2000.01.07
イメージチェンジ
「グリル メダリオン」京王プラザホテル
哀-5

1971年にオープンしたホテルのレストランらしく、薄暗くて重厚な雰囲気を持ったインテリアの店だったが、昨年の10月にリニュアルオープンをして大きくイメージを転換した。リニュアルといえば、一般的には内装に手を加えることが多いはずだが、この店ではそれほど予算は掛けられないと踏んだのか、内装はそのままに、メニューや従業員を一新することでイメージチェンジを図った。

以前のオーセンティックなグリルレストランを知っているだけに、この変化には落胆した。単価が下がり、気軽に利用できるようになったのは結構だが、はっきり言って安かろう悪かろう以外のなにものでもなかった。特にサービスがひどすぎる。いまどきファミリーレストランでさえもう少しマシなサービスができる。従業員同士で交わされている体育会系ノリの乱暴な言葉づかいや罵声が、客席に筒抜け(オープンキッチンなんだから当たり前)だし、卓上のグラスに水がなくなってから、のべ4名の従業員がテーブルに来たが、だれひとりそれに気付き注ぎ足すことはしなかった。

昼のセットのひとつにハンバーグステーキ1,500円というのがあり、ライスと味噌汁が付いていると書かれていた。それを注文すると「ライスかパン、どちらがよろしいですか?」と尋ねてくる。味噌汁が付くものにライスとパンを選択させるというのはダサすぎやしないだろうか。同じ選択をさせるのでも、よりスマートな尋ね方があると思うのだが。卓上に飾られた花は、すでにほとんどが枯れ落ち、茎が腐っている状態。それを何とも思わないというのも情けない話だ。昔ながらの店内に響き渡るクラブ風のミュージックも、あまり似つかわしく感じなかった。

2000.09.09
1部屋1太陽設計
京王プラザホテル 本館 Executive Deluxe Room
喜-2

仲良く並んだアームチェアと低めのテーブル

京王プラザにとって都庁ほど鼻に付く建物はないだろう。かつては富士山まで見渡す見事な眺望を誇っていたが、都庁落成後はまったくのビルビュー。窓を開ければ職員とこんにちは状態なのである。それよりは新宿駅側の方が視界は開けているものの、国学院大学が視界の一部をどうしても遮る。せっかくの高層ホテルがだいなしだが、それでも新宿駅側からなら都心方面の夜景をビルの狭間から望むことができ、比較的眺めはいいように思う。

今回利用したエグゼクティブフロアのデラックスルームも新宿駅側だった。チェックイン時に逆側がアサインされたらリクエストしてみようと思っていたが、たまたま運がよくてその必要がなかった。新宿駅側は東向きなので、午前中は日差しが入り込んで明るく気持ちがよいが、客室の温度はかなり高くなる。

京王プラザホテルの窓は、古いホテルにしてはとても大きく取られており、特に腰が低く造られているため眺望と採光に優れている。開業当時から「一部屋一太陽設計」と呼んで窓の大きさを強くアピールしていた。このデラックスルームは3枚分の窓が取れる幅があるにもかかわらず、ベッドサイド部分の窓を殺してしまっている。もしこの部分も窓だったら、かなり大きなセールスポイントになりそうなだけにもったいない。

風変わりだと思うことはなぜかスリッパが3種類も用意されていることで、持ち帰りのできるパイルスリッパ(白・赤・水色など色のバラエティあり)と、ビニールスリッパと、ちょっと立派そうな室内履きの3種類が並んでいる。CATVの館内案内や防災案内などがVOD方式で、いつでも最初から見れるのもおもしろい。

インテリアとしては木目が生かされている家具の色調はよいにしても、ファブリックの選択はやや流行から外れているようだ。しかもアームチェアなどは布の上からビニールのようなものでコーティングしてあり、汚れてもサッとひと拭きすればキレイになるのはよいとしても、肌触りはよくない。

客室面積は36平米で、天井の高さは240センチ。真四角に近い形なので無駄なく使えて狭さは感じない。ベッドは123×200センチが2台入り羽毛布団を使っている。ベッドサイドとライティングデスク両方に電話機が設置されているが、この客室にはPC用の別回線はなかった。

