シェラトン都ホテル東京 Executive Suite
Sheraton Miyako Hotel Tokyo
2008.03.09(日)
東京都港区
哀-3

庭の紅梅
 
魅力的だが欠陥も目立つ内装 シェラトン都ホテル東京が最近改装を終えた新しいスイートを利用してみた。以前はプレジデンシャルスイートやロイヤルスイートだった部屋を分割して、新しいエグゼクティブスイートとデラックスルームに改装したもので、11階の禁煙フロアには2室のエグゼクティブスイートが誕生した。

それぞれに広さやレイアウト、向きなどが異なり、備品にも若干の差があるようだが、基本的な仕様は共通しているので、いずれのタイプになっても不足を感じることはなさそうだ。

今回利用したのはガーデン側のタイプ。入り口から居室に至るまで、長い廊下を回り込む構造になっており、それも占有面積に含まれているとなると、ちょっと損だなと思わないでもないが、おかげでプライベート感が一層得られるという考えもある。

居室は横に広いワンルームタイプ。シックな中にもアクセントの効いたインテリアは、それぞれの家具に大きな存在感があり、主張しながらもよく調和している。この部屋の主役はベッドだ。190センチ幅のキングサイズベッドには、厚さ約14インチのスターンズ&フォスターマットレスを導入しており、贅沢な寝心地を体験できる。だが、やっぱりベッドメイクは肩が丸出しになってしまう仕上げ方なので、毎度やり直してもらうのが面倒だ。

枕元にはiPodドックを備えたオーディオが置いてあるが、せっかく持ち運びできるデザインにもかかわらず、盗難を恐れてか、ワイヤーで固定してあるために、ベッドサイドでしか音楽を聴けないというのが残念。ベッドの足元のオットマンは、下部がちょっとした引き出し収納になっているのだが、添えられたサイドテーブルの関係で引き出しの位置が悪くなり、出し入れに苦労する。

ちょうど2面の窓の中央部分に、天然石の天板を使った大型のビジネスデスクを据えた。傍らには42インチのプラズマディスプレイとDVDプレイヤーがあり、エスプレッソマシンとそれ用のカートリッジ36個が用意してある。デスク下には冷蔵庫が収納されており、スイートはミネラルウォーターが無料で利用できる。

そして、部屋の奥にはソファセット。どっしりとしたサイズのソファはレザー張りで、サイドテーブルに載ったスタンドシェードの赤や、アームチェアのマスタード色のファブリックが、深いカラースキームに彩りを添えている。加えて存在感を放っているのが、置き家具のクローゼットだ。艶のある木目仕上げに螺鈿を施し、なかなか立派に見える。しかし、中はハンガーレールと棚だけで、引き出し収納がなく、実際には使い勝手はあまりよくなかった。

また、このクローゼットの位置により、ソファセットの置き場所が照明や額とずれてしまっていることも気になった。通常なら11階客室の天井高は284センチあるはずだが、この部屋に限っては235センチしかない。

その代わりに天井を興味深いものに仕立てているのが、すっかり新しくなった内装の中で唯一村野藤吾の足跡を感じる、天井に施されたユニークな照明器具である。まるで海洋生物のような不思議な造形だが、中央に下がる幾多の透明なスティックが空調のわずかな風に揺られ、それは美しい光の筋を生み出してる。この照明を取り外さずに残したことは高く評価したい。

バスルームも一見非常に魅力的だ。ベイシン、トイレ、バスタブ&シャワーの各スペースを独立させ、コントラストの強い効果的な照明を施している。ヒノキ材で出来たバスタブや吐水口を設けたまではいいが、劣化を恐れたのか、ビニールコーティングされており、ヒノキの香りも感じられないし、肌触りと来たらゴワゴワのビニールの感触。こんなことならフツウのバスタブの方がいい。

バスタブサイドに設けられたシャワーは湯温調節がしにくいし、シャワーへの切り替えもパッと見にはわかりにくい。また、レインシャワーは勢いがなく、せっかく取り付けたのにこれまた意味がない。バスタブ脇に大きな窓を設け、居室との一体感を持たせたのはいい。アメニティは7階と同じ「THALGO」を揃えているが、ヒノキ風バスタブに悪影響だとでも思ったのか、入浴剤は備えていない。トイレ内は空調が届かず寒いし、タオルを掛けるフックもない。

このように、見た目には魅力的な部屋が完成したわけだが、実際の使い勝手はあまり考慮されていないことがよくわかる。これで客室デザインのプロだといえるのだろうか。詰めが甘すぎる。

 
ベッド前からデスク越しにリビングを見る ソファセットの前にクローゼットというのも考えると妙だ 夜の室内全景

ソファセット 絵とソファがずれている ソファから室内を見渡す

贅沢な寝心地のベッド ベッドの周囲だけ天井が一層低い ベッド脇にはバスルームの窓がある

ベッド前のカウチの下にある引き出しは使いにくい ワイヤーで留めてあるオーディオ 突き当たりを右に曲がると入口がある

居室天井の照明器具 入口上の照明器具 ベイシン

アメニティ カランは使いにくいデザイン ハンドシャワー

ビニールコートされた檜浴槽 湯の出口 見た目はいいけれど・・・

 シェラトン都ホテル東京(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 980815 000728 011110 020118 020329 020519 020525 020803 020927 021108 030505 030510 030524 030728 031004 031111 031228 040401 040402 040407 040530 040904 041010 050225 050401 050406 050409 050521 050807 060416 060503 060606 060715 070320 070328 070404 070508 071118 071208


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