設えられている。奥にはミーティングルームも備える。夕方のカクテルアワーには、贅沢なオードブルに加え、一口ステーキなどの軽い食事になる料理まで並ぶ。サービスはいささか不慣れながら、よく動いていた。朝食もこのラウンジでとることができ、豊富なフルーツやコールドミート、サラダなど、品数も多かった。パンの味が素晴らしい。

40平米のデラックスルームは非常にコンテンポラリーなデザインに仕上がっている。パークハイアット同様にブラックをベースに渋い色調でコーディネートしたが、こちらの方が一層すっきりしておりクールな印象。ベッドメイクは白いデュベカバーをかけて仕上げた。ベッドと反対の壁に設えたユニットは、ワイドな一枚ガラス板を天板にし、ドレッサー、テレビ台など、物を載せる台として効果的なアクセントになっている。窓際にはデスクを兼ねたダイニングテーブルに、ソファの役も果たすアームチェア2脚が対面して添えられている。

バスルームはタイル張りで質感は高くないが、シャワーブースを持ち、ガラスの飾り棚を設けるなど、よくできている。極めて厚手のタオルや、ずっしりとしたバスローブも印象的だった。アメニティはまるでアソートチョコレートが入っているかのようなボックスにまとめられている。

全体にシックで垢抜けた客室だが、清掃状態はよくなかった。この手のインテリアはメンテナンスの力を抜くと、とたんに見劣りするようになってしまうだろう。傷も目立つし、薄汚れれば部屋を暗く見せる。シックさが際立つのは、ハイライトがあってこそだ。

Y.K.