バスルームは3.52平米で天井は200センチと低く、決して広い印象はないが、大変明るく清潔感があって意外と快適。ベイシンの天板だけ石を使っており、壁は大理石柄の樹脂だ。トイレはウォシュレットで発信可能な電話が壁に用意されているがBGMを聞く装置はなかった。連泊の場合、初日はバスタブ内もキレイに清掃してあったが、ステイ清掃のあとはなんとなくいい加減な感じがした。カランやバスタブに汚れが残ったままだった。

ルームサービスは24時間営業しており、コーヒーは750円、クラブハウスサンドは1,800円。メインロビーに郵便局が臨時の出張所を開設しており、各種郵便の取扱や、さまざまな記念切手の販売などがあって大変便利だ。フロントで郵便物をお願いする場合、切手代の領収書をくれることはめったになく、目の前で切手を貼ってくれるケースも少ないので、本当に頼んだ通りに出しているのか不安がある。

このホテルではないが、過去何度となく速達で依頼し、速達料金を支払ったにもかかわらず普通郵便で配達されて来たことか、数え上げたらきりがないくらいだ。現在はインターネット経由で納品するようになったが、滞在中に締め切りに追われてやっと仕上がった作品を速達で納品していた時代には、随分と苦い経験をした。フロントとしても別に儲かる仕事ではないから、そんなことで責め立てられても迷惑なのかもしれないが、切手を貼る位置が反対だったり、曲がっていたりするだけでも、その宿泊客の顔にドロを塗ることになる。郵便物の扱いに関する基礎知識をしっかり勉強しておくことも、ゲストの信頼を得る上できっと役立つはずだ。

ベッドの寝心地はなかなかよい 勉強机のようなデスクは意外と使い勝手がよく、仕事がはかどるのでお気に入り

入口脇のドレッサー。場所はイマイチだが、照明は工夫されて明るい 必要アイテムをおさえたアメニティ

「樹林」

なにしろ水がまずい。浄水場の跡地だというのに、なんと水道水のまずい街なんだろう。水道水には多かれ少なかれ添加物が含まれているから、最近は浄水器を設置して飲みやすくした水を出してくれる店が増えたが、この店で出る水はかなり強烈な味がする。そのせいかアイスコーヒーがとてもおいしく感じた。なんて言っては失礼かもしれない。

ホットのコーヒーは時折ひどく煮詰まっていることがあるが、確かにこの店のアイスコーヒーは意外とおいしいのだ。ジョージアのペットボトルと同レベルのアイスコーヒーを提供する店だって少なくないのに、ここではちゃんとアイスコーヒーの味が楽しめる。それはともかく、飲料水の味をどうにか改善して欲しいと思う。

店はいつでも賑わっており、従業員たちは体力勝負だ。ボケッとしているヒマはない。こうして忙しい状態があたりまえになっていると、常に体を動かす習慣が出来ているから、少々暇になった時でもテキパキと気持ちのよい動きで仕事ができるものだ。この日は土曜日にもかかわらず、いつもに比べると落ち着いていた。サービスは滞ることもだらけることもなく続けられ快適だった。また、入り口で案内役を務める年配の黒服は、コーヒーショップの従業員にはもったいないような物腰を持った人で、大変感じがよかった。

ディナーコースが2,500円と、目の前の「ロイヤルホスト」と張り合う値段を提示しているが、内容・サービスともに「樹林」が勝っている。かつては同レベルか下手をすれば「ロイヤルホスト」の後を追うような時期があったが、「樹林」が頑張っても「ロイヤルホスト」は堕落の一途だったので、いつしかそうあるべきバランスに落ち着いたもよう。

「アンブローシア」

10代の頃にはよく通った店だが最近はご無沙汰していて、実に10年ぶりに利用した。日曜日のランチはそれほど混んでいないだろうと思っていたら、店内は満席の賑わいで驚いてしまった。フレンチレストランとしては比較的広いスペースを持っており、高層階からの眺望が楽しめる窓際席と、落ち着いた雰囲気の中央のコーナーとに大別される配置になっている。キャンドルライトがロマンチックなディナータイムとは対照的に、日差しが入ってとても明るい。

