ビジネスホテル若桜 Deluxe Single Room
Wakasa Business Hotel
2008.07.02(水)
栃木県足利市
喜-3

鑁阿寺の境内
 
石畳とメキシカン 梅雨とは思えないようなさわやかな一日だった。足利でコンサートがあり、終演後は足利にひとり残り、初めて訪れる町の風情を味わうことにした。

とは言っても、翌日のスケジュールに間に合うよう戻ることを考えると、21時の終演から特急の発車する午前9時頃まで、約12時間しか滞在できない。その間には、翌日に疲れを残さないよう、十分な睡眠も取らなければならないので、あちこち足を延ばすことは無理だろう。であれば、せめて早起きをして、ホテルの周辺だけでも散策してみようと思う。

足利にホテルはあまりない。駅からやや離れた国道沿いにはルートインがあるが、駅周辺には大手チェーンや客室数100室を越えるような大きなホテルはない。足利市駅前のニューミヤコホテルが一番大きそうだが、それでも90室以下。他はいずれも小さなビジネスホテルだ。

交通の便や規模で選ぶならニューミヤコホテルになるところだが、それよりもホテル若桜が気になった。なぜかはわからないが、より「足利らしい」と直感したのである。足利学校や鑁阿寺に近く、周辺環境もよさそうだった。足利市駅から徒歩15分と少し離れているが、ぶらり歩きながら駅に向かえばちょうどいい散歩になるような気もして、このホテルに決めた。

チェックインしたのは21時をちょっと過ぎたころだった。ホテルの玄関は、家庭的な料理屋のような趣き。軒先は駐車スペースになっており、ぎっしりと車が停まっている。フロントカウンターは歯医者の受付のようにささやかなものだが、ひとり夜勤で詰めている男性は、とても親切で明るいサービスだった。

ロビーには自動販売機とソファを置いたスペースの他、朝食会場にもなるイステーブルコーナーがあり、いつでも自由に利用できる。用意された客室は2階のコーナーにあるデラックスシングルルーム。3階から上はビジネスホテルらしい造りだが、2階まではちょっと感じが違って1階部分と同じだけ張り出しているので、元々この階には宴会場など客室以外の設備を作るつもりだったのかもしれない。

入口ドアを入って、バスルームをぐるりと回りこむようにして居室に通じる造りなので、全体の面積としては結構広い感じがする。廊下の途中には扉のないクローゼットがあり、ハンガーは3本用意されている。デスクユニットは狭いが、キャスター付きチェアを備え、上には14型ブラウン管テレビ、電磁サーバが載る。ドライヤーは壁掛け式。客室で高速インターネットは使えないが、ロビーまで行けば無線LANが無料で利用可能だ。

ベッドは110センチ幅で、寝具はカバーと一体化したタイプ。ナイトランプはブラケット状で、室内照明を兼ねている。窓際にはテーブルとソファを置いて、くつろぎの空間を用意した。窓は開閉可能で、鑁阿寺の庭が望めるのがいい。窓にドレープはあるが、レースはない。空調は個別式で、天井に埋め込まれている。家具は角の丸い木製のものが中心で、ソファだけがアジアンリゾート風だ。全体的にはなんとなく家庭的でもあり、やさしい雰囲気を醸している。

バスルームはシンプルなユニット。便座に洗浄機能はなく、アメニティは歯ブラシ、リンスインシャンプー、ボディソープのみと最低限で、タオルは大小1枚ずつのみ備えている。室内の清掃は極めてよく行き届いており、非の打ち所のない清潔さだった。この点はラグジュアリーホテル以上である。この清潔さは客室だけにとどまらない。パブリックスペースもまたゴミはもちろん、ホコリひとつ見つからなかった。

夕食がまだだったので、フロントで、近隣に21時過ぎでも食事のできる店はあるか尋ねてみた。酒は飲むかと聞かれたので、そのつもりはないと答えると、メキシカンの店を紹介し、場所を記した地図をくれた。人が誰もいない石畳の道を歩くこと数分、こんな寝静まった町にメキシカンの店があるのか?と心配だったが、それらしい店が突然現れた。

「サウスウエストパラダイス」というその店はサンタフェスタイルの洒落た外観。こんなムードたっぷりのデート向きな店にひとりでは入りにくいとも思ったが、躊躇していたら食いそびれるので、覚悟を決めて入店した。

店内は照明を控え、さらにムード満点である。奥にはリゾート気分にも浸れちゃいそうなバーカウンターもあるではないか。だが、おとなしくテーブル席の隅の方に座って、しばしメニューを眺めてから、初心者らしく何でも盛り合わせ的なディナープレートのセットを注文した。さすがにタコスもトルティーヤも美味しかった。深夜1時までやっているというのもありがたい。

満腹になって部屋に戻り、シャワーを浴びて睡眠。翌朝は夜明けと共に目覚め、まずは周辺を散策してみた。夜にはよく見えなかったが、ホテルの付近には趣きのある建物が多く、どこを取っても絵になる感じだ。人のいない石畳には「カフェ ド フルカワ」から漂う挽きたてのコーヒーの香り。昨晩の店も曇り空ながら日中に見ると、一層サンタフェ色である。

ホテルの朝食は無料サービス。清潔なロビーラウンジで、パン、サラダ、ボイルドエッグ、バナナ、コーヒー、ジュースが振舞われる。スタッフもそれなりに揃い、朝から爽やかに声を掛けてくれる。客層は作業服を着た人が多かった。

チェックアウトして駅まで歩いてみた。途中でパラパラと雨が落ちてきた。駅で土産物を買おうと思ったが、それらしい店は皆無。時間をつぶす場所もなく、ちょっと計算違いだった。

 
比較的窓の大きなシングル 廊下の先にオープンクローゼットがある ベッド頭上のブラケットがユニーク

デスクユニット くつろぎのソファ とても清潔なバスルーム

ロビーのソファ ロビーのラウンジコーナー 外観

石畳の道 メキシカンレストラン 趣きのある建物が並ぶ

なかなかいい感じのデザイン 瀟洒な建物 鉄橋

 ビジネスホテル若桜(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 初登場のため以前のレビューはありません


公開中リスト | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
| ホテル別リスト | レストラン別リスト | 「楽5」「喜5」ベストコレクション |