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ホテル別インデックス
レストラン別インデックス

2002年3月29日

都ホテル東京 Standard Room
喜-3 借景の夜桜
借景の桜が美しい
改装が済んだ8階より高層の客室は、慌てなくともこれからしばらくは泊りたい時に泊まればいい。しかし、もしもこの改装が全館に及ぶようになるとすれば、7階より下のフロアの内装はいつ見納めになるかわからない。いずれにしても、当面は改装しないようだが、昔ながらのインテリアを懐かしもうと、今回はあえて旧来の客室を予約した。

アサインされた客室は4階。主に29平米の狭い方のタイプが並ぶ裏側の客室で、窓の外にはすぐ隣のマンションが迫っているという環境だ。せっかくの大きな窓を常に全開にできないのは残念だが、少し横に目をやれば、隣の八芳園の庭に植えられた桜が満開で、借景ながら見事な眺めを楽しむことができる。特に夜ともなればライトアップされ、思いがけない夜桜見物に、しばし見入ってしまうほどだった。

客室は、ベッドが改装済み客室と同じスーパーベッドに改められ、抜群の眠りを約束してくれる。電話機も新しくなり、ベッドサイド、デスク双方に設けられており便利だ。天井高は284センチと高く、ベッドの高さが60センチほどあっても十分な余裕が得られる天井高だ。その他の家具などは、以前からのものをそのまま使っているが、低めのソファに深く腰掛けて、今までどんな人たちがこのイスに掛けて、何を考えていたのかななどと思いつつ一息ついていると、このタイプの客室でも、十分に居心地がよいことが実感できた。LANの設備が整っていないことを除けば、改装済み客室との差は、インテリア面だけだと言えそうだ。このテイストの方が、都ホテルらしさがあって安心できるような気がするのはぼくだけだろうか。

天井が高い室内 深く腰掛けられるソファ

ベッドは新しくなった ナイトテーブル

ベイシン バスタブとトイレ

冷たい水が入ったポット フロントカウンター

2002年3月29日 午後
都ホテル東京 ロビーラウンジ「Bamboo」
哀-1 人造竹林
暖炉に飾られた桜
当初は生きていた店内中央のある大きな竹の植え込みはとうとう人造物になってしまった。店の両サイドに生垣のように植えられている植物も、竹ではなく竹のような植物だ。店の名前でもあるのだから、維持し続けてほしいと願っていたが、やはり続かなかった。それだけ竹はデリケートなのだろう。

そして、哀しいかな、この店ではパークハイアットの「ピークラウンジ」同様、なかなかよい席には座れない。禁煙席をとお願いしても、隣ではスパスパとタバコをふかしている端境の席だったり、入り口スレスレの席で、こんなところに座るくらいなら、2メートル手前のタダで座れるパブリックスペースのイスで十分だなんて気分にさせられたりする。要するにソリが合わないようだ。

この日は、午後にちょっと小腹が空いたので、ここで軽食を試してみることにした。メニューには、サンドイッチなどに混じって、どんぶりものがいくつか並んでいる。その中から親子丼1,200円を注文してみた。小さなどんぶりに盛り付けられた親子丼は、熱々でなかなかのおいしさ。その他に味噌汁、漬物、ひじき、ポテトサラダが一緒に盆に載せられて運ばれてくる。お茶もついている。茶屋風のしゃれた品で、おやつや夜食にはちょうどよい。ついでに注文したのは、東京タワーをイメージしたとあるプロフィットロール。どのように東京タワーなのかは理解できなかったが、夢のある盛り付けで、楽しい雰囲気を運んでくれるデザートだった。

プロフィットロール 人口の竹林
2002年1月19日 昼
都ホテル東京 「カフェ カリフォルニア」
楽-1 野球帽の料理人
外から直接アプローチできる
中国料理「四川」が改装を終えたときには、高級路線にするのかと思っていたところを意外にも手ごろな価格設定できたことに驚かされたが、「カフェカリフォルニア」はまったく逆だった。コーヒーショップがあったところをカフェと名のつく店にするという情報だけから想像すると、バラエティ豊かなコーヒーショップスタイルの店にするのか、はたまたカジュアルなオールディダイニングにするのか程度に考えていたが、思っていたよりもはるかに高単価を狙っているような店が完成した。カリフォルニアで人気を博している店と提携をし、斬新で独創的な料理の数々をメニューに登場させ、話題をさらうつもりらしい。昼も夜もコースやセットメニューはナシ。アラカルトのみで勝負する。

料理だけでなく、飲み物も驚くような強気の価格設定で、思わず舌を巻いた。厳選したカリフォルニアワインを中心に、数種類のワインがグラスで楽しめるが、グラス1杯1400円から。しかも、注文するとどこかでグラスに注いでから運んでくるので、ボトルの現物を拝むことができず、不安が残る。サービスは安定感がない。何かを頼もうと呼び止めると、歩いたまま「少々お待ちください」とさえぎられ、肝心な時に人をつかまえるのに大層苦労した。料理は確かに独創的。ダイナミックなのか、粗雑なのかが微妙な盛り付けや、新しい味わいなのか、奇をてらっているのか判断しかねる取り合わせなど、際物の部類の料理が多い。

