1995.04.15
メガホテル
新高輪プリンスホテル Standard Room
哀-2

新高輪プリンスホテルといえば、まず思い出すのが大宴会場「飛天」だ。井上靖氏が命名したという国際館「パミール」が加わり、このホテルはますますコンベンションホテルの様相を色濃くした。宿泊客は、国際色豊かで、特にアジアからのお客が目立っている。日本人のビジネス需要もなかなか高いようだが、ラックレートで宿泊しているゲストはまずいないだろう。

このホテルは何から何まで中途半端でよくわからない。プリンスホテル自体、不思議で独自のホテルビジネスを展開しているが、このスタイルが受け入れられるのも、日本ならではではないだろうか。村野藤吾氏設計による溜息の出るような素晴らしい建築美を堪能できる部分があるかと思えば、リノリウム張りの階段やチープなエレベータなど、今時学校だってもっと立派だと思うような部分もある。

ロビーラウンジは他に類を見ないようなゆったりとした座席配置を実現しているが、そうかと思えば街場のレストランより窮屈だったり不潔だったりするレストランがある。素晴らしい部分と、とんでもない部分が混在した、なんとも複雑で理解が難しいホテルだ。

スタンダードルームは30平米にやや欠ける程度の広さで、ユニークなのは入口ドアの前に、ちょっとした門があることだ。室内は改装して間もないが、ロココ調の椅子、派手な花柄のベッドスプレッド、シャンデリア、丸い鏡のドレッサー、小さなテレビが収まった小さなアーモアがあり、ちぐはぐなインテリアで滑稽だ。ただ、バルコニーがあるので、都心には貴重な緑たっぷりの庭園を間近に望むことができてよい。

バスルームは独特の配置で、細長い印象だった。防音がしっかりしていないので、廊下の音のみならず、近隣の客室の騒音が気になった。チェックイン時もチェックアウト時も、廊下は客室係のおばさんに占拠され、ワゴンや掃除機をよけて歩くのが大変だった。サービスはあってないようなものだが、そもそも期待をしていないので不愉快に感じることもなかった。割り切って利用すれば、立地的にも使い勝手のいいホテルだといえるかもしれない。

1995.04.15
メガレストラン
「トップ・オブ・シナガワ」品川プリンスホテル
楽-1

午後4時過ぎに心持ちお腹が空いたので、品川プリンスホテル新館の最上階39階にある「トップ・オブ・シナガワ」のデザートブッフェを利用してみた。昼下がりだというのに相変わらず館内はどこも多くの人で賑わっており、エレベータを待っていてもなかなかやってこないので、少々イライラする。

やっとの思いで到着した39階には建物全体の床面積を使った巨大空間がある。ロの字状にバー・ラウンジ「トップ・オブ・シナガワ」が取り囲み、中心の一段高くなった部分がレストラン「プリンスコート」になっている。天井を高く取り、壁ぎりぎりまでワイドな窓に当て、非常にダイナミックなパノラマが広がっている。

店内は幾つかの雰囲気が違うセクションに分かれていて、普段は希望によって案内されるのかもしれないが、デザートブッフェだったからか、あるいは混み合っていたからか、希望は尋ねられずに「V.I.P.ルーム」と名付けられた個室を開放したセクションに案内された。このセクションは天井が高くないので、ホール空間に比べて圧迫感があるが、窓際の席からは夕方の刻々と表情を変えていく景色が眺められて楽しかった。眺めを楽しむのなら、「イーストラウンジ」というセクションの1段低くなった窓際のブース席が良さそうだ。また、天井は低いが「サウスバー」のカウンター越しに見る夜景も見事そうだった。

「ノースバー」は一層落ち着いた雰囲気だった。デザートブッフェにはケーキ類、フルーツ、サンドイッチなどが多彩に用意されていたが、カウンターに群がるお客さんたちが、ターナーやフォークをへたに使うので、ぐちゃぐちゃになってしまい、あまり食欲をそそらなかった。肝心な食べ物よりも、景観に心を奪われて過ごした。

Y.K.