2001.12.28
穴場
ホテル ル・ファール本牧 Standard Room
哀-3

バスルームの周囲は凝ったタイル張り

直前のネット予約であったが、到着時にはきちんと予約が入っていた。ネットでの当日予約の場合、予約が通っていないのはどのホテルでもしばしばあることなので、予約画面のプリントはしっかりと持参することにしているが、この夜もその用紙は使われないまま用済みになった。フロントの対応は、さっぱりとはしているものの、手馴れた感じで好感が持てた。

客室はスタンダードルーム。広くはないし、行き届かない点が少なくないが、1万円を切る格安料金を考えると、結果的には満足のゆくものだった。重くて立派な扉を開くと、フローリングの床や曇りガラスのクローゼット扉など、個性的なインテリアに包まれた室内が目に入る。その意匠は隅々まで凝っており、ひとつひとつ見て回るだけでも結構楽しい。しかし、どれもが目を引く品々だけに、目を寄せてズームアップしてしげしげと眺めてしまうため、手垢や埃がいやでも目立ってしまう。

以前に比べれば雲泥の差でキレイに清掃されているのだが、細かいところまではなかなか行き届かない現状があるようだ。また、キズやちょっとした損壊を修理する余裕はないと見え、あちこちに傷みがあるのが痛々しい。ベッドカバーはどの程度の間隔で洗浄しているのか知らないが、随分と多くの人の体温を吸収しているような、不思議な感じが伝わってくる。その辺を気にしなければ、室内はとても静かだし、駐車場は無料だし、激安だし、いい穴場なのだ。

バスルームは3.2平米。シャワーカーテン代わりのサッシの汚れがちょっと気になる。トイレには洗浄機能を備えていない。今回の客室はベイシンのカランから湯がほとんど出なかった。いくら湯のカランをひねっても、したたる程度にしか出てこない。それに気づいたのは深夜になってからだったので、そのままこの客室を利用したが、ちょっと手を洗ったりする時に冷水が冷たくて悲しかった。

車で到着した時、正面玄関脇の立体式駐車場は、初老の係がひとりで立っていた。翌朝のチェックアウト時には、2名に増えていた。彼らからは、身のこなしといい、ちょっとした仕草といい、駐車場係にしておくのはもったいないような洗練度を感じた。それは「ひょっとして、親会社のかつてのお偉いさんなのかな」なんて、ヘンな想像までが頭を巡るほどだった。

濃紺のベッドカバー ナイトボードは他に例のない意匠

クロゼット扉はすりガラス シンプルなデスク周り

バスタブとトイレ ベイシン

レストラン「ボンボヤージ」

朝食が1,200円になった。和定食はシンプルに、焼き魚、ごはん、豚汁、漬物という構成。それでも大満足なのは、焼き魚の身が厚く、ほっくりと焼きあがっているし、豚汁も具沢山で美味しいことだ。朝の時間には近所に住む人が、散歩がてらコーヒーを飲みに来ていたりもして、和やかでのんびりした雰囲気だった。

Y.K.