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2004.11.26.(金)

ホテルラフォーレ新大阪 Suite
Hotel Laforet Shin-Osaka
哀-3 疲れ果てたスイート
外観
ホテルラフォーレ新大阪のフロントサービスも、決して感じが悪くないのだが、スイスホテルから来て比較すると、いささか洗練度に欠けることが感じられる。行き届いたサービスの更に上を目指すことの難しさを知り、より高度な次元で洗練を極めることは、ホテルが文化として成熟する上で非常に重要だと思う。我々音楽家も商売で音楽をやってはいるが、ビジネス最優先の考え方をしている人は少なく、時には生活も忘れて音楽の世界に没頭してしまう。自分の仕事に誇りを持ちながら技術や感性を磨くことは、お金儲けよりも自分を満たしてくれる。サービスもスタイルとスキルを極めれば立派な芸術だ。そんな芸術家のいるホテルは、なかなかないものだと、チェックインを済ませながら考えていた。

この日は、ラフォーレ新大阪の最高級客室に泊まった。90平米の立派なスイートの宿泊客でも、コンサート仕様の支度で重たい荷物を自分で部屋まで運ばなくてはならない。ウソでもいいから「お手伝いいたしましょうか?」と声を掛けてくれてもいいのに。そうしたら、にっこり「大丈夫ですよ」と応えて、あと一息頑張る元気も出ただろう。

スイートは標準客室3室分の面積があり、2室分がリビングルーム、残り1室分がベッドルームに当てられている。エントランスを入ると木肌で囲まれた前室があり、ゲスト用クローゼットとトイレが設けられている。この部分の照明はかなり暗かった。リビングルームには四角いローテーブルを囲んだソファセットと、円卓を囲んだ4名用のダイニングセットがあり、その間にはおなじみのマッサージチェアが置いてある。

天井からはシーリングとペンダントライトが下がり、スタンドとのコンビネーションで様々な雰囲気に演出できる。ミニバーやテレビは大型の置き家具に納まり、スッキリとした美観を保った。ミニバーにはエスプレッソマシンを備えるがコーヒーの素はふたつだけとケチ。全体に何となく薄汚れた感じで、イスというイスに柄の合わないカバーが被せてある。それがまるで家具付きで売りに出された家の汚れ防止のカバーのように見えるのは、それ自体が汚らしいからだ。滞在中は申し訳ないが外させてもらった。スタンドには埃が積もり、カーペットもかなり汚れていた。

続くベッドルームには、最近導入したばかりのテンピュールマットを敷いたベッドが2台並んでいる。テンピュールベッドと言っても、キャピトルのもののように、マットレス全体がぶ厚いテンピュールでできている訳ではなく、通常のマットレスの上に薄いテンピュールマットを敷いたもの。ちょっと通販のトゥルースリーパー風だが、デュベスタイルの寝具も合わせ、とても快適だった。寝室にもデスクやソファを備える。クローゼットはウォークインだが、かつてあったはずの扉を取り払い、むき出し状態になっている。中を照らす照明もなく、暗くて使いにくかった。

バスルームはとても広く取られているが、タイル張りであまりときめかない造りだ。扉正面にあるダブルベイシンのトップは人造石。アメニティは十分で、シャンプー類はSOMOを揃える。ベイシンの右側には、腰掛になる段差を設けた広いシャワーブースがあるが、ガラスで囲まれたバスタブ横にも洗い場的なスペースが取られている。トイレはバスタブの脇に据えた。照明が平板なのもつまらない理由だった。

レストランで2,080円の朝食は、ルームサービスにすると2,770円になる。それを注文してみたが、値段に差があっても内容はまったく同じだった。食材へのこだわりを銘打っている朝食だが、実際には説得力が感じられず、割高感が残った。サービスも朝から接したくないようなレベル。手入れが悪く、疲れ果てたような客室の中で、別格に存在感があったのは、額のリトグラフや油絵だった。総じて立派にできた客室なので、大切に磨き上げて欲しいものだ。

リビングのソファセット リビング手前から奥を見る

リビングの置き家具 ベッドルームのデスクとリビングに通じる扉

テンピュールマットを使ったベッド クローゼットにあるはずの扉がない

人造石のベイシントップ バスタブとトイレ

シャワーブース内 エスプレッソマシンとティーセット

[ホテルラフォーレ新大阪] 041108

Y.K.