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2002年7月7日

セレスティンホテル Corner Twin Room
哀-5 七夕のグランドオープン
夜のセレスティンラウンジ
東京・芝公園の近くに、今までにないスタイルの新しいホテルが誕生した。「天空」という名を冠したホテルらしく、七夕の日にグランドオープン。オープンに先立って充実した内容のウェブサイトをオープンさせ、ホテルの概要やサービス内容を細かく紹介したり、1ヶ月間のプレオープン期間に宿泊する希望を募ったりと、精力的にPRを展開していた。雑誌や駅広告にも力をいれ、新しいホテルの開業をより多くの人々に知ってもらうと同時に、ホテルから生活スタイルを提案するというかつてない情報発信を続けていた。そのPRにひかれ、グランドオープン当日に早速宿泊してみることにした。

チェックインタイムが14時からというのは知っていたが、ホテルに到着したのは13時ごろだった。車を正面玄関につけても、スタッフの姿はなくひっそりとしたまま。本当に今日オープンするのかと不安がよぎるほどの静けさだった。とりあえず車を降り、館内へ入って近くのスタッフに宿泊であることを伝えたが、荷物を降ろすのは手伝ってくれなかった。カートを借りて車から荷物を降ろし、カートをフロントの脇に置き、車を駐車場へ。なんだ、ビジネスホテルなんじゃん。と、ここで初めてこのホテルの基本コンセプトが理解できた。

一応時間前だが手続きだけでもと思い、フロントカウンターで暇を持て余しているスタッフのことろへ行って、チェックインであることを伝えると「14時からになっております」と門前払い。仕方ないのでホテル周辺を見て回り、余った時間はフロント前にある広々としたカフェで一息入れて待とうと思ったが、そのカフェも14時から。ま、飲み物が出てこないまでも座らせてもらって待つことにした。14時になったところで、早速チェックイン。そしてせっかくカフェもオープンしたので、カプチーノを飲んでみた。

このロビーは天井が高く広々としているだけでなく、リビング風の家具を配置し、洋書の書庫を置いたりと、ゆったりとした時間を楽しめる工夫がしてあるので、居心地はなかなかのものだ。そしてこの日は開業記念ということもあってか、洒落たフラワーアレンジメントがふんだんに飾られ、なんとも華やかな空間だった。宿泊しないまでも、ふらりと立ち寄ってコーヒーを一杯なんていう使い方もいいかもしれない。もっとも、このあたりに用事があればの話だが。

客室までは係がカートを押して案内してくれた。ロビー階から客室へ向かうには、エレベータホールにあるスロットにルームキーを差し込まなくてはエレベータが作動しないようになっている。セキュリティのための配慮だと思われるが、こうした工夫は最初のうちはゲストも珍しがって喜ぶが、すぐに面倒だということになって早々に中止になることが多い。エレベータはまずセレスティンラウンジのある階に停止し、係からラウンジの説明があった。

24時間オープンしている宿泊客専用のラウンジで、セルフサービスのソフトドリンクが楽しめるほか、ワークスペースやオープンエアの中庭がある。こちらも開業日ならではの花々がきれいだった。後ほど利用してみた感じでは、ラウンジはとても広々としており、ゆったりとくつろぐことができるし、中庭も開放感があっていい。24時間オープンの無料ラウンジというのは、大変ユニークな試みで高く評価できる。

標準客室はかなり狭いけれど、部屋が窮屈に感じたら、このラウンジでいつでもリフレッシュすればいいわけだ。簡単な朝食もあるとのことだったので、翌朝に覗いてみたが、記載する価値もないほど本当に簡単なものだった。また、何度かラウンジに出向いてみたが、他のゲストに出会うことはほとんどなかった。

係はラウンジを後にして、宿泊する客室のあるフロアへと向かった。エレベータホールを降りて客室までの廊下を歩きながら、なんと雰囲気の暗い廊下だろうかと思った。しかもカーペットは薄っぺらく、安っぽいことこの上ない。学校や公共施設の廊下のようで、とても洗練度を売りにするホテルの廊下とは思えなかった。客室に入ってまず目を奪われたのは、ワイドな窓からの景観だった。コーナーツインルームは45平米の面積があり、文字通りコーナーに沿ってL字の窓を持ち、都会のパノラマが眺められる。室内の天井高も275センチと高い。

