1999.06.10
イタリアの館
リストランテ「アルベルゴバンブー」仙石原
楽-3

国道138号線の仙石原交差点とハイランドホテルの中間あたりにある細い路地を入っていくと、突然豪奢な洋館が目に飛び込んでくる。国道から逸れているので、静けさや雰囲気はこの上ないものだが、初めて訪れる場合には、国道沿いのささやかでかわいらしい標識を見落とさないように注意が必要だ。

レストランとしては、非常に手の込んだ建物で、オーナーの映画「ゴッドファーザー」のウエディングシーンを再現したかったという想いがひしひしと伝わってくる。特にインテリアに関しては吟味の限りを尽くし、目に入るもの全てに思いが込めらている。職人の技が息づいたものや、現地から取り寄せたものなど、まさにイタリアのパラッツォそのものだ。

見事な鉄格子の門を入り、階段を上がっていくと、重厚なエントランスがあり、それを押し開けると、レセプションになっている。にこやかに出迎えられ、2層吹き抜けになった大きな空間に、テーブルがゆとりを持って配置されたダイニングに案内される。店は閑散としており、十分なサービス人がいるが、この際椅子を引くようなサービスはしてくれない。

席につくとすぐにメニューが渡され、その日のスペシャリテの説明があり、メニューの検討に入る。食前酒を勧めるタイミングが少々遅めだが、喉を潤しながら食事の内容を決められるよう、もう少し早い段階で尋ねてもらえるとよかった。ディナーのメニューはプリフィックススタイルコースのみで、アラカルトはない。メイン料理が一品だと6,500円、魚・肉両方の場合は8,500円となり、メインディッシュの他、アンティパスト、パスタ料理、ドルチェ、コーヒーが付く。それぞれ7種類の料理から選択ができ、好みのコースを仕立てることができる。

一皿の分量は控えめなので、たっぷり食べたい時は、メイン二品の方がいいかもしれない。料理は値段の割に素晴らしいが、どちらかというとだれにでも抵抗なく受け入れられる普遍的な味で、際立った、目の覚めるような料理が好みの人には物足りないだろう。パンは自家製で、この日はオリーブの丸いパンとフォッカチャの2種が提供された。卓上には常に、サクッと香ばしいグリッシーニが用意されている。また、野菜類、魚介類にはとくに思い入れがあるようで、品質のよいものを使用しているようだった。

ワインリストはさほど充実しているとは言えないが、このご時勢にしては手頃な価格設定で、なかなか楽しい。欧文で書かれたリストの他に、カタカナで書かれた抜粋のリストも用意されている。サービスについては、館の構えから期待するほどではなく、不足はなかったものの少々疑問を感じる部分があった。

食前酒のスプマンテは冷えたシャンパングラスに注がれたが、ぼくは冷えたシャンパングラスは好きでない。泡立ちが悪くなるだけでなく、グラスの付いた結露は不純物になるからだ。また、アミューズで使用したシルバーを、アンティパストまで使いまわさなくてはならず、これには抵抗を感じた。卓上のフラワーアレンジは所々枯れて腐っていた。毎日新鮮な花をとは言わないが、せめて傷んだ花を毎日取り除くくらいの配慮は欲しいものだ。

予約の際の電話応対は丁寧で、案内も正確だった。オーナーの夢通りに、ウエディングでの利用が盛んだそうで、週末はほぼ貸し切りで埋まっている。出掛ける際は必ず電話を入れてからのほうがよさそうだ。レセプションに店のインテリアを紹介したパンフレットがあり、興味深く読ませてもらった。出向いた時には一部いただいて、実物と照らし合わせながら、由来を知るのも楽しいと思う。

1999.06.10
湖畔のやすらぎ
箱根ホテル Superior Room
楽-2

桟橋から

JTBのスプリングホテルプランを利用したところ、1泊朝食付きで2名1室ひとり9,000円という破格だった。ラックレートで25,000円のスーペリアルームは38平米で、22,000円のスタンダードルーム34平米と比べてバスルームにゆとりがあり、また、眺望的にも正面に湖を望むので3,000円の料金差は納得の行くものだと思う。

同じスーペリアルームでも天井高が4メートルある4階の客室にアサインされて、2,000円〜2,700円の朝食が付いてサ込み9,000円なのだからとてもオトクだ。客室の汚れは以前にも増して目立つようになったが、シーツや枕カバーは清潔だったので、湖を眺めながら快適に休むことができた。メンテナンスには無頓着でも、清掃は行き届いているようだ。

バスルームのアメニティはアイテムが少なくなってさみしいし、石鹸は15グラムととても小さくなってしまった。タオルは3サイズ用意されているものの、相当に使い古されて黒ずんでいる。とはいっても、バスローブや2種類のナイトウエアが用意されているなど、大盤振る舞いな一面もある。

温泉浴場は以前と同じく男女入れ替え制だが、以前はこまめに入れ替えが行われていたのに対し、現在では、男女それぞれ1日2回の入浴チャンスとなり、長湯派にはうれしい条件になった。電話機がライティングデスク、ベッドサイド、バスルームと3個所に設置されているので便利。

更に全室にビデオデッキと440チャンネルの有線放送の設備もある。今回のプランではビデオを一本無料貸出という特典があるはずだが、その説明は何もなかった。

ラウンジ&バー「イル・ラーゴ」

夕方にケーキセット1,000円を食べたのと、翌朝、庭にあるテラスでモーニングコーヒーを飲んだのとで都合2回利用した。2回とも感じのよいおばさんが一人で店をまわしており、大変そうだったが、そのお人柄のおかげで楽しく過ごすことができた。特にテラスでのコーヒーは湖を渡る風を感じながら、すがすがしい朝のひとときを満喫できてオススメだ。バータイムは22:30がラストオーダーのはずだが、閑散期は早く閉まる事が多いようだ。

日本料理「紫水」

朝食で利用した。朝食券で洋食を選ぶと、2,000円のアメリカンブレックファストか、同じく2,000円のパンケーキブレックファストからの選択となる。箱根ホテルには2,700円で提供している名物のスペシャルブレックファストがあり、トリュフ風味の卵料理が人気だそうだ。これらはルームサービスでも注文できるが、朝食券での利用はできない。ところが、和朝食は、御飯の定食とおかゆの定食、どちらも2,700円だが、朝食券利用ができるので、値段的にはこちらの方が得だ。

内容もなかなか充実しており、付近の旅館に負けていない。インテリアは洋食レストランとつながっているために、和洋折衷だが、サービスも快適なので居心地はよい。和紙風のパッケージにに個別包装されたちりめんじゃこがかわいらしい。「紫水」で和朝食を楽しみ、テラスでコーヒーをというのがオススメのコース。

客室から 客室内

Y.K.