昼のコースは4,000円からだが、プチグルメと題した3,500円のお値打ちコースがあったので、そちらを注文。連れは4,000円のコースを注文したので、両者を比較してみたが、スープのサイズに差がある他は品数も揃っており、内容的に見ても、プチグルメの勝ちだった。そう考えると、この店ではフェアものに力を入れているのかもしれない。コーヒーとともにプティフールが出るが、ちょっと鮮度に問題があるような感じがした。前夜につくったものを提供するくらいなら、ないほうがいいかもしれない。

サービスはフレンチレストランの中では中堅クラス。キャッシャーでの「今日は混み合っておりましたので、サービスが慌しく申し訳ございませんでした」という一言が印象的だった。新宿界隈でこうしたオーセンティックなフレンチレストランは絶滅危惧種として保護が必要かも。たまにはホテルのフレンチもいいなと思わせてくれる店だった。

バー「レッツ」

ふだんは夕方からバーのみの営業だが、週末だけは14時からティータイムの営業をしている。店内は最近改装されたらしく、エクセル東急ホテルなどが好んで採用するような、軽やかなイメージのファブリックと家具でコーディネイトされており、カジュアルさを打ち出して若者をターゲットにしていることが伺える。店内にはテレビモニターが設置され、スポーツパブの雰囲気も兼ね備えている。

周囲は披露宴から流れてきたゲストが多く、すでにカラオケボックスの待合室のような賑わいだったが、それを気にしなければなかなかよい感じのバーだ。昼間だったのでケーキセットを注文してみた。ロビーラウンジ同様サンプルを持ってきて選ぶのだが、ロビーラウンジと違うのは、従業員がバーのスタッフなのできびきびとカッコいい動きをしていることだ。アイスコーヒーのおかわりを積極的に勧めてくれるなど、サービスも悪くない。バータイムになればもうすこし照明を落とし、ムードが増すのだろう。ホテルのバーは敷居が高いと思っている若いカップルでも安心して利用できそうなバーだ。

リストランテ「ロスパツィオ」

以前は入り口左側の通りに面したコーナーはラウンジになっており、ティータイム営業や貸しきり営業の際の控え室などに活用されていたが、改装されて禁煙コーナーになってしまった。入り口右側のメインホールの方が、レストランの活気などもあわせて楽しむことができてよかったが、これからはタバコの煙を我慢しない限り、この狭い空間で食事をすることになるのかと思うとちょっと残念だ。その禁煙コーナーのインテリアは、お向かいの「ロイヤルホスト」とか、よく言えばパークハイアットの「ジランドール」のような系統。窓の外は並木があって人がひっきりなしに往来しているから、眺めている分には退屈しない。

ランチは2,000円から4,000円まであって、今回は2,500円のパスタコンビネーションランチを注文した。あらかじめ決められたパスタとリゾットの盛り合わせプレートのほかに、サラダ、デザート、コーヒー、バジルブレッドが付く。昼間だからか注文の際にワインなどを勧められることもなかった。卓上にはランチョンマットが敷かれ、オリーブオイルとバルサミコ酢が置いてある。ナプキンは紙だった。サービス人は若く、よく気がつくものの、やや無愛想。それが都会的なのかもしれないが。

2000.10.07
ピントハズレ
京王プラザホテル八王子 Deluxe Room
哀-3

大きなライティングデスクは便利だが、テレビが小さすぎてベッドからだと遠視じゃなきゃ見えない

京王プラザホテルなんだから、京王八王子駅の近くにあるんだろうと思っていたら、JR八王子駅前にあった。周辺の道路は一方通行が多く、車寄せへ進入する道は初めてだとわかりにくい。また、駅から徒歩で来る場合、もし雨天だったら一度傘をささなければならず、せっかく駅前の好立地なのに地下道も屋根のある連絡口もないのは不便だ。

1階の正面玄関はなんとなく奥まった感じで、外から見る限りでは華やかな雰囲気がまったく伝わってこない。ホテルには誰が通りかかっても機会があれば中に入ってみたいと思わせる魅力がないといけないと思う。その点でもこのホテルは構造的によくないみたいだ。しかし、一歩中に足を踏み入れてみれば、東京郊外のホテルとしてはトップクラスの施設であることが理解できる。

