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2003年8月7日

グランドハイアット東京 「The French Kitchen」
哀-2 気取ったビストロ
客席からキッチンを見る
渋谷でリハーサルを終え、食事をしようということになったが、あまりぞっとする店がなかったので、タクシーで六本木ヒルズまで行き、グランドハイアットの「フレンチキッチン」に入った。予約なしで訪れたので、店先で席があるか尋ねてみると、若干前後するかもしれないが、20:30なら案内できる見込みだと言われた。20:20のことだった。とりあえずバーに案内してもらい、席が空くのを待つことにした。実際に席が用意されたのは20:50だった。アペリティフを楽しんでいたので、待ちくたびれることはなかったものの、予定時刻を過ぎても何ら言葉が添えられなかったことには、いい加減さを感じさせられた。

店は非常に広く、さまざまな雰囲気のセクションに分かれている。天気がよければテラス席もいいかもしれない。ワインやキッチンさえもインテリアの一部に取り入れ、大変躍動感のある都会的な空間だ。その演出力はたいしたものだと感心する。案内されたのは店内中央に掛かるブリッジ脇の、キッチンを見渡すテーブルだった。堂々たる風格のシェフがオーダーを読み上げる姿すら店内の演出に取り込み、レストランを食事の場所から劇的空間へと進化させている。清潔感のあるキッチンでは、もくもくと調理する調理人の姿が見られるが、厨房らしい活気というものは伝わってこない。どちらかというと、「実験室」といった雰囲気だった。

コースは6800円から用意されており、その最も手頃なコースを注文した。オードブルには鴨肉とフォアグラにイチジクを添えた一皿。盛り付けは美しく、しっかりとした見栄えだが、下に敷かれたキャベツの千切りがビストロっぽい。連れが皿に載ったあるものを指して、「これは何かしら?」と尋ねると、「それはジャガイモですね」とぶっきらぼうな返答。しかし、実際に口にしてみると、それはリンゴだった。

メインディッシュは鯛か牛フィレをチョイスする。途中で盛り付けが崩れ、価値が半減した皿を、平気でテーブルに載せる無神経さに閉口。にもかかららず仰々しく料理の説明をし、「ボナペティ!」なんていわれても、滑稽なだけだ。パンはおいしかったが、なくなっても新しいものを持ってくる気はない様子。それどころか、ワイングラスが空になっても注ぎに来ない。自分で注ごうにも、ワインクーラーはテーブルから離れた所に置かれている。

そのくせ、隣のテーブルで客と話し込んでいて、手を挙げてもこちらには来ない。若い女性3人連れに鼻の下を延ばす気持ちは理解できるが、他のテーブルに滞りがあるようでは困りものだ。それを係に注意しても、にやにやと薄ら笑いを浮かべながら謝っていて、みっともなかった。ところが、それでも反省がないのか、会計時も一向に気付かない。サービス中の目の付け所が最低レベルだ。気取ってはいるものの、実力がない上に、人数も少ないと来ている。これはオーナーが客をバカにしているということだ。

料理は悪くない。値段に対する満足は十分にあった。ワインも思ったよりは手頃なものが充実している。気軽な普段使いに適した店だろう。

[グランドハイアット東京] 030502

Y.K.