今回は、この13階にあるスーペリアツインに1泊した。面積は約50平米。シングルルーム3室分の面積である。エントランスホワイエの床は大理石張りで、ミラー張りの折戸があるのだが、それはクローゼットだろうと思いきや、中はミニシンクを備えたプライベートバーだった。

居室はワンルームタイプ。天井は緩やかなアーチ状で280センチの高さがあり、横一線の細長い窓が列車内のような印象を与えている。手前からデスク、ソファセット、ベッドの順に並び、それぞれが距離を置いてゆったりとレイアウトされており、ゆとりも十分だ。大きなワークデスクは窓を向いてセットされ、オフィスチェアを添えている。高速インターネットは無料。大きな姿見は壁に立てかけるようにして斜めに設置した。

中央のソファはテレビの方に向けてあって、サイドボードに載ったテレビは32インチの液晶だが、地デジではなくDVDもないのが残念。改装前は部屋の中央にデスクがあり、壁に面してコンソールがあったらしい。そのレイアウトに比べ、今の方が部屋の一体感は増していると思われる。

ベッドは壁に収納できるウォールベッド。これは便利なようだが、寝心地は悪い。ホテルの情報によればベッド幅は110センチ2台ということになっているが、実際は98×203センチサイズがハリウッドスタイルに並んでいる。110センチ幅なのはベッド台の大きさで、マットレス幅は98センチなのである。そして、高さは36センチと超低め。これは壁に収納する場合との兼ね合いもあるのだろうが、シングルルームよりもベッドが悪いというのでは困ってしまう。

第一、この部屋はどういう目的で使われることを想定しているのだろうか。ビジネスエグゼクティブの需要などまず考えられないし、週末をわざわざ町田で過ごそうと観光に来る人も皆無に等しいだろう。イスがソファひとつとデスクチェアだけでは、ミーティングや控室にも使いにくい。となると、ブライダルルームだろうか。

実際、このホテルは婚礼にも力を入れているので、ハネムーンスイート的な利用は考えられる。であれば、こんなベッドは論外であろう。今時結婚式の日が初夜なんてことはまずなかろうけれど、もしそんな貞節あるカップルがいたならば、まさにこのベッドは悲劇の舞台だ。むしろ、一般階のダブルルームをオススメする。

カーテンはレース、ドレープ共に電動。照明はダウンライトがメインで陰影のある雰囲気を作っている。もっとムーディにしようと思っても、ダウンライトとフロアスタンドは連動しており、しかもON/OFFのみなので、明るいか真っ暗かしか選べない。これも不便な点のひとつだった。ナイトスタンドは、構造上、片方だけにしかない。

バスルームはとても広く立派に造られている。磨りガラスの引き戸を入ると、クローゼットを配したベイシンエリアがある。床とベイシントップには大理石を使った。トイレは完全独立型で、こちらも床は大理石だ。ガラスで仕切られた天井高220センチのウェットエリアは、総大理石張りでバスタブと洗い場を設けている。

バスタブはブルーで強力なジェット機能を備えており、バスタブ脇を一面のミラーにしているところは、グランドハイアット福岡やニューグランドのプルミエスイートに似ている。洗い場にはカランのみで、シャワーはバスタブにのみ設置されている。アメニティはあれこれ揃っているが、品質は今ひとつ。タオルは3サイズ2枚ずつで、バスローブも備えている。この総面積9平米にも及ぶ立派なバスルームを見ると、やっぱりハネムーンスイート的だと思ってしまうが、実際はどのように利用されているのか。実に興味深い。