1996.12.01
オールドファッションスタイルが懐かしい
「イエスタディ」鶴見中央
哀-5

「イエスタディ」といえば、80年代にオールドファッションスタイルカジュアルレストランとしてチェーン展開し、一時はあちこちで「イエスタディ」ならではの雰囲気を味わうことができたが、店舗が多くなるに連れて、サービスや品質にばらつきが見え始めただけでなく、セントラルキッチンで半ば出来上がったような製品を、各店舗で素人が調理して提供するようになり、どんどん魅力が薄れていってしまった。

ぼくが高校生のころは、ジーンズや巻きスカートにTシャツ姿の従業員たちが、かっこよく振る舞い、オトナの雰囲気を感じさせてくれる店として、デートなどでもよく利用していた。「ディクショナリー」と名付けられた分厚いバインダーのメニューや、重たい真鍮製のクロークタグにも味があり、店によっては生演奏が楽しめた。凝った料理などもメニューにあり、それらは料理人の手によるしっかりした料理だった。

それがいつのまにか、味わいのあるオールドファッションから、コンチネンタル料理を気取った、こぎれいな店に雰囲気を変えてしまい、サービスも高校生のアルバイトに任せるような体質になって、それを残念に思っていると、程なくして今度はメニューまでファミレスと大差ない安っぽいものになってしまった。

こうして「イエスタデイ」はどんどんレベルダウンしながら客の支持を失い、とうとう母体のすかいらーくにも見捨てられ、その名を消すことになるところだった。この度鶴見に新規開店した「イエスタディ」は、その最後の生き残りを賭けて、新たなスタイルに挑戦してオープンさせた店で、すかいらーくの新兵器となるはずだった。

はやりのニューヨークスタイルを導入し、シンプルでスタイリッシュな料理をオープンキッチンから提供するカタチをとっている。店内はバールとダイニングに分かれ、バールでは軽食やつまみとアルコールドリンクを、ダイニングではコース料理とワインを楽しむというコンセプトだ。

ダイニングでは前菜、主菜、デザート、コーヒーで3,200円のプリフィクススタイルで、それぞれ数種の中から選択することで、好みのコースを仕立てる。実際にこのコースを食べてみて本当にガッカリした。アイデアは確かに斬新かもしれないが、料理なんだからおいしくなければ勝負にはならないと思う。オープンキッチンからは、活気が伝わってくるのではなく、単なる罵声しか聞こえてこないので、落ち着いて食事ができない。

そしてガストとなんら変わらないレベルのサービス。インテリアはモダンというより、ディズニーランドがニューオリンズあたりを模したアトラクションをこしらえたら、こんな内装になるのかなという感じだった。どれも、アメリカ帰りの副社長のアイデアだそうだ。すべてがお粗末だった。

Y.K.