駅前ホテル戦争
2007.10.04(木)
ホテルルートイン古川駅前 Comfort Single Room
Route Inn Furukawa Ekimae
哀-1

ホテル外観 東北新幹線と陸羽東線が交差する古川駅前では、2軒のビジネスホテルが鎬を削っている。いずれも大手ビジネスホテルチェーンに成長した東横インとルートインだ。先にオープンしたのは東横インの方だった。それ以前にも、地元の小さなビジネスホテルが数件あったそうだが、東横インのオープン後、客足を奪われて、閉館を余儀なくされたホテルもあるという。

そこに拍車を掛けたのがルートインのオープン。旧来のホテルから悲鳴が聞こえてきそうだ。しかし、どうやら東横インも苦戦しているらしい。やっぱり女房とホテルは新しい方がいいのか。いや、新しいホテルが選択されるには理由があり、これら2軒のホテルを見上げれば、たちまち合点がいく。

いずれも料金的には同じレベルだが、見るからに後から建ったルートインの方が、ワンランク上に見えるのだ。どんぐりの背比べだけれど、どうせなら立派などんぐりの方がいい。そして、ロビーも客室も付帯施設も、新しい方が一枚上手なのだという。ホテル戦争は、大都市だけの問題ではなく、全国に広がっているようだ。

このルートインは駅前に位置しながら、建物の周囲に広い平面駐車場を設けている。客層を見ていると、車で来ている出張に来ている客と長期滞在のビジネス客が主で、一部1泊の観光客が泊まっている様子。エントランスを入ると、ビジホにしては広いロビーに、どっしりとしたソファが16脚も並んでいる。一角には無料のコーヒーマシンやインターネットに接続されたコンピュータも備えている。ちょっとした息抜きや気分転換にも活用できるロビーだ。フロントカウンターは大理石で造られており、ロビー全体にはちょっとしたプチゴージャス感が漂う。ホテル界の「サイゼリヤ」か。

同じ1階には朝と夜で店名が変わるという不思議な飲食店と、男女別の大浴場がある。大浴場は宿泊客なら誰でも無料で利用可能。男性用は人工ラジウム温泉の浴槽と5口の洗い場、足裏マッサージ機を設置したリラクゼーションコーナー、コインランドリーからなっている。また、近いうちに天然温泉に切り替わる予定だという。

客室はレギュラーフロアとコンフォートフロアに分かれているが、料金差はわずか数百円なので、ここはコンフォートフロアを利用したいところ。広さは同じでも、フロア全体がワンランク上のインテリアになり、ベッドやアメニティもグレードアップするので、その価値は十分にある。

室内はダーク系の木目でコーディネートされ、ベッド周りの濃い色の壁紙と派手なアートワークが目を引く。デスクは思ったより広く、目の前のミラーも大きい。クローゼットは窓際に据えているが、これはとても小さい。ベッドは140センチ幅で、カバーと一体型の寝具を使っている。マットレスは驚くほど硬かった。バスルームは160×120センチのユニット。デザイン性の感じられる居室とは対照的に、これ以上退屈にはしようがないほど。ワンルームマンションのバスルームそのものだ。

朝食は1階のレストランで和食中心のブッフェが500円で提供される。狭い店内に窮屈に詰め込まれたテーブルに、ごった返す客。朝食の環境としては最悪。料理も500円ですら高いと思わせる内容だった。

宮城県でのすべての予定を終え東京に戻ると、街中にあふれる広告にうんざりした。そういえば、宮城にいる間は、さほど広告を目にすることがなかった。横暴でオーバーなコピーに振り回される都会人たちには、怒涛のような情報から本質を見極める分別という鎧が必要だ。

 

コンパクトなシングルルーム 質感はともかくとして雰囲気には気を遣っている様子 デスク周辺はゴチャゴチャした印象がある

ミラーは大きい つまらないバスルーム アメニティはこの上なく簡素

古川の景色 人工ラジウム温泉 ロビー

 
ホテルルートイン古川駅前


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