下田プリンスホテル Twin Room A
Shimoda Prince Hotel
2008.07.12(土)
静岡県下田市
楽-2

ホテル中央のテラス
 
ちょっとレトロなビーチリゾート 新宿発のスーパービュー踊り子号に乗って伊豆急下田へと向かった。先頭車両のグリーン車には展望席が設けられており、特に人気が高いために売り切れになっていることが多い。

以前は横3列が縦に3列、合計9席があったのだが、この部分の席はリクライニングはしないし、背もたれは低いしで、いくら眺望が得られると言っても、グリーン車のアコモデーションとしては不十分だった。それが最近の改装で、車体の塗装とともに改められ、他のグリーン席にひけを取らない座席になっただけでなく、座席間隔が改善され、縦に2列というゆったりとした配置になった。これなら、快適に伊豆までの旅を満喫できることだろう。

と言っても、今回はこの展望席に座ったわけではない。伊豆に行くと決めたのが間際だったので、満席だったのである。それどころか、全車満席に近い状態のところ、慌てて座席を確保したのであった。かろうじて1号車のグリーン席を確保。展望席ではないけれど、静かにゆっくりと伊豆までの道中を楽しむつもりだった。

電車は新宿を出発し、途中横浜駅に停車。そこで客を乗せたら熱海までは停まらない。だが、あちらこちらに空席があるではないか。新宿駅では盛んに「本日は満席」と放送されていたのに、不思議である。それよりも、近くに陣取った女性グループのバカ騒ぎには辟易した。6人で通路を挟んで席を向かい合わせ、新宿を出た直後から缶チューハイを何本も空けてゴキゲンだった。

声が大きいので会話はすべて聞こえる。日々ご苦労様と同情しないわけではないが、ここは旅館の部屋ではなく、公共の場である。ヒールを脱ぎ捨て、荷物を通路に投げ出して、ついでに醜態曝け出して、恥ずかしくないのだろうか。彼女らが伊豆高原で下車したとたんに、車内の雰囲気はぐっとよくなった。景色もいよいよ伊豆らしくなって来たし、ここまで騒がしかった分、下田までは静けさの価値を十分に味わおう。

伊豆急下田駅からはタクシーに乗車。プリンスホテルまでは10分少々、2,000円以内だった。フロントではレジストレーションカードの記入など、チェックインの手続きだけは先に済ませたが、ルームキーを15時になるまで意地でも渡さない考えの様子。フロント脇のクロークで荷物を預け、プールやビーチで遊ぶことをしきりに勧めるが、とりあえず荷物だけは預かってもらい、ロビーや周辺の様子を見ながら情報収集をすることにした。

しかし、ホテル館内にはこれと探検するところがない。売店とラウンジくらいで、ネタ尽きだった。ビーチは日差しが強くて長時間いるのは危険な感じだったし、小さめのプールは子供の遊び場になっている。仕方なく、ロビーで水槽を見ながら休憩して過ごすことに。

そのロビーには半裸の客が往来するので、なんだかホテルにいるという感じがしない。多くはサーファーで、びしょびしょのスーツの上半身を脱いだ状態で、ロビーにお出ましなのだ。年の頃は40代か50代か。水は滴っているが、いい男かどうかはノーコメント。見た目は漁師のようでもあり、あるいは漁師に仕留められた巨大な蛸のようでもある。彼らを眺めている方が、水槽の魚より面白かった。

いよいよ15時になった。お待ちかねのおやつ、ではなくて、部屋に入れる時間だ。フロント前にはテーブルが出され、そこに団体チェックイン時のように、ルームキーが並べて置いてある。「お好きなのをどうぞ」というわけにもいかないだろうに、面白い方式だ。効率のためにそうして並べているのかと思いきや、結局のところ係が大声で名前を叫び、呼ばれた客から一組ごとに案内するという非効率的なやり方であった。

