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2003年7月9日

伊勢パールピアホテル Single Room
哀-5 役所的ホテルの典型
ロビーの一角にある池の鯉
大都市の殺気立った喧騒の中でもまれて、サービスまで乾いてしまった砂漠のような都会のホテルに比べたら、地方都市のホテルは洗練度こそ低くても、人情味に溢れ、多少の不便を我慢しても余りある、素朴で温かいサービスに触れられるものだと思っていた。ところが、この伊勢パールピアホテルは違っていた。建物は新しく、近隣では最も都市型ホテルに近い施設を持っている。伊勢のランドマークを気取るくらいの構えがあるような印象だ。しかし、その実態はホテルがそうあってほしくないという姿の典型のような存在で、滞在中とにかく神経を逆撫でされ続け、とてもがっかりした。ロンパールーム的に言えば、こまったちゃんのようなキャラのホテルだった。

この日は伊勢でのコンサートを終えて夜9時半頃に出演者一同でチェックインをした。通常はプロデューサーがチェックインなどの手続きをして、細かい世話などもすべてしてくれるのだが、この日に限ってはプロヂューサーに他の用件ができてしまい、自分たちでフロントにて手続きをした。エントランスにはしっかりとした車寄せスペースもあり、ロビーには鯉が泳ぐ池なども配置され、大理石張りの空間からは期待を削ぐような要素は見受けられなかった。その時に担当した女性のスタッフは、まだ若く経験も浅いようだったが、一生懸命な姿に好感を持った。

室内のバスルームには何もアメニティが置いていないとのことで、フロントにて必要なものを受け取って部屋に向かう。最初に入った客室は908号室。喫煙室というより、ヘビースモーカー専用ルームかと思うほどものすごいタバコの臭いだった。1秒でこりゃだめだと思い廊下に出ると、共演者もまた廊下に出てきて、お互い顔を見合わせながら「タバコでしょ?」と相槌を打ってしまった。フロントに降りてルームチェンジを申し出ると、別のルームキーを渡された。ぱっと見たら908と書いてある。あれ?さっきと同じ?と思いきや、よく見ると806だった。さかさまに見ても不自然でないフォントだったので、尚のことそう感じた。

客室を入ると入口部分の床はリノリウム敷き。それより奥も薄いことこの上ない絨毯だ。壁紙はプリンスホテル風で、なんとも殺風景。ベッドやデスクに設置されたランプのシェードだけがちょっとかわいらしく彩りを添えている。小さな金庫、大きな空の冷蔵庫、ポットやお茶などが用意されているが、電話機はベッドサイドにはなくデスクのみだ。ベージュのカーテン、花模様のベッドカバー、ブルーの絨毯と、いったいこれでコーディネートと言えるのかと思えるほどひどい取り合わせをしている。

バスルームはユニットで、シャンプーなどは壁掛けディスペンサーだが、その他のアメニティは一切置いていない。それを「地球環境を保護するため」だとかなり堂々と声高に宣言している。あたかもホテルにとってもコストや手間が掛かることを不承不承やっているとでも言わんばかりだ。地球環境保護という側面もあることは認めるが、大義名分だけを掲げられると何とも偽善的な印象を受ける。むしろ「少しでもお安くご利用いただけるように」などと書かれている方が協力しようという気になるものだ。バスルームは狭く、バスタブはとても小さいが、トイレには洗浄機能が備わっていた。しかし、この客室を一晩使ってみて、この土地、このサービスならば1泊5,000円程度が限度ではないかという印象だった。

このホテルのチェックアウトタイムは午前10時だ。ビジネスホテルとしてはあり得る時間だが、シティホテルではあり得ない。翌日は午前11時頃の特急列車で次の公演地へと移動する予定だった。駅までは徒歩でほんの数分。10時にチェックアウトしては、いささか時間が余ってしまうし、自分はともかく、共演者たちを30分でいいから余分にゆっくりさせてあげたかった。そのため、食事を終えて戻った時に、フロントでその件をお願いしてみた。

チェックアウトが10時なのは承知しているが、なんとか30分ほど延長するように便宜を図ってもらいないかと頼むと、あっさりと断られた。それも、規則だ約款だと理屈をこね、ちょっとでも超過したら規定の超過料金を取るという言い方だった。どうしても延長ができないのなら、期待に添えない遺憾を込めて、丁重に詫びつつ断ればいい。しかし、物理的にできない理由はなかった。確かに規定ではそうかもしれないが、この程度の延長を、どうしても満室だとか特別な理由のない時に断られるのは今回が初めてだった。大抵どこでも1時間程度の延長には快く応じてくれる。しかも、今回は不手際があれば後々まで影響のある大手の音楽エージェントを通じての予約なのだからなおのことだ。

また、このホテルにはメンバー制度があり、だれでも無料で気軽にメンバーになれる。ただし、それは繰り返し利用するゲストを対象にしているとのこと。我々も、またこの土地で演奏会があれば、このホテルを利用するかもしれない。その辺も含めて入会を申し込もうとした。それならチェックアウトが11時まで延長できるからだ。しかし、その入会すら拒否をされた。繰り返し使う予定が定まっていない人は入会させない方針だそうだ。ホテルという商売の性格をなんら理解していないとしか言いようがない。

結局30分を掛けて熱心に交渉した結果、30分の延長が許された。共演者たちはそれを随分と喜んでくれ、翌日は10時30分にロビーで落ち合うことになった。しかし、全員このホテルにはガッカリ。あまりホテルについて話題にしない人たちだが、列車の中では珍しくホテルに関する印象を語り合った。

室内全景 ベッドは120センチ幅

デスク ベイシンとバスタブ

2003年7月10日 朝
伊勢パールピアホテル イタリアンレストラン「イルマーレ」
哀-5 追い出し作戦
店内の様子
朝食の営業は7:00〜9:00となっている。6:55に店先へ出向くと、まだ準備中だと入店を断られた。早すぎたのだから仕方がないとロビーで待つことにした。しかし、ロビーでは清掃係がモップやバケツおっぴろげて清掃大会の真っ最中。客がいるのだからすこしははばかったらいいものを、我が物顔で作業している。そうこうしているうちに7時を過ぎたが、店はオープンせず。ようやく開いたのは10分になってからだった。こんなに宿泊客がいたんだと驚くほど、ビジネスマンで混雑する店内。新聞は入口に4部しか用意されておらず、明らかに不足していた。料理はブッフェスタイル。サラダはディスプレイも美しく、品質もよかった。サービスは完全にセルフサービスだ。8:30分に共演者とミーティングを兼ねて再度この店で落ち合った。この時に食事をしたのは共演者だけだったが、9:00になると、「そろそろ清掃のものが来ますので、よろしくお願いします」と退店を催促された。その後も、「営業は9:00までとなっております」としつこい。食べ終わって粘っているのではなく、まだ食事の最中なのにこの始末だ。共演者たちは腹が座っているので、そんな催促にはびくともしない。清掃をしたければ、始めてもらって一向にかまわない。マイペースで食事をし、結局終わったのは9:20くらいだったろうか。だがまだ清掃の人は影もなかった。共演者からは「ホテルというのは、ゆっくりと休むところよね。ゆっくりできないで、何がホテルかしら」との言葉。確かにその通りだ。

[伊勢パールピアホテル]

Y.K.