ルームフォレストは5階から16階までに位置し、現在このホテルで最も数の多い、標準的な客室となっている。カラースキーム別に3タイプあって、5階から9階が「リーフ」、10階から12階が「フラワー」、14階から16階が「ツリー」と、それぞれにテーマがある。今回は16階の「ツリー」タイプになった。3種類の中では最も濃い色調だ。

ルームだんらん同様、改装されたのは居室のみで、バスルームや入口付近は昔のスタンダードルームと変わっていない。居室で一番目を引くのは、窓際に置かれたデイベッドだ。日中、窓際でのんびりと過ごすのに適しているが、大人数で利用する場合はエキストラベッドの役目も果たす。98センチ幅のベッド2台をL字状に置き、4分の1円型や半円型のスツールを添え、更に背もたれやクッションを置いてデイベッドに仕立ててあるというわけだ。

ベッドは120センチ幅のドリームジャーニーベッドをハリウッドツインスタイルに置いている。真っ白なデュベカバーには、よく見ると唐草模様風の柄が入っている。ベッドボードは天井付近まで迫る木目が印象的で、白熱色蛍光灯の間接照明が埋め込まれている。そのライトの下には読書灯と小さなくぼみ、そしてコンセントが設置されており、携帯電話などを置くのに丁度いい。

テレビやデスクは、壁際に機能的にまとめてある。デスクに奥行きがないが、電話機も置かれ、ちょっとした書き物くらいはできるスペースだ。液晶テレビを挟んで反対側のデスクエンドにはカーブを持たせ、そこをドレッサーにあててスツールを置いている。収納スペースも確保してあり、なかなかよく考えられたユニットだ。

照明は、ダウンライト、シーリング、間接照明だけで、デスク付近を含めてスタンドの類はひとつもない。ダウンライトにはハロゲンを使い、シャープな雰囲気を出している。また、コンセントがあちこちに数多く設置されているのが便利だった。

ここのバスルームは広くて気持ちがいい。昨年、しょぼくなったと感じたアメニティも、昔のように充実したものに戻った。60mlボトル入りシャンプー類、ハンドメイドのコーム、ヘアスタイリングフォーム、男女別化粧品、発泡入浴剤も揃っている。アメニティはいいが、今度は明るさが気になった。以前はこんなに暗くはなかったように思う。バスルームの照明は調光が可能だが、50%から上は明るさが変わらない。ということは、調光つまみの50％で、すでに電球は最大出力になっているわけだ。ここはケチらす、もっと明るい電球を使って欲しい。

バスルームでBGMが聞ける設備があるのだが、ボリュームを最低にしても、驚くほど大きな音がして、結局使えなかった。このホテルに限らず、音量の調節がおかしいホテルは少なくない。こうした設定は、簡単に変わってしまうことなど考えにくいので、最初から、もしくは客室の改装をした時点からずっとその状態なのだろう。BGMがダメかと思ったら、今度はテレビのBS2が映らない。どうしても見たい番組があったので、フロントに申し出て調整してもらった。たかがBGMの音量、たかがBSかもしれないが、それも設備のひとつなので、ちゃんと機能させてもらいたい。

また、今回の客室はコネクティングドア付きだった。コネクティングルームはどうも好きになれないが、今回はせっかくいい部屋を用意してもらったので、我慢することにした。このドアは遮音性が乏しく、隣室でビニール袋を扱う音までが筒抜けだった。更に、廊下のBGM音量も大きすぎて、室内までよく聞こえていた。清掃についても、床の食べ物カスや、扉に付着した埃など、行き届かない点があった。それでも、客室としては、ルームだんらんよりルームフォレストの方が、オーソドックスで使いやすく気に入った。

チェックアウト後は「味処 季布や」でとろろそばのランチを。ゆでたてのそばには京野菜がたっぷりの載せられ、とろろにほんのり甘味のあるつゆ、かおりのいいわさびが添えられる。寒鰤の照り焼きと温かいおはぎも付いて1,680円。割烹らしい一本木のカウンターとキビキビしたサービスが気持ちいい。