リッチモンドホテル仙台 Comfort Single Room
Richmond Hotel Sendai
2008.10.06(月)
仙台市青葉区
楽-2

フロント前
 
ご当地ムード 午前8時に白石を出発して、主に宮城県の南を巡回したあと、秋保経由で仙台市内へと入った。途中、トンネルで事故による渋滞に巻き込まれたが、おおむね予定通りの時間にホテルへ到着した。

今夜の宿はリッチモンドホテル仙台。仙台の街並みにはそれなりに馴染みがあるつもりでいたが、ホテル正面にて運転手から到着を告げられても、ここが目的地であるという実感がないばかりか、仙台にいるという気すらしなかった。ホテルのロケーションは仙塩街道沿いで、仙台駅からも歩いて5〜6分と恵まれている。確かにこれといって仙台らしさを醸しているものはないが、これほど「どこにいるのかわからない」という気分になるのは珍しかった。

ホテルのエントランスは簡素にできている。1階には「ロイヤルホスト」があり、そちらの入口の方が華やいで見えるくらいである。エントランスを入るとエスカレータと階段が2階のロビーへと通じている。フロントカウンターの前にはエントランス上部の吹き抜けに沿ってソファやアームチェアが配置され、壁の大型ディスプレイにはカートゥンTVのアニメーションが流れる。

フロントは小さいが、いつも数人の係が立っており、サービスの姿勢は丁寧で礼儀正しい印象だ。チェックインの後は自動清算機で支払いをしてキーを受け取るシステム。フロントではレディースアメニティや入浴剤の用意があるが、基本的に女性向けらしく、男性は申し出ないともらえなかった。

このホテルの建物は本館と新館の2棟に分かれており、フロントのある2階のみで連絡している。その通路には自動販売機が賑やかに並ぶ。本館がスタンダードカテゴリーのメインフロアで、新館は全館がコンフォートフロアとなっており、合わせて344の客室がある。

エレベータはそれぞれの棟に2基ずつあり、新館のエレベータも1階まで通じている。そこには何があるのかと思い行って見たら、駐車場口のような小さなエントランスがあって、いちいち本館を経由しなくても出掛けられるようになっていた。このエントランスから入館するにはルームキーが必要となる。

館内のインテリアはモダンで清潔感もあるが、オフィスや公共施設のようなさっぱりとしたもの。質感にも乏しく、心躍る要素はまったくない。それがむしろ、ビジネスや受験で利用する客にとっては、気を散らされずにいいのかもしれない。各フロアのエレベータホールには温風器と整理用ラックが置いてあり、必要とあらば各自部屋へ持ち込んで使っていいらしい。

今回の客室は約18平米のコンフォートシングル。2名で利用する場合は同じタイプがコンフォートダブルとして販売される。地方のビジネスホテルのシングルルームと言えば、だいたい平均して13平米程度。それからすれば、18平米はかなりゆとりがある。しかもまだ新しく清潔なのがいい。だがその反面、部屋に潤いがなく、新築特有のにおいも気になるところだ。

入口脇のオープンクローゼットにはハンガーが4本。窓際にワイドなカウンターデスクとオフィスチェアを据え、ベッド脇に小さなイスとテーブルを置いている。ベッドはデュベカバー仕上げで、スローケットとクッションを添えた。案内には154センチ幅とあるが、実測したところ150センチ幅だった。マットレスは5インチと薄く、ベッドリネンの肌触りもよくなかった。見た目はシティホテル並みだが、質はまったく追いついていない。

デスクにはとても明るいインバータスタンドが載り、隅には20インチの液晶テレビを設置。冷蔵庫は空だが、マグカップと無料のドリップコーヒーが備わっている。天井には明るいシーリングがあり、室内全ての照明を点灯するとかなりの明るさが得られる。一方でナイトランプには白熱灯を用いているので、ほのかなムード照明も可能だ。

窓の外は隣のマンション。ビルの谷間で日差しも入らず、昼なお暗い。しかし、ビルの谷間が幸いして、騒音がまったく気にならない。車の音も聞こえず、終始静かだった。1階の「ロイヤルホスト」からデリバリーを取れるのだが、店で食べるよりも割高で、容器は使い捨ての味気ないもののようだ。これを「ルームサービス」と称しているが、ホテルのルームサービスとは、きちんとした食器できちんとサービスするのが標準なので、このような表現はやめて「デリバリー」と改めてもらいたいところである。

バスルームは140×180のユニット。スペースにはゆとりがあり、アメニティに「アロマエッセ」を揃えるなど、ビジネスホテルとしては工夫が見られ感心もするが、トイレットペーパーの粗悪さ加減を実感して急激にガッカリ。やはり質は大切だ。

朝食は「ロイヤルホスト」で和洋のブッフェを850円にて提供している。朝食付きプランの場合、朝食券は「ロイヤルホスト」全時間帯で850円の金券としても使えると説明があった。また、宿泊客は「ロイヤルホスト」を10パーセント割引で利用可能とのこと。だが、朝食券と割引の併用はできない。考えてみれば単純なことだが、説明を聞いているとなんとなくややこしいと感じた。

朝食の内容は和洋ともパッとしない。飲み物はドリンクバーなので、チルドジュースすら揃わず、朝の基本アイテムにすら不足がある。そんな中、一番気を引いたのがカスピ海ヨーグルトとパンケーキだった。利用客のほとんどは男性。

朝食を終えて部屋に戻ろうとしたら、ホテルエントランスの前に人が大勢集まっており、何か事件でもあったのかと思ったが、実は全員スモーカーだった。エントランス前の灰皿周辺は、チェックアウトを済ませて出発しようとする女性客が人だかりに邪魔されて通れないほどの混雑振り。その場の雰囲気はヤンキーがたむろするコンビニ前とあまり大差ない。

1泊して、なぜ仙台にいる気がしないのか、よくわかった。このホテルにはご当地ムードがまったくないのである。館内だけでなく、周囲にも仙台を印象付けるものは皆無。やはり旅には情感が必要だとしみじみ思った。

 
雰囲気だけは洗練されている客室 ベッド幅も十分だ デスクもワイド

シンプルで清潔なバスルーム バスルームにもハンガーがある サーモ付きカランとボトルのアメニティ

窓からの眺め エレベータホールの温風器とデスク エレベータホール

エントランスとロビー メインエントランス 新館のエントランス

 リッチモンドホテル仙台(公式サイト)
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