1996.01.15
MARRIAGE
銀座東武ホテル Standard Room
喜-2

このホテルで催される友人の結婚披露宴に合わせて1泊した。ほとんど寝るだけだと踏んで、一番手軽な宿泊プランで申し込んだ。このホテルは駐車場が公営の駐車場と共同のため、休日は満車になることが多い。また、ホテルの裏手からリフトで運転手ごと地下に降ろすので、時間と手間が掛かり好きになれない。この日は、満車の標示が出ていたが、宿泊であることを申し出るとスムースに停めることができた。

ホテル自体とても小ぢんまりとしていて、ロビーやフロントもそれに似合った大きさをしている。ロビー中央に地下に降りる階段とシャンデリアをうまく配置しているので、実際の広さよりもゆとりを感じる。客室へのエレベータは2基で、客室数に対し不足していると思うがいまさら仕方がない。宴会場やレストランへのアクセスは他に確保しているので、宿泊専用と考えてもいいだろう。

客室階の廊下はちょうど客室清掃のピークで、各客室の扉は開け放たれており、使用済みのタオルのカゴやアメニティーを乗せたワゴンなどで廊下が埋め尽くされ、足の踏み場もないような状態。正月早々にして大晦日の大掃除に紛れ込んでしまったかのような気分だった。客室に入ってからも廊下の喧燥はしばらく続いた。

客室内は天井が低いこともあって、やや窮屈に感じる。28平米程度だろうか。質のいいファニチャーや電話機などには思い入れが感じられ、国際水準のホテルであることを窺わせている。バスルームはオーソドックスな造りながら、ベイシンの両脇に棚があり、細々としたものを整理できて便利だ。アメニティにはヘチマのボディスポンジが用意されているのがユニーク。窓からの眺めはさすがにたいしたことはない。建物も低いし、周囲にも同程度の高さのビルがひしめいているから、仕方がない。

披露宴は3階にある宴会場「龍田」で開かれた。この部屋はぼくが20代になって間もない頃にディナーコンサートを開いた部屋なので、深い思い出がある。その部屋で友人が嫁いで行くのを見守ることができ、感激もひとしおだった。記念に作曲した世界で唯一、二人きりのための結婚行進曲と、幸せを祈って作ったあたたかい感じの曲を献呈演奏した。

披露宴が終わってからバー「光琳」へ行った。黒を基調としたシックな空間で、グランドピアノが置かれていて、外国人女性による生演奏や弾き語りがある。サービスも洗練されていて、快適に過ごせるバーだ。

コーヒーショップ「フィオーレ」はかつて24時間営業しているありがたい店だったが、だんだんと閉店時間が早くなってきている。昼夜を問わずブッフェカウンターにはサラダやオードブルとデザートが色とりどりに並んでいたが、最近はめっきり品数が減って寂しい。布のナプキンも紙になってしまった。こうも簡略化されても値段は変わらないので、マイナスイメージが重なり、知らず知らずのうちに足が遠のいてしまう。これはホテルにとってもゲストにとっても不幸な出来事のはずだ。何とかならないものだろうか?

ロビー脇のラウンジ「オアシス」に出掛けた時、店内はとても混み合っていた。2名だったので最初は狭い席に案内された。別にその席でまったく不自由なかったのだが、気を遣ってくれたのか、広い席が空いたら、そちらを改めて勧めてくれた。その時のニュアンスも含めて、気持ちの通じるあたたかい配慮だと感じた。

Y.K.