その片隅に、生姜焼き定食やカレーなども取り揃えてあり、ホテルダイニングとして、言い訳の利く砦を残しているところがほほえましい。卓上のセッティングはシンプルだが、照明に映えて雰囲気がある。店内はカウンター、テーブル、ブースにわかれ、屋外にはテラス席も用意されている。料理は、シェアして食べるスタイルを念頭にチョイスするとよいと思う。キッチンはオープンで、若い料理人が野球帽をかぶって立ち回っているのが眺められる。が、眺めていても面白くないのは、手際に見事な技が見て取れないからかもしれない。

ボックス席 カリフォルニアロール

2002年3月30日 昼
都ホテル東京 中国料理「四川」
楽-1 麻婆豆腐
予約を入れて出かけたら、もっとも奥の庭園に面したテーブルを用意してあった。窓には庭園の新緑が映え、気持ちのよい風景が広がっていた。サービスに当たったのは、中国人と思わしき女性で、まだ発音に不自然さが残る日本語で、一生懸命注文を受け、サービスしてくれた。

ランチのセットメニューには、皆、小さな麻婆豆腐がついてくる。これが、四川風のスパイシーな味わいで、なかなかおいしい。量は少ないが、どの料理よりも強烈なインパクトを持っている。この店では欠かせない料理だ。

2002年5月19日
都ホテル東京 Deluxe Room
喜-3 外観
正面玄関
このホテルは、世界的な建築家ミノル・ヤマサキ設計による外観デザインが素晴らしい。金属の質感を活かしたシンプルなデザインでありながら、縦に連なった黒い窓枠と張り出したパーティションが、全体に適度なリズム感を与えている。そして、2箇所で大きく分節された美しいフォルムが、全体の存在感を際立たせている。さすが、世界のモダニズムの頂点に立った大御所の設計だけのことはある。

ミノル・ヤマサキの代表作といえば、ニューヨークのワールドトレードセンタービルだろう。テロ攻撃で倒壊したあの超高層ビルである。このホテルもワールドトレードセンターも完成したのは70年代、ヤマサキの円熟期の作品だ。ヤマサキの著名な作品には、他にロサンゼルスのセンチュリープラザホテル&タワーや、プリンストン大学校舎、セントルイス空港ターミナルビルなどがある。ゆるく弧を描いたホテル建築という点では、センチュリープラザの本館に少し似ているかもしれない。

ヤマサキはアメリカの建築賞を何度も受賞し、作品数の多いことでも知られているが、日本での作品はほとんどない。現在日本で見られるヤマサキ作品は、このホテルぐらいではなかろうか。貴重な存在だ。

ところで、このホテルは、外観はミノル・ヤマサキだが、内装は村野藤吾の設計である。村野は日本の建築界の大御所だが、京都の都ホテルの一部や新都ホテル、都ホテル大阪、志摩観光ホテルなどを設計しているので、都ホテルにとってはなじみの建築家だったのだろう。しかし、村野といえば、曲線的・有機的デザインを特徴とする「反モダニズム」の建築家だ。モダニズムの大御所ミノル・ヤマサキと、反モダニズムの大御所村野藤吾を組み合わせるというのも、なかなかすごいことだ。

ただ2001年の改装で、村野の内装デザインが失われつつあるのは残念なことだ。未改装の低層階部分の客室と、地下の宴会場フロアには、まだ村野のデザインが残っている。

このホテルの周辺には、洒落た店や美術館などもあり、散策するには恵まれた環境を持っている。それに加え、館内には興味深いインテリアや建築美が随所に見られるし、敷地内の庭園ものんびりと過ごす時間をより豊かにしてくれる。この日は最上階の客室から、木立ちの上の乱舞する、夥しい数の蝶の姿が見られた。あまり目立たないが、意外と非日常に近いところに存在するホテルだ。

12階は天井が低い バランスのとれたフォルム

12階は窓が突出している 裏側から見る

2002年5月19日 昼
都ホテル東京 「カフェカリフォルニア」
楽-2 テラス
この店にはテラス席があり、テラス席に限ってはペットの犬を連れての来店が可能で、ペット向けのメニューまで用意してあるという。テラス席のあるコーナーの周囲には樹木があって、木陰でひと休みをするような感覚が味わえる。利用したのはちょうどランチの時間帯であったが、メニューはアラカルトを基本としており、ピッツアやパスタなどを中心とした構成になっている。テーブルにはランチョンマットが置かれ、店内と同等の器でサービスされる。天候次第ではあるが、ほどよい開放感を持ち、都心では貴重な空間だ。若いスタッフによるサービスも概ね行き届いており、用があるときにはすぐに気づいてくれた。

[都ホテル東京] 980815 000728 011110 020118

Y.K.