黒黴の天井
2007.04.24(火)
神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ Towers Deluxe Twin Room
Kobe Bay Sheraton Hotel & Towers
哀-2

窓からの眺め 神戸ベイシェラトンに滞在するのは、ユニバーサルスタジオジャパンのプレオープンに訪れた時以来のことだ。かつては最上階のフレンチレストラン「ラ・コート・ドール」の料理とサービスを味わうために、東京からはるばる足を運んだものだが、「ラ・コート・ドール」がなくなったことで、このホテルを訪ねる最大の目的は失われてしまった。ホテル周辺の環境も開業当時とは随分と様変わりし、街全体の雰囲気が生活感で埋め尽くされるようになったこともあり、もはや泊まることが旅の目的となるようなホテルではなくなった。

中心部から遠く離れた立地条件という点では、ハイアット・リージェンシー・オーサカによく似ているし、双方ともにユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアソシエイトホテルという共通点もある。平日には団体客が多く、個人のビジネスステイゲストが少ない点も同じ。そして、外資系のブランドネームがもったいないようにも見え、しかしながら、それを外してしまったら、価値が大きく低下するという点も同じだ。

到着は比較的スムーズだった。係に案内されるがままにフロントへ行くと、タワーズの部屋を用意しているとのことで、タワーズレセプションのある19階へと移動。そこでは係が待ち構えており、とても丁寧にチェックインが行なわれた。客室は同じフロアにある36平米のツインルーム。目の前にある高層ビルが視界を遮るものの、神戸らしい山側の夜景も望めるサイドだ。

開業以来、大きな改装は行なっていないので、ファブリックを中心に限界に近いくたびれ具合だが、インテリアデザインは秀逸なもの。いささか流行からは外れているが、それでも十分にバランスが取れ、上品で雰囲気のいい客室だ。カーテンやレースの色使いや、曲線を生かしたイスの背など、リゾートを感じさせる要素も散見される。クローゼットやミニバー、テレビ収納などを兼ね備えた大型の置き家具は、部屋の中で圧倒的な存在感を示しているが、肝心のテレビは20インチと小ぶり。

デスクの上には、今日から備わったというエスプレッソマシンが置かれており、いつでも淹れたてのコーヒーが楽しめるのはいいが、扱いが面倒なのと、やや場所を取るのが難点だ。ベッドは120センチ幅のシェラトン・スイート・スリーパー・ベッドが2台入っているが、横浜ベイシェラトンやシェラトン・グランデ・トーキョーベイのものとは、シーツの重ね方などが少し違っている。

バスルームは総大理石張りの立派な空間だが、面積が約5.4平米と、シャワーブース付きのバスルームとしては狭い部類で、特にシャワーブース内が窮屈な印象がある。タワーズフロアのアメニティはモルトンブラウン。タオルはバスタオルのみ3枚で、フェイスタオル、ハンドタオル、ボディウォッシュクロスが2枚ずつ用意される。せっかくの大理石張りバスルームだが、カビの繁殖が深刻な状態だったのは残念。特にシャワーブースの上方には、ヤニのように真っ黒く密生しており、においも相当きついので、バスルーム全体に胞子が飛散しているものと思われる。この状態は、早急に改善してもらいたい。

日が暮れる前に、フィットネス&スポーツ「ザ・ベイクラブ」を利用した。平日の日中だからか、利用客はほとんどない。数人の会員が利用していたが、テニス以外はほとんどがお年寄りだった。ジムは狭い上に設備が古いが、インストラクターが親切。プールは周囲をウッドデッキで囲ったユニークなデザインで、抑えられた照明がいい雰囲気を醸しているので、リラクゼーションにも向いている。

夕刻、タワーズラウンジのカクテルアワーに立ち寄ってみたが、他に客はいなかった。サービスされるのはカクテルなどの飲み物のみで、オードブルやつまみなどは一切ない。せめてナッツくらい出して欲しい。

夕食は「ガーデンカフェ」のディナーブッフェ3,300円コーヒー付きを利用した。以前はその名の通りガーデンの中にいるような雰囲気の店だったが、改装されて印象が変わった。屋外にはウッドデッキのテラスを設け、犬を連れて利用することも可能になった。店内にあった池も床で覆われ、その部分にもテーブルが並んでいる。照明が明るくなり、今風にはなったけれど、以前の方がずっと好きだった。更に違和感があったのがBGMだ。ホテルロビー用のスローなストリングスアンサンブルを流しているが、今の内装ならラウンジミュージックくらいの方が似合うと思う。ブッフェの内容だが、どちらかと言えばファミリー向け。実際、周囲の席で食事を楽しんでいるのは、多くがファミリーだった。

翌朝はタワーズラウンジで朝食をとった。ヘルシーコンチネンタルとネーミングされているだけあり、大きくて新鮮なフルーツトマトや、数種類の飲む酢などが並んでいた。昼食には「トップ・オブ・シェラトン」を利用しようと思ったが、なんと中学生の団体による貸切とのこと。そこまでなりふり構わない状態なのかと思うと、気の毒でならない。

ロビーにはシェラトン共通の香りが散布されているが、あまったるくて頭が痛くなる。また、以前は植物がふんだんに飾られていたが、その多くがニセモノに代わってしまった。ホテル全体からインターナショナルホテルの風格が消え、ちょっと立派なコミュニティホテルにとどまっているというのも残念だ。

東京へは神戸空港から飛行機を利用した。開港当時はこのホテルからもバスが出ていたが、早くも廃止。仕方なくタクシーで空港へ。海上の空港は意外なほど静かだった。すぐ近くにポートアイランドや神戸の街並みが見えているのに、そこから発せられる音はほとんど聞こえない。駐機場はからっぽ。なんとも寂しい空港だが、居心地は悪くない。出発までは上島珈琲店で過ごした。JBLスピーカーから流れるクラシックや、フランクロイドライトのスタンド、そして何より神戸らしい香りのコーヒーが懐かしかった。

 
36平米のツインルーム 大きな収納家具 居室の入口には扉がある

S.S.S.B. この日から備わったエスプレッソマシン 入口と内扉の間にあるドレッサー

大理石張りのバスルーム ベイシンとバスタブ ターンダウン時にベッドに置かれるカード

タワーズラウンジの入口 タワーズラウンジ内 ケーキセット

外観 ホテル前の人口川 ロビーの一角

 
横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ 920627 930331 940207 960415 981026 010325 050917


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