大理石をふんだんに使ったロビーや吹き抜けになったロビーラウンジなど、結構力の入った出来栄えだ。どうやらドアマンはいないようだったが、ロビーにはベルガールが常駐している。しかし、よほど大きい荷物を持って困った様相をしていないと、積極的に手伝ってはくれない。大きなボストンバッグ2つ程度ではサービスの対象外のようだ。

フロントの印象は、新宿の京王プラザとよく似た感じで、外資系のようなガッツはなく、ややおっとりとしているももの丁寧ではあった。客室への案内はなく、自分でルームキーを持って部屋に向かった。エレベータは3基あるが、2基が並び向かいに1基あるというなんとなく中途半端な設計だ。実は4基のエレベータが設置されていて、1基はサービス用として扉が逆向きに付いているのかなと想像してみたが、どうやらそうでもなさそうだった。

今回利用したデラックスルームはフロアのコーナー部分に位置し、このクラスのホテルとしては広い41平米の面積がある。客室階は新宿の京王プラザ南館によく似た構造になっている。室内に入るとさすがに広いという印象を受けるが、同時にインテリアが淡白過ぎてガランとした感じがし、テレビも広い部屋には不釣合いに小さいものが設置されている。大きなライティングデスクがあって仕事がはかどりそうだが、せっかくビルドインされているモジュラージャックは死んでいて残念。

パイルスリッパやバスローブはあるけれど、室内金庫やルームサービスはない。電話機は変わったデザインのものが、ベッドサイドとライティングデスク両方に設置されている。保温ポットはなく電磁湯沸しポットなのも、ちょっとケチをしすぎた感じが出ている。天井の高さは245センチとそれほど高くはない。ベッドは123×200センチが2台入り、毛布を使っている。アームチェアは新宿同様ビニール加工が施してあり汚れには強そうだ。窓はもう一回り大きく出来なかったものかと感じる大きさで、窓枠の造りにしてもちょっと安普請。

この客室で最も力作なのはバスルームだ。完全に独立したトイレと、絨毯敷きのアウトベイシンを含めると9平米を超す広さがある。バスルーム内にはシャワーブースが独立しているが配置に無駄があって、これならムリをしてブースを作らずに洗い場式にしたほうがよかったような気がする。また、シャワーブース内には石鹸を置くのがやっとな物置しかなく、その辺も考えて設計されたとは思いにくい。天井が200センチしかなく、照明が暗いことも圧迫感を煽っている。それに比べてベイシンの周りは明るくて広々としており、使いやすい。タオルは3サイズ揃うが、アメニティは必要最低限だ。

このホテルで一番失敗だと思うのは、レストランの配置だ。1階をパブリックスペースに割きすぎて、レストランは2階に集約されているが、せめてコーヒーショップは1階の道路に面したところに置いた方がよかっただろう。2階の奥のほうでひっそりと営業しているようでは、ふらっと立ち寄るゲストはそうそういない。せっかくの駅前なのだから、宿泊客でなく買物客などにももっと利用してもらえるような工夫が必要だ。新宿でそれなりに実績と経験のあるホテルが展開したにしては、全体的にピント外れや片手落ちの部分が多いような気がする。スタッフはみな決められたとおりマジメに働いているだけに、哀。

ベッドは大きめだが、毛布だから寝心地はイマイチ この部屋で一番よく出来ているベイシン

サーモスタットつきカランを備えたバスタブ 160×80センチのシャワーブース

2000.10.08
ダブルの怒
京王プラザホテル多摩 東館 Standard Single Room
怒-3

「多摩で銀座を食べましょう」と、それがホントならどんなに素晴らしいでしょうというようなキャッチフレーズでオープンした多摩そごうが具合を悪くして閉じてしまってから、いまひとつ活気がなくなってしまった多摩センターだが、このホテルは意外と稼働率がいいようだ。たまたまなのかもしれないが、利用する時はいつも混雑している。周辺のホテルが少ないこともあるが、サンリオピューロランドがすぐ近くにあるだけではこれほどまでに埋まることはないだろうから、他に需要があるのかもしれない。