ワイドな窓に向いて140センチ幅の大きなベッドが2台並んでいる。このベッドもまた素晴らしかった。ちょうどよい硬さのマットレス、肌触りのいいシーツや羽毛布団など、眠りの環境は抜群だ。ミニバーには趣味のいいグラスやマグカップが揃い、無料のドリップコーヒーや紅茶の他、オリジナルのミネラルウォーターが用意されている。ライティングデスクには高級雑誌を思わせる美しい写真を満載した冊子がセットされ、無料で利用できる高速インターネットアクセスのケーブルがある。テレビには無料で楽しめるケーブルチャンネルも多数用意され、マルティメディアの充実振りがうかがえる。また、ライティングデスクのほかに三面鏡のついたドレッサーが独立している。

しかし、部屋の大きさの割りにシッティングスペースは最小限にとどめており、二人掛けのソファがぽつんとあるのみだ。全体的に家具は安物。質感も使い心地も今ひとつで、一人暮らしの学生が使うようなクオリティのものばかりが集められている。それでも、この安っぽい空間には調和しているといえるのかもしれない。クローゼットには、加湿器を兼ねた電磁サーバーがあったが、なんとも使い勝手が悪かった。プレオープンの時に相当評判が悪かったのか、通常の湯沸しポットもデスクの上に置かれており、それはそれで邪魔だった。

バスルームは7.2平米と広く、一部に大理石を用い、清潔感のある快適な空間に仕上がっている。天井高が240センチもあるので圧迫感がなく、もうひとつの部屋という感覚で使える。扉を開けるとバスタブに並んで曇りガラスの扉がある。一見シャワーブースのように見えるが、そこはトイレだった。シャワーブースを配しても十分な広さがあるバスルームではあるが、シャワーブースは設けられていない。シャンプー類は大型の透明ボトルに収められており、他のアメニティも充実している。3サイズのタオルにはロゴの刺繍が入り、バスローブも備えるなど、力が入っている。しかし、力が入っているのは、表面的なことばかりだ。

チェックアウトは午前11時。自ら荷物を持ってカウンターへ向かうと、係は慣れない様子で前のゲストの手続きを行なっていた。カウンターの外には他にも数人の係がいて、そのうちの一人がこちらに近づいてきた。両手に重たいバッグを提げているのを見て、手を貸そうと来てくれたのかと思いきや、「こちらにお並びください」と整列の勧告だった。

1泊してみて感じたことは、このホテルでは休息はできないということだ。ココロに触れるサービスもないし、部屋の雰囲気も日常以下だからだ。しかもこのホテルの宿泊料金設定は、実力に比べて高すぎる。ベッドとネットとラウンジを整えてイメージ戦略に力を入れれば、付加価値が生じて高い料金を取れると思ったら大間違いだ。世の中はそんなに甘くない。チェーンやコンソーシアムに属していないから、認知度も低くブランド価値はないし、ホテル成功の極意である立地も悪くて不便ときている。しかもサービスはビジネスホテルそのものなのだから、高い料金が取れるはずがない。いずれ格安で販売せざるを得なくなるだろう。

ワイドな窓 ベッドは素晴らしい

ソファ ミニバーのグラス

アメニティ バスタブ

24時間営業のラウンジ 三角屋根のラウンジ

ラウンジ内のドリンクコーナー フロント前のカフェ

ロビー階エレベータホール 大通りに面したエントランス

2002年7月7日 夜
セレスティンホテル タバーン&グリル「グラン・クロス」
哀-5 オールお通し
天井高7メートルのダイナミックな空間。トーキョーキュイジーヌ。3台の100インチプロジェクター。そう聞くとなんだか随分とカッコいい店なのかと想像するが、実際はそうでもなく、田舎に都会派ぶった店を作るとこんな風になるという見本のような垢抜けない店だった。グランドオープンの夜は、入口でシャブリの大きなボトルからグラスに注いで振舞うというサービスを行なっていたが、店内は今ひとつ盛り上がりに欠け、だらりとした雰囲気だった。

メニューには魅力的なネーミングの料理が並んでいるが、実際でてくるのはどれもバーのおつまみ程度の品物ばかり。例えば生春巻きなど、決して安くはないのに、まるで突き出し程度の大きさだ。他の料理もおしなべて、メニューの名前や値段から想像するのと、実際の料理とでは随分とイメージが違い、思わず笑いが出るほど。軽く1杯飲んで、ちょっとしたつまみ程度の料理で、もうひとり5千円くらいは飛んでしまうが、その価値はまったくない。また、プロジェクターに映し出される光のオブジェがなんとも鬱陶しかった。

翌朝は朝食をここで食べた。ご飯と味噌汁は運んできてくれるが、その他はブッフェスタイルで用意される。ご飯はおいしかったが、他はあまりに粗食で、僧侶の入門をしたような気分になる。日中に見ると、店のしつらえの安っぽさもひとしおだ。最近の気の利いた会社なら、社員食堂でもこの程度のクオリティはあるのではないだろうか。

[セレスティンホテル]

Y.K.