だが、エグゼクティブフロアにいる限りは、極めて快適だった。節度の感じられるそのサービスがこちらのペースを乱すことはなく、いつも客の役に立とうという発想で行動していることがうかがえる。

チェックインを済ませてすぐ、28階の「ゴードン・ラムゼイ」でランチを。ヒルトンの「トゥエンティ・ワン」にいたスタッフが、よく気を利かせてくれるので、滞在中はこの店を利用することが多い。この日は日曜日だったので、ランチメニューはシャンパンの付いたプリフィックスだけ。前菜、主菜、デザートの3皿で6,800円。コーヒーは別料金となっている。

シャンパンはパイパーだが、このシャンパンの味は好きでないので、別にカリフォルニアのシャルドネをグラスで注文した。ヒルトン東京ベイで同じものを注文した時は1,400円だったが、ここでは3,300円である。また、メインディッシュにはシャトーブリアンのゲリトンサービスというのを勧められたので、2,000円の追加料金でそのように。店内は混雑しており、料理も随分と待たされてしまい、ペースが崩れ、美味しく食べられなかった。料理はタイミングが肝心である。

しかも、料理を食べている途中にスタッフが「お味はいかがですか」などと割って入ることがしばしば。気を利かせてコミュニケーションを取っているつもりかもしれないが、料理が口に入っている時に尋ねられても迷惑なだけだ。逆に、料理が遅れている時など、なんとか間をつながなければならないような場合には、知らん顔をされるなど、サービスのツボを外している。料理を運ぶ銀のトレーも、表面はきれいだが、座っている客の目線には汚れた裏側の方が目に入る。このように、客目線でのサービスというものが軽視されていることが伺え、残念。

客室はいつもと同じルームナンバーだった。いつもなら見事な清掃状態だが、ガラスの拭き残しが数箇所あって、今回はツメが甘い印象が残る。さらに、ベッドリネンとタオルには大きな不満が感じられた。まずは、黒ずんだタオル。これは以前から指摘しているが、未だ改善されない。他のラグジュアリーホテルでは、常にフカフカのタオルが用意されるが、コンラッドだけは、黒ずんでゴワゴワの劣化したタオルを平気で置いている。今後は入れ替えの予定だと言うが、これは早急に対応すべきだ。

そして、ベッドリネン。肌触りは気に入ってるのだが、今回は臭いが気になった。キッチンで使ったものと一緒に洗ったような、あの生臭さ。1泊目に眠っている時、あまりに臭くて目が覚めた程だ。翌日客室係に伝えると、家庭用のシーツと違って磨耗しやすいデリケートな品物なので、ふつうには洗えないのだという言い訳だった。

シーツは長いロール状の洗濯機で洗うのだが、時折バンケットのクロスなどが混ざることもあるらしい。その辺の事情はともかく、ベッドリネンが臭うなどというのも、他のラグジュアリーホテルではないことだ。そう指摘した日のシーツも、腐ったイワシのような臭い。想像するに、洗う過程の他に、保管場所にも原因があるような気がする。

また、連泊の際、アメニティの補充は、残量が「半分以下」になってからでなければ行なわないことになっているらしいが、これもケチ臭い。毎日補充したとしても、無駄だと思う客は使わないだけの話である。べらぼうに高い料金なのだから、アメニティくらいケチケチせずに置いてはどうだろう。こんな状態にもかかわらず、10月からは宿泊料金の値上げに踏み切った。いったい何をもって説得するのか。客から見ると、意味のない値上げにしか思えない。