檜風呂
2007.11.14(水)
ヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテル Japanese Suite
InterContinental Yokohama Grand
哀-3

ロビー このホテルはいったい何処へ向かっているのだろう。あれほど気に入って繰り返し利用していたのが幻影に思えてくる。通り一遍で冷たいサービス。かつての得意客が久しぶりに来たのなら、できるだけよいサービスをして、再び足繁く通ってもらおうと努力するのが普通だろうに、そのような感触は一切なかった。

チェックインの際も、フロントカウンターはガラガラなのに、まるで客をさばくような態度で、笑顔を見せないどころか、ろくに言葉も発しない。レジストレーションカードにあらかじめ印刷されている名前の頭が、Mr.でなくMissになっていたので、それを指摘したが、「だから何?」と言わんばかりだった。こんな様子を見るのはイヤだから、どうしてもこのホテルを避けるようになってくる。これほど気分を萎えさせるホテルというのも珍しい。

今回は和室を予約してあった。インターナショナルホテルの和室。手入れは面倒だし、それほど需要もないので、最近はどこでも廃止される傾向にある。このホテルでは6階をまるまる和室のフロアにあて、7室の和室スイートを用意している。海側は純和室で、観覧車側は洋室のリビングを持つ和洋室になっている。

今回は、それら7室のうちで、1室だけしかない最も狭いタイプが用意された。このあたりにも意地悪さを感じる。なぜなら、この日、和室フロアはガラガラ。チェックインをした後も、Web上で和室を販売し続けていた。しかも、安く。その状況から考えて、もっと条件のよい広い部屋をアサインしても一向に問題なかったはずなのに、敢えて悪い部屋を用意したのだ。実際は悪意などないのだろう。だが、一連の流れを振り返っても、そう捉えられても仕方のないサービスをしているのは、ホテル側である。

しかし、客室のユニークさと、間近に眺める海の表情が、気の利かないサービスを忘れさせてくれた。和室の入口を入ると、カーペット敷きの踏み込みになっている。壁には手摺りも設けられ、和装や年配者の利用にも配慮しているのかと思いきや、玄関ホール全体が薄暗いとは片手落ち。一段上がると、左手に下駄箱、右手にはトイレがあるが、このトイレだけは洋風の造りになっている。

その先の次の間は6畳。押入れと姿見があるだけの質素な空間だ。続く12畳半の本間も同様で、飾り気がまったくと言っていいほどない。床の間はあれど掛け軸も花もなく、まるでドロボーに入られた後のよう。あるいは、なにかの稽古場のようなサッパリとした感じとも言えなくないが、華やかなホテルにある客室としては、やっぱり殺風景で物足りない。

窓は幅160センチ×高さ135センチのものが2面あって、障子よりも外側に襖が取り付けられている。また、ここは海沿いに建つこのホテル内でも、最も海面を近くに感じられる部屋のひとつでもある。240センチの天井に埋め込まれた照明は蛍光灯のみで、床の間の間接照明もまた蛍光灯。日中はいいが、夜にはいささか白々しい。

テレビは本間にのみあって、壁に据え付けられたアーモアに収納されている。寝具はターンダウン時に客室係が用意してくれるが、100センチ幅のセンベイふとんで、あまり寝心地はよくなかった。また、就寝時用に、行灯風のライトも用意される。

バスルームは魅力的だった。脱衣所のベイシンのエリアはゴザ敷きになっており、そこに冷蔵庫も設置。アメニティやタオルは4人分セットされている。そして、ウェットエリアは洗い場付きで、ふたりでも入れるほど大きなヒノキの浴槽を置いている。洗い場と浴槽の周囲は黒御影石で、腰から上はタイル仕上げの上品な空間だ。

ヒノキ浴槽は使い込まれ、部分的に色が変わったりもしているが、極めて強力な水流で注がれる湯を、瞬時にやわらかい肌触りに変えてくれ、16年経った今でさえヒノキの豊な香りがたちのぼる。浴槽は湯を溢れさせられるタイプなので、思い切り「ジャバーッ」と浸かれるのだが、洗い場に勢いよく流れ出た湯は、滞ることなく排水されてゆく。排水設計も完璧である。海を眺める大理石のビューバスもいいが、たまにはヒノキの香りに包まれながら、鼻歌まじりにくつろぐのも悪くない。

チェックアウトも、到着時同様に流れ作業的で感じが悪かった。人に触れる度に、もう来るものかと思うのだが、いつしかまたそんなことは忘れ、海の眺めが恋しくなるに違いない。そしてまたガッカリ。その繰り返しだ。

 
次の間から本間を見る 本間から次の間を見る 稽古場のようにサッパリとした造り

次の間には姿見がある エントランス トイレ

床の間には何の装飾もない 卓 本間から次の間を見る

海が近い ベイブリッジも見える ウェルカムフルーツ

浴室の扉はホテルのシェイプをイメージ 脱衣所 洗面所

洗い場は御影石 檜の浴槽 エレベータホール

ロビー ロビーの階段 フロントカウンター前

 
ヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテル 930928 940221 950501 960720 970105 970121 970720 990904 991002 000115 000401 000422 001014 001018 001114 001117 001123 010107 010303 010519 010609 010706 010728 020116 020112 020104 020306 020323 020612 020712 030103 030104 030428 030920 031218 040414 040428 040514 050101 050622 050924 051031 051118 070406


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