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2003年2月25日

ホテルパシフィック東京 Superior Twin Room
楽-2 あたりまえなこと
とってもキッチュなデザインのカラン
ここしばらくは体調を崩して仕事も減らしていたため、ホテルステイの機会が極端に少なくなっていた。休業すれば人に会うことも少なくなり、おのずと一人きりの時間が多くなる。慌しく過ごしている時には見えなかったものに、不思議と目がとまるようになったり、今まで考えもしなかった事を思いつめたり。まるで違った人間に生まれ変わったような気分だった。そんな中、ささやかな気分転換にと思い、ホテルパシフィックに予約を入れた。

この日ばかりは、最新のラグジュアリーなホテルでない方がよかった。際立ったり、特別だったりしないで欲しかった。ありきたりな客室で、ありきたりなサービスがあれば十分だった。まるで八代亜紀が歌った舟歌のホテルバージョンという感じに。時に大勢の人の中に紛れて、自分自身をぼかしてしまいたい場合、こうした大規模なホテルは重宝する。

おそらく、ホテルパシフィックとしてはいつも通りの一日だったことだろう。それなのに、随分と親切にされているような気がした。対応はにこやかで、スタンダードルームを予約したにもかかわらず、高速インターネット回線を使いたいと希望したら、一回り広い客室にアップグレードしてくれた。スタンダードで高速インターネット回線を備えた客室が売り切れだったからだと説明されたが、プラス志向の判断をしてもらえてうれしかった。

スタンダードよりも広いスーペリアは、若干「く」の字に折れ曲がった棟の真ん中あたりにあって、ソファや独立したドレッサーを備えている。設備的にはそれ以上の差はないのだが、空間にはゆとりがあり、ゆったりと過ごすことができた。ソファはベッドにもなるタイプで、3名での利用が多いのだろうか、アメニティはあらかじめ3名分の用意があった。

この日はホテルの基本的なありがたみについて考えた。蛇口をひねればお湯がでて、電気代も料金に含まれているし、部屋は毎日きれいに清掃される。設備のどこかが故障すれば、エンジニアがすぐに直してくれる。普段は放っておいてくれるが、何か起こればたちまち駆けつけてくれる。部屋から出なくても食事ができるし、必要なものがあれば届けてもらえる。

そんなことどれも当たり前なのだが、普通の生活ではなかなかこうはいかない。お手伝いさんでも抱えていれば別だが、自宅でどこかが壊れれば、自分で修理を手配しなくてはならないし、毎日ベッドを整えたり、清掃や整頓をするだけでも、結構大変だ。そんなことに思いをめぐらせていると、清潔で、便利で、安全だというだけでも、十分ありがたいと思わなくてはならないような気がしてきた。

ここを原点にして、付加価値として豪華さや個性が追随するものだと思うが、最近は付加価値であるはずのものが、先走っているホテルが多くなったような気がする。たまにこうした普通のホテルに泊まってみると、装飾にごまかされて見えなくなっていたものが、くっきりしてくるようだ。

ベッドに並んだライティングデスクはちょっと窮屈 テレビは窓際の隅に置かれている

ソファまわりが一番ゆとりを感じる 客室奥から入口方向を見る

[ホテルパシフィック東京] 000105 000418 000927 020315 020608

Y.K.