1996.09.24
環境音楽
第一ホテル東京シーフォート Standard Room
楽-2

モノレールで羽田空港と浜松町の間にある天王洲アイルの一角に位置する第一ホテル東京シーフォートは、レジデンスの上層部が客室になっており、客室数を抑えた小さなホテルだ。

客室は30平米と決して広くはないし、とりわけ個性的な造りをしているでもないのに、不思議と居心地は良い。入口とは別にベッドルームに入るところに扉があることで、空間にプライベート感覚が生まれるのかもしれない。寝具は羽毛布団を使用しているので心地よい。窓に近いところに三面鏡の付いたドレッサーがあり、女性には便利だろう。

バスルームにはシャワーブースはないが、アメニティーはやや充実している。石鹸、シャンプー類はミラショーンで香りが良い。また、ミニバーのミニボトル以外のものは無料になっている。開業当時は豊富に用意されたミニボトルも無料にしていたが、さすがにそれは止めたようだ。

このホテルのもう一つの特徴は、客室数に比べると1階のレストランの規模が大きいことだ。3層吹き抜けで12メートルの天井高を誇るダイナミックな空間があり、オールデイダイニングとして機能している。一段上がったところにバーコーナーもあるが、ゲストがいるのを見たことはない。

この開放的な空間には個性的な環境音楽が流れている。その効果は高く、たっぷりと注ぐ自然光と共に、気分をリラックスさせてくれる。ホテルのBGMといえば、スクリーンムード音楽の有線チャンネルが定番だが、それではあまりに芸がなさすぎる。まぁ、下手な生演奏よりは有線の方がまだ安心だが、このホテルのように積極的に新しいジャンルの音楽を取り入れているのは評価できる。また、最近は音楽を流さないでゲストのざわめきを適度に効果音としているホテルもあり、それはそれでいい感じだ。

フロントで切手を買おうとカウンターに立ったら、「ご宿泊のお客さまですか?」と怪訝そうに尋ねられた。そうだと答えると、キーカードを見せろという。ご希望通りにしたが、なぜそうむきになって尋問まがいなことをするのか理解に苦しんだ。宿泊客にしか切手を売ってはいけない規則なのかもしれないが、そこまで宿泊していないお客さんを排他することもないように感じた。切手の一枚くらいにこやかに売ってくれれば、その時の印象の良さが次につながるかもしれないのに。

Y.K.