ホテルトラスティ名古屋 Single Room
Hotel Trusty Nagoya
2008.08.09(土)
名古屋市中区
哀-1

クラシカルな家具が並ぶロビーラウンジ
 
メンバーズカード コンサートのために名古屋を訪れ、主催者が用意してくれたホテルに滞在した。名古屋の地理をよく把握していない上に、自ら予約したホテルと違って立地や外観も頭に入っていないため、名古屋駅に着くなりどうしていいかわからなくなった。

タクシーに乗るのが一番だという考えも浮かんだが、こういう場合もホテルでのエピソード同様に貧乏くじを引きやすい星回りなので、運転手に道を間違われたり遠回りされるような気がする。できれば慣れない土地で知らない場所に行くに当たって一人でタクシーには乗りたくない。

でも、どうすれば。とりあえず駅構内で名古屋市内の地図を探そう。ホテルの住所はわかっているから、それを頼りにだいたいの目星がつけばいい。だが、地図より先に覚えのあるフレーズが目に入った。地下鉄桜通線。そうだ、名古屋駅、ホテル、コンサート会場はすべてこの桜通線でアクセス出来ると説明されたのを思い出した。

というわけで地下鉄に乗った。乗ってから考えた。あれ?どこで降りればいいの?ドアの上にある路線図を見ると、聞き覚えのある駅名が並んでいた。確か伏見だったような・・・記憶は曖昧だったが、勘を頼りに伏見で降り、あとは住所表示を見ながらホテルを目指した。

大きな通りから路地に入り、雑居ビルが建ち並ぶ中を進んでいくと、目当てのホテルが見つかった。こういう時の勘の鋭さは我ながら見事だと思う。どんな土地に行っても、よほどのことがない限り迷うことがなく、独自の嗅覚のようなもので目的地を探り当て、気ままに歩いていれば大抵の場合は最短距離で到着出来る。今回は予備知識がゼロではなかったので比較的有利な冒険だったが、特に始めての土地では何も考えずに歩くのが一番楽しいものだ。

ホテル周辺は平日なら多くのビジネスマンで賑わっていることだろうが、この日は土曜日で怖いくらい静かだった。ホテルのエントランスを入ると小さなホールがあり、2階に向けて大理石の階段とエスカレータが設置されている。そこを上がるとロビーがあり、小さなフロントでは係が客の到着を待ち構えている。フロントの脇には吹き抜け空間と大きな窓が印象的なロビーラウンジがあって、シティホテル風の瀟洒な雰囲気を醸しており、喫茶だけでなく軽食も提供している。

フロントカウンターは曲線と濃い木目でデザインされたイタリアンクラシック風で、ビジネスホテル以上のグレード感を持つ。チェックインのためにフロントへ向かうと、「お疲れ様でした」とにこやかに声を掛けられ、オシボリが振舞われた。笑顔は少々ウソっぽいが、仏頂面よりはマシ。

そして、せっせとメンバーになるように薦めるので、根負けして入会した。でも、次にトラスティを利用するのはいつのことやら。それまでに失効してしまうような気もする。メンバーズカードはチェックアウトの際に用意するとのことで、次いで朝食のアップグレードを勧められた。何かと熱心なフロント係である。標準でどんな朝食が出るのかは忘れたが、300円プラスでアメリカンブレックファスト、500円プラスで和朝食になると言うので、奮発して和朝食を頼んでおいた。

エレベータは3基。250室の宿泊特化型ホテルには十分だ。用意された部屋は6階禁煙フロアのシングルルーム。ホテルは「H」字型で、眺めがあるのは表側の1面のみ。その面にはツインなど広めの部屋が並んでいる。シングルはどの道眺めの悪い部屋ばかりだが、高層階ならば昼なお暗いという悲劇は避けられる。

面積は11平米で、このホテルでも最も狭いタイプのようだ。部屋の入口付近にはまったく何もなく、単なる廊下。その先の居室にはところ狭しとあらゆるものが並んでおり、240センチという低い天井も手伝って圧迫感を覚える。ベッドは123×203センチサイズで、5インチのフランスベッド製マットレスを使っている。寝具は都度替えするデュベカバー仕上げで、クッションとスローケット添え。室内もネオクラシックテイストだが、ベッドだけはモダンな雰囲気だ。

