町を歩く人々の顔ぶれも変化している。若者やファミリーが多いのはこれまで通りだが、外国人、特に黒人が大勢溢れかえって、日本ではないかのような雰囲気だ。ディスカウントショップや、小さな店が軒を連ねる商店街などで混沌とした街並みは、東京というよりはアジアである。

ホテル ザ エルシィ町田は、JR町田駅ターミナル口からは比較的至近距離に位置するが、小田急町田駅からだと徒歩で5分以上は要する。徒歩で訪れる人の多くは、ぺデストリアンデッキに直結する2階のエントランスを利用するが、メインエントランスは1階だ。ちょうど2階エントランスの軒下が車寄せになっており、昼なお暗くホテルの正面玄関という感じではない。まるで駐車場の一角である。

フロントはその暗い玄関を入った真正面にある。その陰気なロケーションとは違って、フロントのサービスは明るく丁寧だった。話し方もやわらかく、きちんと客の目を見て話す。チェックインはスムーズに済んだ。部屋への案内はなく、3基のエレベータが客室階へと通じている。

客室は8階から13階に位置し、最上階の13階はスイートとスーペリアルームを配した特別フロアになっているが、今回はレギュラーフロアの10階だ。チェックインタイムを過ぎた時間でも、廊下は客室係に占拠された状態。用意されたダブルルームは廊下の一番奥にあるので、清掃用のワゴンを何度も避けながら進まなければならなかった。

部屋に入ってみると、ホームページ上で紹介されている部屋とは、かなり設備が違うことに気付いた。だが、ダブルルームにはAとBふたつのカテゴリーがあり、今回は安い方を予約してあったので、ホームページには高い方が載っていたのだろう。パッと見たところでは、ホームページで紹介されているシングルルームとほとんど同じ。

窓際のデスクユニットに、5段の収納や冷蔵庫なども組み入れ、テレビもその上に載せている。部屋が17平米程度と狭いので、20インチの液晶テレビが大きく感じられる。引き出しには、かつてミニボトルを備えていたことの名残りが見られる。デスクにはオフィスチェアが添えられ、LANは無料。電話機はベッドサイドではなくデスクに置いてあるが、なぜかメモ用紙が見当たらなかった。イスの類はオフィスチェアのみなので、この部屋を二人で利用する場合には不便を感じるかもしれない。

天井高は250センチで、窓は小さいが、周囲に高い建物が少ないので、思いのほか遠くまで見渡せる。照明はデスクライト、ダウンライト、ナイトランプのみで、床に置かれたスタンドはなく、部屋全体が男性的な書斎風のインテリアでまとまっている。ベッドは160センチ幅だが、ベッドボードは140センチ幅用なので、はみ出してしまっている。マットレスは硬い上にヘタり気味。ベッドリネンも粗く、寝心地はよくない。かと思えば、3サイズ用意されたタオルはまだフカフカで心地いいし、パイル地の持ち帰り自由スリッパもある。

バスルームは180×140センチのユニット。アメニティはディスペンサーボトルで、ベイシン脇には数段の棚が設置されているのが便利だった。やはり、この部屋はシングルルームに近いようだ。コーナーに位置していることで、柱の分、20センチだけ幅が広いのだろう。その分だけベッド幅を広くしたというだけのことで、他はシングルと同じだと思われる。

夕食には館内のレストランを利用せず、近所のイタリアン「LUCE」に行った。町田に来て、ここのピッツァを食べずには帰れない。カマドで石焼したピッツァはパリッとしてモッチリ。デザートも含め、他の料理も素晴らしく冴えている。それでいて値段が安いので、店はいつも満席。予約をした方がいい。

朝食は「カフェカリフォルニア カリヨン」で和洋のブッフェが1,500円で提供される。宿泊客は前日までなら1,200円の前売りチケットを購入可能。値段の割に品数が少ない印象だったが、それぞれの味はさほど悪くないし、店内の雰囲気も気持ちのよい朝をスタートするのに向いている。