2001.10.15
視線
「ザ・ジョージアンクラブ」西麻布
楽-3

フレンチレストランに勤務する友人たちの誘いで、共に食事をすることとなった。いわゆる「割り勘」でレストランに行くのは久しぶりで、なんだか学生時代に戻ったような気分だった。一足先に店に着くと、サーモンピンクでコーディネートされた、小さなウェイティングルームに案内された。シャンパンに口をつけながら、店の雰囲気を味わっているうちに、約束の面子が揃ったのでダイニングへと移動した。

ダイニングへと続く扉が開かれると、そこにはカーブを描いた大理石の階段があり、壮麗なインテリアのホールを見下ろすことになる。もし客席がゲストで埋まっていれば、視線を浴びることもあるかもしれないが、この時はまだ先客はなく、優雅にセットアップされた各テーブルが、ゲストの到着を待っているところだった。

アペリティフの続きと軽いおしゃべりを楽しみながら、じっくりとメニューに目を通し、連れたちがコースと言った場合、アラカルトと言った場合、それぞれの自分の注文内容をあらかじめ考えておいたが、結局コースを注文することになった。料理の内容は給仕の口から丁寧に説明され、苦手な料理は他のものに差し替えることが可能だとの申し出もあった。

コースは、店の得意料理を中心に構成したものを期待していたが、どちらかというと当り障りのない内容だった。料理の状態やサービスのタイミングなどは申し分なかったが、頼んだことを聞き逃したり、背後で頻繁に開閉するパントリーへの自動ドアが鬱陶しいだけでなく、パントリー内での給仕たちのおしゃべりが食事中にかなり気になるなど、期待が持てる店だけに残念なこともあった。また、ワインの品揃えは素晴らしく、魅力がありすぎて選択には時間を要した。価格設定は「間違いではないか」と疑いたくなるほどに良心的である。

Y.K.