ザ・プリンス箱根 Lake View Twin Room
The Prince Hakone
2008.03.21(金)
神奈川県足柄下郡
哀-2

湖上から見た本館の外観
 
爽やかな風景と不機嫌な接客 ハイアットのホテルカーで早雲山駅まで送ってもらい、ケーブルカーとロープウェーを乗り継いで芦ノ湖の湖畔まで出た。そこからは船でプリンスまで船に乗ってアクセスするルートをチョイス。船の出航まで少し時間があったので周辺を散策して過ごしてみた。湖面を渡る風が気持ちいい。知らない人にも挨拶したくなるような気分になった。

ケーブルカーやロープウェーは驚くほどガラガラだったが、船は混雑していた。客の多くはツアーの外国人。バスで芦ノ湖まで来て、湖上の遊覧を楽しんでいるようだ。だが、その外国人のマナーの悪さは目に余る。乗船のための並んでいる列には平気で割り込むし、桟橋でも歩きタバコをし、ついにはタバコの湖にポイ捨てだ。ツアー客ばかりでなく、コンダクターもまた迷惑な存在だった。船が桟橋に着くと、そこでほとんどの乗客が下船したが、プリンスホテルの館内に入る客は他にいなかった。

チェックイン時間よりも少々早い到着ながら、スムーズに手続きが済み、そのまま部屋まで案内されることになった。それはありがたいことだが、案内したはベルキャプテンは感じが悪かった。おそらく普段から身内に尊大な態度を取っているのだろう。それが接客態度にも表れている。気取った歩き方や話し方をし、常に上から目線なのだ。別段何をしでかしたわけではないが、部屋に着く頃には何だか腹立たしい気分になっていた。

今回の客室は本館にある38平米のレイクビューツイン。本館客室は改装を終えているが、旧来の落ち着いた佇まいはよく保たれている。ほとんどの家具は磨きなおしたり塗装を変えたりして引き継がれたが、ファブリック類とベッドは新調された。

居室とホワイエの間には新たにスリット状の仕切りと引き戸を設け、一層の落ち着きを実現。もちろんバルコニーも健在で、大きな窓にはレース、引き戸、ドレープが設置されている。天井高は270センチあり、梁が少ないのでスッキリ感じられる。新しいベッドは142×205センチサイズで、11インチのマットレスを採用。これまでに比べるとはるかに寝心地がよく、ベッドリネンも快適な肌触りだ。

ソファは低く、ゆっくりと腰を沈めるタイプ。デスクユニットはミニバーとテレビ台も兼ねており、テレビは26インチの液晶で、CDプレイヤーも備えている。茶器は以前のままで、用意されたお茶も他のプリンスと共通の安物だったのは残念。クローゼットはホワイエにあるが、ハンガーが少ない上に、ひきだしが2つしかなく、しかもすでにナイトウェアが収まっているため、持参したものを整理する収納はまったくないということになる。

バスルームの改装はそれほど大きな変化はなく、塗装を変え、シャワーカーテンや浴室金具を取り替えた程度だが、清潔感が格段に向上した。シャワーカーテンは2重で、カーテンレールもカーブのあるタイプに改められている。大理石トップのアウトベイシンは、間接照明の備わったミラーが設置され、それがいい雰囲気を醸している。アメニティのトレーには寄木細工風のものを使い、箱根らしさを演出。バスアメニティはアロマセラピューティクスを備えた。タオルはテネリータだが、すでにくたびれてペチャンコのタオルが多かったのが残念だった。

夕方にはターンダウンサービスがあったが、この時の仕事ぶりは非常に不愉快だった。高校生のアルバイトだろうか、不機嫌そうな顔でズカズカと部屋に来て、寝具を乱暴に引き剥がし、他はなにもせずに出て行った。使ったタオルを交換するでもなく、使った茶器を整えるでもなく、ゴミ箱すら見もしない。こんなターンダウンならしない方がマシ。客と接する資格のないような従業員に平気でサービスさせるホテルの品性を疑う。

夕食には「ル・トリアノン」を利用した。高い天井、ゆったりとしたテーブル配置など、高級リゾートのダイニングとしての風格が漂う空間で、ディナー時は男性にジャケット着用のドレスコードを設けている。入口から席までの案内はとても優雅であった。これなら有意義な食事が楽しめそうだと期待したのも束の間、最初にガッカリしたのはグラスワインのサービスに関してだった。

グラスワインのリストからムルソーを注文したのだが、ドメーヌがよくわからなかった。注がれる時に見せてもらえばいいと思っていたが、運ばれてきたのはすでにグラスに注がれた白ワインだった。まあ仕方がないと思いつつ一口。えっ?これが本当にムルソー?勉強不足だと言われればそれまでだが、世の中にこんなに不味いムルソーもあるとは知らなかった。

しかもギンギンに冷えている。温度が上がれば少しは豊かな香りも立ち上がるだろうと思ったが、時間が経つほどに「?」「?!」と疑問が深まるばかり。明らかにボトルを間違えている。いや、もしかしたら故意かも。いずれにしても期待は裏切られた。3,000円のグラスワインだもの。少しは美味しいと思わせてもらいたかった。

料理はよかった。やや宴会料理的ではあったが、繊細な盛り付けとオーセンティックな味わいは、箱根のリゾートに相応しいもの。サービスはそれに追いついていない。料理を食べ終わっても、いつまでも空いた皿がテーブルに置き去りにされることしばしば。優雅に案内してくれた黒服も、自分の仕事は案内のみと決め込んでいるのか、テーブルの様子をフラフラしながら眺めているが、自分から手を貸そうとは思わないようだ。もう少しキリッとしたサービスを提供してもらいたい。

今回の改装で最も大きく変化したのは温浴施設である。これまで露天風呂に体育館の更衣室みたいなのがくっついていただけで、風情もないし使い勝手も悪かった。そこを外部からの日帰り入浴にも十分に対応できるよう、受付や脱衣所、休憩所を設け、露天風呂以外に屋内浴槽、水風呂、ミストサウナ、屋外寝湯、洗い場などを増設して設備の充実を図った。だが、部屋から少なくとも400歩の距離と一度は外気に触れなくてはならないというアクセスは今でも不便に感じる。

ホテルの庭も整備したと説明を受けたが、見た限りでは変わったという印象はない。それよりも、スギの花粉がすごかった。花粉症の人は窓越しに粉の飛散する様子を見るだけでも鼻がむずむずするに違いない。霞かと思ったのは、スギ花粉だった。この季節に訪れるなら、花粉症対策を忘れずに。

 
ナチュラルカラーのインテリア 居室とホワイエの間に引き戸とスリット仕切りが出来た 内扉を閉じたところ

寝心地が格段によくなったベッド デスクとソファセット デスクは古いものを塗りなおした

ローテーブルとソファ CDプレイヤー ミニバーとお茶セット

大理石トップのベイシン 清潔感が増したバスルーム 寄木細工風のアメニティトレー

ひきだしはここだけだがすでに収納物がある 温泉に行く時にも利用できるガウン 恐怖のスギ花粉

ベッド越しにバルコニーを見る バルコニーのイスとテーブル 湖上の海賊船

バルコニーからの昼間の眺め バルコニーからの夕暮れの眺め エレベータホールから中庭の竹を見る

「ル・トリアノン」の壁に垂れ下がる植物はホンモノ 色鮮やかな料理 オードブル

ロビー ロビー ロビーのシッティングスペース

フロント前 ガーデンのテラス 富士山がよく見える

 ザ・プリンス箱根(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 061126


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