シェラトン都ホテル東京 Executive Suite
Sheraton Miyako Hotel Tokyo
2008.08.20(水)
東京都港区
怒-4

エグゼクティブスイート室内
 
ある種の水害 多くの荷物を車に積んでホテル正面玄関に到着した時、そこにドアマンは不在だった。こんな時こそエントランスの様子が見える位置にあるベルデスクで待機する係が注意を払い、不在のドアマンに代わって出迎えられればいいのだが、そう都合よくはいかなかった。

トランクから自分で荷物を降ろし、フロントへ向かったところ、そこには長い列が出来ていた。他のシェラトンにはスターウッドプリファードゲストエリートメンバー用の専用カウンターが設けられているが、ここにはそれが見当たらない。

だが、後に聞かされたところによると、エリートメンバーはフロントカウンターの反対側にあるコンシェルジュデスクでチェックインが可能らしい。表示もなく案内もなければ、活用のしようがない。特に今回のように(毎回とも言えるが)行列が生じている時こそ、よりスムーズなチェックインを実現してこそのメンバーサービスであろう。

そして行列している時ほど、一組ごとに要する時間が長く、なかなか列が進まない。まるで列車の出発間際に駅の窓口に並ばされているような気分だった。やっと順番が回って来たが、係は「お待たせしました」とも言わなかった。次々に対応に追われる係の慌しさにも同情するが、ホテルのフロントに立つのなら、一組ごとに新鮮さを取り戻すことが必要。丁寧に、そして手際よく。所詮、慌てたところで仕事が減りはしないのだ。

最初アサインされた部屋は3階だった。プラチナメンバーには当日の空き状況によるがスタンダードスイートを含む最良の客室へのアップグレード特典があり、このホテルではよほどのことがない限り、7階以上の客室が用意される。尋ねると、プラチナメンバーであることが認識されていなかった。

これもまた毎度のことなので慣れてしまったが、そろそろ名前と顔を覚えてもいい頃ではないかとも思う。ともあれ、係は部屋のアサインをし直した。今度アサインされたのは7階のデラックスルームだった。いつもならこれで満足して部屋に向かう。だが、この時ばかりは納得しかねる理由があった。

ちょうど10日ほど前、まったく同じ部屋に滞在していた際、一刻も早く記憶から完全に消去したい出来事に遭遇したのだ。それはトイレの故障。用を足してフラッシュボタンを押したところ、便器内の水位が見る見るうちに上昇し、次の瞬間には溢れ出して床一面が汚水の海と化してしまったのだった。

なぜか水は勢いを増し、見覚えのないものまでもが逆流して来るではないか。それを呆然と見るだけでなす術もなく、不穏な胸の高鳴りだけが昂じていく。久しぶりに自分の無力さを痛感した。しかも、こんな下品な出来事で。それもまた無念であった。

やがて水流が収まったが、バスルーム一帯は津波が去った後の海岸のよう。それを放心状態で眺めていたが、次の瞬間には決意を固め、自らこの災害の完全復興に尽力した。

思えば、このトイレはチェックインした時から様子がおかしかった。流れないわけではないが、いったん通常よりもかなり水位が高くなってから収束するという感じ。溢れた原因は不明だが、流れがあまりよくないところに、便器に流れ込む水量と勢いが大きすぎることが原因のひとつのようだった。片付いた頃にはもう出発の予定だったので、チェックアウトの際に顛末を報告し、よくチェックして修繕するべきだと伝えておいた。

そして10日後、またしても同じ部屋にアサインされたのである。部屋番号を聞いただけで、あの惨劇が脳裏によみがえる。トイレは直ったのかと尋ねると、フロント係は客室係に電話を掛けて確認をした。それによると「完璧です」との返事だった。それならばと納得し、部屋に案内してもらった。

まずしたことは、もちろんトイレの試運転だ。だが、なんと10日前とあまり変わらない状態であった。溢れはしないが、水位は便器のふちスレスレまで上昇する。これで完璧か?明らかに他の部屋とは違う状態ではないか。

おそらく修繕の依頼を受けた係は、一度水を流してみてただけで、大丈夫だと判断したのだろうが、考えが甘すぎる。そこへ10日前に散々な思いをした客を再度アサインするなど、ある種の嫌がらせだと解釈されても仕方ない行為である。無論ホテルにそんな悪気はないにしても、もっと配慮するべきだ。

この時ばかりは強く苦情を言った。するとお詫びにとスイートが用意された。それで満足とはならないが、ホテルの厚意は感じられた。スイートのトイレは新調されたばかりなので、まったく不安はなかったが、しばらくはトイレを見る度に慎重になりそうだ。

 
エグゼクティブスイートは天井が低い ベッドはとても心地よい リビングスペース

置き家具のクローゼット 部屋の中央にあるワイドなデスク ベッド脇の窓はバスルーム

ルームサービスのペンネ バスルーム前のコンソール ベイシン

ビニールコートされた檜バスタブ レインシャワーはとても弱い ここのトイレは問題なかった

 シェラトン都ホテル東京(公式サイト)
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