まず、このホテルは駐車場係が大変けしからん。ここで一番偉いのは俺様だといわんばかりの尊大な態度を取るところを見ると、退役した駅長が回されて来ているのかと疑いたくなる。しかも、立体式の駐車スペースに停めようものなら、出庫する際に係を探し回るのに一苦労するほど怠慢。ホテル専用の駐車場なのだから、ホテル利用客に対するマナーくらいはきちんと教育してほしいものだ。

ホテルへは正面玄関のほか、駅からつながるペデストリアンデッキに面したエントランスが数箇所あって、あちこちからアクセスできるのは便利にしても、肝心なフロントの場所はとても分かりにくい構造になっている。正面玄関からフロントのある2階へはエスカレータがあるが、駅へと向うエントランスやレストラン・宴会場のある3階、4階へは主にエレベータを利用することになり、しかもエレベータの台数が少ないため不便を感じる。

このホテルはもともと東館だけだったが、現在では西館を増築して2棟構成になっており、低層階では完全にドッキングしている。増築をした後もフロントは以前のままなので、規模の割には小さい印象がある。夜になるとアルバイトのおにいさんがフロントに立つようだが、さすがにコンビニのおにいさんとは違い、ホテルで仕事をしているという自覚を感じさせる仕事ぶりだ。せっかくウエルカムドリンク券をもらったが、深夜のチェックインだったのですでにラウンジは閉店しており、バーはとうの昔に貸し切り専用になってしまっているため、利用できず。翌朝も早めに出発したので結局無駄になってしまったが、ここのロビーラウンジはなぜか結構気に入っていることもあり名残惜しかった。

客室は東館、すなわち旧館のシングルルーム。余計なものを一切排除して、限りなくコンパクトにまとめたシンプルな客室だ。140×203センチのベッドが一台壁にくっつくように置かれ、まくらはひとつしか用意されていなかった。天井高は240センチでシーリングライトが設置されているため、勉強部屋のように明るい。電話機はベッドサイドのみで、クローゼットは超薄型で奥行きたったの18センチ。とても長期滞在はしたくない環境だ。バスルームは2.52平米と狭く、天井高も200センチしかないため、さすがに窮屈だった。どうやら廊下なども含め、ファブリックの張り替えだけは最近行ったようで、想像していたよりは清潔感があったのが救い。

翌朝の朝食は大変な不満だった。レストラン「樹林」へ行くと、店の前には空席を待つお客がランダムな状態で待っているが、中の店員は名前を伺ったり順番を把握する努力をまったくしていなかったため、ずうずうしい人順で席に案内されるという事態になっていた。大体、朝食の利用客数などもっとも予測を立て易いものに対応できないとはお粗末極まりない。そのうちお客からも不満の声が出始め、店先は修羅場になりつつあった。

そこに現れた救世主は宴会係。なんでこんなところに宴会係がと思ったら、この日はレストランだけでは対応しきれないと予測し、宴会場を第2の朝食レストランとして営業していたのだった。だったら、それもさっさと案内してくれという感じだが、とりあえず宴会場に席を確保して、急いで食事を済ませることにした。

ところが、ブッフェ台には見事になにもないのだ。立食パーティだったら、もっと早い段階にとっとと下げられてしまうようなほとんどカラの皿ばかりが並んでいる。ジュースもカラ、コーヒーもカラ。やっとサラダが補充されたかと思っても、待てど暮らせどドレッシングは持ってこない。ブッフェである上にこんな状態で、サービス料を取るとは言語道断。こんな朝食ならタダでも要らない。

シンプルなベッドと周囲の壁 コンパクトにまとまった家具と奥行き18センチのクローゼット

この窓は眺めるためでなく、単に日光を得るためのもの。 質素なユニットバスだが、トイレはウォシュレットに改装

2000.10.15
もっと過激に
京王プラザホテル 南館 Executive Double Room
楽-2

京王プラザホテルは日本で最初の超高層ホテルであるだけでなく、本館と南館合わせて1450もの客室を擁し、29の飲食施設を持つ国内有数の大規模ホテルだ。「じゃぁ、バーで待ち合わせね」なんて曖昧な約束をするとすれ違いになる可能性が大きい。せっかくたくさんの飲食店があるのだから、それぞれにもっと強烈な個性を持たせて、目的や予算に合わせた選択ができればいいのだが、なんとなく同じような店が軒を連ねている感じがする。オーソドックスな店もホテルならではの安心感が得られて大切な存在だが、街場のレストランに負けないアイデアをカタチにしてほしいと願ってやまない。