この時とばかりに従業員を総動員し、臨時のベル役に当てているが、それでも一通り出払ってしまうと、案内を終えて戻ってくるまで待たされ、また次の組を案内していく、その繰り返しである。フロント前は、出国ラッシュの空港のようだし、クロークに預けた荷物を受け取るにも混乱が生じている。もっといいやり方があるだろうに。こんな調子なのに、夏のピーク時には、東京のラグジュアリーホテルよりも、ワイキキのハレクラニよりも高い料金になるのだからビックリだ。

今回の客室は最上階5階にあるツインAタイプ。4階以下にあるツインBタイプが、ソファベッドの利用により3名以上でも泊まれるのに対し、Aタイプは2名利用を基本としている。他に畳コーナーのあるファミリールームやダブルルームがあるが、スイートを除き、いずれのタイプも約36平米で、広さは同じである。

ツインAは122センチ幅ベッドを窓に近い位置に並べ、アームチェアふたつとテーブルを置いたシッティングスペースは窓から遠いところに据えた。ベッドから海が間近に見え、波音も楽しめるという点ではいいが、やはりこの配置は逆の方がいいように思う。ベッドマットレスはフランスベッド製で、寝具は重たいデュベを使っている。

ベッド前にはデスク兼ドレッサー、バゲージ台、2006年製21型ブラウン管テレビが並んでいる。しばらく改装のために休業していたように記憶しているが、確かに窓のサッシが新しくなっている。しかし、家具や壁紙など、そろそろ別のセンスのものをと感じる部分はこれまで通りであるように見える。あるいは、改装してもこのセンスなのかもしれないが。

バスルームは内扉と廊下を隔てたところにあって、135×240センチサイズ。壁は柄つきのタイル仕上げで、バスタブの枠など、一部に天然石を使っている。バスタブは120×70センチと、ビジネスホテル並みに小さいサイズだ。アメニティはボトルディスペンサー式で、他アイテムも少なめ。

タオルはバスタオル2枚、フェイスタオル4枚が備わっているが、プールやビーチへの持ち出しは禁止で、展望温泉浴場へはこららを持って行くことになっている。また、室内にビーチやプールに関する利用案内が不足しているのが不便だった。また、ルームサービスがあるはずだが、メニューは見当たらなかった。

朝食はメインダイニング「かもめ」にて1,890円で提供している。完全セルフ方式のブッフェで、朝一番に出向いた時には、関西からの団体客がすでに長い列をなしていた。席も自由なので、皆がブッフェ台に押し寄せている間に、窓際の眺めのいい席をゲット。とりあえずコーヒーだけ取ってきて、ブッフェ台が落ち着くまで待つことにした。20分ほどしてブッフェ台から列は消えた。和食がメインかと思っていたが、洋食もそれなりに充実している。新鮮な野菜、たこ焼き器で作るミニミニパンケーキ、フレッシュフルーツが気に入った。

大浴場の営業は15:00〜0:00と4:30〜10:00となっており、海の眺めが素晴らしい。特に日の出が見事だ。チェックアウト後は、夏期限定オープンの「トロピカルテラス サンルーム」でアイスコーヒー460円を注文して、まったりと過ごした。プールではしゃぐ子供たちの楽しそうな歓声と、BGMのハワイアンミュージックが、なんとも平和な雰囲気を感じさせてくれる。店内に充満するカレーのにおいさえ我慢すれば、なかなか居心地のよい店だった。

 
エントランス側外観 宇宙基地的な雰囲気もある外観 客室棟前の芝

最上階のツインルーム ベッド 窓側から室内を見渡す

デスクやテレビ 窓から離れた場所にあるシッティングエリア ベッドカバーをめくってみると・・・

窓 バルコニーからの景色 居室とホワイエを仕切る内扉

冷蔵庫とバスルーム扉 タイル仕上げのバスルーム バスタブ周囲だけ大理石

ロビー ロビーにある水槽 ラウンジ

屋外プール 夜のプールサイドパーラー メインダイニング

朝のコーヒー 朝の海 海の景色

ウッドデッキ 海岸からホテルを見る 一番右が温泉浴場

 下田プリンスホテル(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 970607 010526


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