1995.03.02
偉そうな態度
ウェスティンホテル東京 Executive Club Room
怒-1

恵比寿ガーデンプレイス内にオープンしただけあって、開業後しばらくは見物客でごった返していた。ほとんどがホテルを利用するにしてはラフな服装で、テーマパークとでも思われているような雰囲気だった。ベッドが2台入った部屋をツインと呼ばずダブルダブルと呼ぶとか、12時チェックイン13時チェックアウトの25時間ステイを実現するだの、そんなこと長続きするわけがないと思うようなことを大々的に宣伝していたが、案の定さっさと断念してしまった。オープン時も最初のゲストを山田五十鈴さんにお願いするというパフォーマンスまで見せてくれ、このホテルに対する世間の関心を引き寄せる点では成功を収めている。

今回の滞在も客室は広く快適だったが、サービスに関しては完全に不合格だった。とてもとても高級ホテルのサービスとして認めるわけにはいかない。館内の手入れは、ゲストの数を考えれば非常に良く行き届いている。特にパブリックスペースは素晴らしい。また、客室内の家具調度もセンスが良く気に入った。

標準でも42平米の広さを持つ客室は、パブリックスペース同様、濃い色調のインテリアでまとめられ、大きな窓と装飾的なドレープが目を引く。ベッドはセミダブルサイズで寝具はとても心地よい。室内はとても静かで周囲の音はほとんど気にならない。

バスルームは床とベイシンの天板だけが石張りで、シャワーブースも設置されているが、バスタブはやや浅く感じる。バスローブはワッフルのものも用意されているのがユニークだが、バスルームのドアにハンガーで無理に掛けてあるので、不注意に床に落とせばハンガーが割れてしまいそう。アメニティーは不安定な形のボトルに入っているが、シャワーブースの棚が水はけを考慮してすこし曲面になっているので、そこに置こうとしてもすぐにひっくり返って落下してしまう。こまごまとしたアメニティはグリーンの洒落たポーチに収められていて、宿泊の記念に丁度いい。

このように施設としては文句無しに第一級のものが完成したが、サービスがそれに追いついていない。実力としては未完成だというよりも、方向性を間違っているような印象を受けた。ゲストのために心を尽くすというよりも、自分たちの優れたマニュアルを誇示しているような場面に数多く出くわしたし、些細なところで従業員の心の底を見透かせるような出来事が多く、非常に残念だ。

1999年のコメント:不安定なアメニティボトルですが、その後シャワーブース内にそれ専用のホルダーが設置されました。でも、配水管に使うようなグレーのビニール素材でとってもチープだったので、かえって雰囲気を損ねていたように思います。その上、角が鋭いので、シャワーを浴びている時に背中でこすってミミズバレになったりするんです。最近はアメニティそのものが変わり、座りのいいボトルになったので、そのホルダーは取り外されました。グリーンのポーチも初期の頃とは素材が変わって安っぽくなりましたし、中味も品質が低下しました。

Y.K.