デスクユニットは窓に向けて設置してあり、隅には細いクローゼットを置いた。デスクに載ったテレビは21インチブラウン管。下にある冷蔵庫には黒ウーロン茶、ウコンの力、アミコラなどが用意されており、値段もリーズナブルだ。窓は少しだけ押し開けるが、鉄条入りの曇ガラスなので、明り取りと換気の役割程度。収納スペースも少なく、バゲージ台もないのには困った。

ベッドサイドにはアームチェアとテーブルがあり、狭いながらもくつろげるように工夫している他、家具やベッドボードは象嵌が施されているものもあり、ビジネスホテルにはもったいないほど立派なものを揃えている。これで部屋が広ければ、もう少し居心地よく感じられるだろう。

バスルームは面白みのないユニット。140×180センチサイズで、広さ的にも内装的にもビジネスホテル仕様だ。アメニティは最低限で、タオルは3サイズが1枚ずつ用意される。開業当時はこれでもクオリティが感じられる客室だったかもしれないが、なんとなく湿ったような雰囲気もあり、古臭さが否めない。

日中は静かだったが、夜になって客が部屋に居るようになると、あらゆる方向から騒音が伝わってきた。壁は恐ろしく薄いようで、隣室でグラスをテーブルに置く音すらよく聞こえる。寝静まれば寝息だって伝わってしまうかも。とてもナイショ話はできない環境だ。しかし、騒音は段々とエスカレートし、とうとう耐えられなくなってフロントに電話した。

アルバイトらしき若い男性は、すぐに騒音の源となっている客室に注意をしてくれたが、しばらくしたらまた盛り上がってきた。どうやら、いくつかの部屋に分かれて泊まっている男女のグループ客が、ひとつの部屋に集まって飲み会をしている様子。

もう一度電話をして、両隣の部屋同士は同じグループ客なのか尋ねてみたところ、「お客様のプライバシーに関わる質問にはお答えできません」とのこと。その言葉にカチンときたが、バイトの下っ端を相手にしても時間の無駄。それなら別の部屋を用意するようにと言って、部屋を移る準備をした。

今度の部屋は少し広い13.5平米のタイプだった。部屋の設備は同等だが、ベッドだけが140センチ幅になり、ピロートップ付き9インチマットレスを使っているので、寝心地は格段によかった。

朝食は7時半に。フロント脇のラウンジで提供されるのだが、ビジネスマンや観光の女性グループですでに満席近かった。チェックアウトはスムーズだったが、熱心に入会を勧めたメンバーズカードはすっかり忘れ去られていた。チェックアウト時に受け取ることになっていたと説明しても、引き継がれていない係は「はぁ?」という表情を見せるだけ。結局は、そこで新しいものが発行された。

ホテルからコンサート会場までは、車なら10分程度だと聞いていたが、余裕を見て早めに出発することにした。来た時と同様に地下鉄で行くのも手だったが、さすがに本番直前に不要な神経は使わないほうがいい。だが、やっぱりタクシーはハズレクジだった。運転手は道がわからず、かなりの遠回りになった。近くに行ってからも会場が見つからず、近くの通行人に尋ねながら、何とか到着。通常は千円ちょっとで行くそうだが、4千円以上掛かった。やれやれ。

 
外観 メインエントランス ロビーへと通じる大理石の階段とエスカレータ

シングルは狭いが家具は立派 部屋は幅が狭い ベッドは120センチ幅

狭い部屋にしてはどっしりとしたチェアとテーブル 窓は開閉できる 窓からの景色

ちょっと広い部屋 ベッドの幅は140センチ こちらのタイプはクローゼットが入口の方にある

両方とも共通仕様のバスルーム ロビーラウンジ 和朝食

 ホテルトラスティ名古屋(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 初登場のため以前のレビューはありません


公開中リスト | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
| ホテル別リスト | レストラン別リスト | 「楽5」「喜5」ベストコレクション |