1998.05.08
新任シェフお手並み拝見
「アジュール」ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル
怒-3

ホテルのレストランは今や、堂々と結婚披露宴会場になってしまっている。前日もこのホテルはフレンチレストラン、中国料理レストランが貸し切り営業。やっているはずのレストランがこの状態では、宿泊客としてはとても困ってしまう。急に接待をすることになっても、まともなものを振る舞えないのは本当に困ってしまうのだ。

とりあえず、ここのレストランはシェフがかわったと挨拶があったので、出かけてみることにした。館内のエレベータ内にこのレストランの案内が掲示してあって、ディナーは14,000円からとなっていた。結構な値段なんだなと思っていて、実際に店頭のメニュを見ると、8,000円からになっていた。安くなるのは悪いことではないが、14,000円取っていた時だってまさかボッタクってたわけじゃないだろうから、今の方が品質が落ちていると考えていいわけだ。

コース料理の価格はレストランのグレードを知るバロメータでもあろうから、価格帯を変更したのなら、館内の案内表示も同時に訂正しなくてはまずいだろう。3種類のコースメニュはどれも魅力に欠けていたので、アラカルトで注文をした。メニュは以前のオーセンティックなフレンチから、はやりのプロヴァンサルに大きく様変わりした構成だ。

メニュブックを開くとまずすごいことがいろいろと書いてある。よき時代の上流階級の食卓だのなんだのと、読んでいる方が顔を赤らめるような内容。注文を終えアミューズが運ばれてきて愕然とした。どう見ても披露宴の料理の余りにしか見えないオマール海老のかけらが皿にちょこんと乗っている。こんな干からびたオマールをアミューズにするなら出さない方がましだ。それに続く料理はなかなかだったが、最後のデセールはワゴンから出来合いのケーキを選ぶ以外になく、がっかり。そのケーキ類もフレンチレストランで提供するクオリティのものではない。せいぜい、ロビーラウンジがお似合いだ。

ワインは、コルトンシャルルマーニュの91年とシャトーラトゥールの91年。ラトゥールはさすがにうならせる素晴らしさだったが、一方のコルトンシャルルマーニュは世の中にはこんなコルトンシャルルマーニュもあるんだという勉強になった。全体的にはお粗末な感じ。

1998.10.15
英国まつり
「アジュール」ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル
楽-4

今年は「日本におけるフランス年」に絡んだイベントが目白押しで、ワインブームもあり注目を集めている。同時に「英国まつり」が各地で催されているものの、フランス年の影になって存在が薄い気がする。この程、横浜のホテルで英国まつりに因んだプロモーションがあるというので、食事に出かけた。

今年の5月以来の来店で、その時の心象は決して良くなかったが、今回は素晴らしかった。ロンドンのメイフェアホテルからシェフを招き、独創性の高い料理を手頃な価格で提供していた。ロンドンといえばご存知の通り旨いものなしのイメージだが、素材の生かし方といい、芸術的な盛り付けのセンスといい、日本にいることを忘れさせてくれるような出栄えで満足だった。

特にデザートはいつもなら閉口するようなものしか用意していないこの店にしては奇跡的な出来映えで、それに続く小菓子は伝統的なイギリスの菓子で、最後までわくわくする料理だった。プロモーション中とはいえ、これだけのことが出来るのだから、引き続きノウハウを活かしていってもらいたいものだ。

それにしても、お客が少ないのは気の毒だ。結局この日は4組にとどまり、接待風の男性グループを除いては、軽装の若い女性グループだった。今回も会員特典で1名分が無料になった。

Y.K.