客室も同様に、せっかく1450室もあるのにバラエティーが意外と少なくてつまらない。建物の形自体がなんの変哲もない形状だから、金太郎飴みたいに客室の大きさも輪切り状態なのだが、せめて内装や機能性に大胆な変化をつけたフロアを設けたりして、魅力ある客室づくりを目指してもらいたい。今回利用した南館のデラックスルームは、本館より20センチ高い260センチの天井高があって、十分な奥行きと広いスペースを持つ客室だが、ユニークで魅力的な仕掛けは皆無だ。

電話はベッドとライティングデスクの他、バスルームにも発信可能な電話機を設置し、2回線が用意されている。ペイテレビはVODとプログラム放送の両方を楽しめるようになったが、冷蔵庫は相変わらず引き抜き式で種類も少ない。ベッドは123×200センチで羽毛布団が快適。5平米程度あるバスルームはリノリウムのような床にタイルの壁でやや暗い印象があり、洗浄式トイレになっておらず、BGMを聞く設備もない。ベイシンの天板は石風だが樹脂でできているようだ。

このように若い女の子なら大抵ガッカリしてしまいそうな客室だが、ビジネスで使う分には気が散らなくていいという発想もある。垢抜けないインテリアではあるが、本質的には快適な滞在ができる客室だ。開業当時、人々をあっと驚かせたように、またホテル利用者を驚かせるような、思い切った客室改装をしてくれないかと期待していたい。

ベッドとソファの間にある低いコンソールは便利 シンプルすぎる客室

アウトベイシンも併設されている ベイシン脇には冷水口が付いている

2000.11.03
友人のアパート
京王プラザホテル多摩 西館 Superior Single Room
哀-2

入り口の方から室内を見る。コネクティングのドアのようなところが、小さなクロゼット

前回利用した東館のシングルルームはとても窮屈だっただけでなく、広さ以上になぜか息が詰まりそうな感覚に襲われたので、今回はちょっと奮発して新館にあたる西館のスーペリアシングルを予約してみた。確かに建物は新しいのだろうが、東館もファブリックの張替えを終えているから、それほど差を感じない。西館はインテリアの色彩を控えめにしてすっきりとしているが、東館よりも寒々しい感じがする。

それを最も助長しているのが天井に設置された蛍光灯のシーリングランプだ。白っぽい室内をより白々と見せてしまい、まるで学生が住むワンルームアパートの一室のようだ。バスルームもゆとりなど微塵もないコンパクトなもので、アメニティは最小限、シャンプー・リンスはポーションのものだ。カランからの湯は勢いがいいが、シャワーに切り替えると急にちょろちょろになってしまう。タオルが3サイズあるのだけが、かろうじて都市ホテルチェーンの一員としての主張に思えた。

ベッドは東館よりも狭く、幅120センチ。セットされている枕はひとつだが、クロゼット内に予備の用意があり、そちらのほうが固めだ。ライティングデスクは独立しているが、使いにくい配置だと感じた。卓上のスタンドは組み込まれているものだから位置を動かすことができず、アームチェアに掛けるとスタンドが視界をさえぎってテレビが見にくかった。また、廊下の音が筒抜けで、ベッドに入ってからも落ち着かず、友だちの部屋に泊めてもらっているような感じがした。

興味をひかれたのは、ミニバーのセットメニューだ。単品だとビールが500円、ソフトドリンクが300円、エビアンが250円なのだが、ほろ酔いセットなら1000円でビールまたはウィスキー2本、エビアン1本、おつまみ1品を、くつろぎセットなら600円でソフトドリンク、ドリップコーヒー、エビアンから好みの3品が楽しめる。割高感が大きいミニバーだが、こうして割引があるとついつい利用したくなってしまう。

アームチェアから室内を見渡す ちいさなちいさなバスルームでは、自分が大男になったような気に・・・

Y.K.