シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート Ocean Grand Suite
Sheraton Grande Ocean Resort
2009.02.04(水)
宮崎県宮崎市
喜-4

温泉施設「松泉宮」へと続く回廊
 
2泊3日で11時間 宮崎空港からシーガイアへ向かうタクシーで、運転手にこの冬の観光事情を聞いてみた。オーシャンドームがクローズしてから、シーガイアへの客は激減したという。一時期多く見かけたアジアからの旅行客も、最近は勢いがないそうだ。この厳しい状況の中で、シェラトングランデはどのような戦略を立てているのか。遠くから眺めている限りでは、これといったアクションは見えてこない。

だが、2月の閑散期とも思える期間の平日に、シェラトングランデは満室近い混雑振りだという。ひとつにはスポーツ選手たちの合宿の宿舎になっていること。もうひとつは団体客を積極的に取り込んでいることだ。団体客には、かなり思い切った割引料金を打ち出しているのだろう。館内を行き交う人を見ても、本来このホテルがターゲットとしている客層とはかなり違う。背に腹は代えられないのか、この辺にもつらい現実を感じる。

一方、スポーツ合宿では、野球のホークスやサッカーのマリノスが滞在中で、館内で有名選手たちに出会うことしばしばである。1階にはホークスのPRコーナーまで設けられ、格別の待遇振りをうかがわせるが、館内で見かける選手たちの振る舞いは、サッカー選手たちの方がはるかに洗練されていた。

それにしても、日中の館内には、ほとんど人がいない。たまに見かけるのはホテルのスタッフだけだ。以前はすれ違っても表情ひとつ変えなかったスタッフだが、最近は明るく挨拶してくるようになり、それだけでも雰囲気は大きく変わった。館内に客が多くなってくるのは、夕方以降。日が暮れる頃から夕食時間くらいまでが、一番賑やかに感じる。ちょうどその時間が、温泉の賑わいもピークを迎えるようだ。

しかし、館内のレストランはどこもガラガラ。いったい他の客はどこで食事をしているのだろう。温泉に行く道すがら見上げたホテルタワーは、確かに混雑している様子。ほとんどの部屋に電気が点いていた。

なのに、どの店も数組の客しかいない。今回の宿泊では、1泊朝食付きプランで、オプションで夕食を選べるようになっていた。しかも、夕食は破格の2,000円である。今や、ファミレスでもそれでは予算不足かもしれないのに、普段ならコースで5,000円程度からの店で、そんな安値で何が出てくるのか逆に不安もあったが、好奇心の方が勝った。

1泊目に利用したのは、日本料理「花洛」。「花御膳」と名付けられた、2,000円オプション専用の料理が提供された。内容は、前菜、造り、煮物、天ぷら、食事、デザートに、ソフトドリンクまで付いている。さすがに質素な内容だが、年寄りを連れての旅だったので、量が控えめでかえって喜ばれた。

食後には「パシフィカ」に席を移してコーヒーを飲んだが、すでにライブが始まっていたので、ミュージックチャージが加算されてふたりで3,822円。夕食とほとんど同じ値段だと思うと、気分はなんとなく複雑だ。この時のライブではロシア人のヴォーカリストが、一人でノリまくっていた。リゾートの開放感を後押ししてくれると言えなくもないが、ここは砂浜やプールサイドではなくロビーの中央であり、全体の雰囲気にはそぐわないと感じる一面もあった。

2泊目の夕食は「パインテラス」のディナーブッフェ。通常は4,500円だが、このオプションならそれも2,000円。しかもワンドリンク付きで、お値打ち感がある。ランチにも同じ店でブッフェを利用したが、こちらは通常2,500円。内容は夜も昼も大差なく、通常料金で利用するならランチの方が得だ。

もう一日のランチには「アガペ」の2,500円コースにトライ。オードブル、パスタかリゾット、コーヒーという2皿コースで、デザートは500円でワゴンサービスが追加できる。まずは量が少なすぎ。パスタは50グラムと、メインディッシュにはならない量だ。それに、オードブルはフォアグラのテリーヌだったが、カットした位置によるのか、肝心なフォアグラは入っていなかった。全体的な印象として、とても割高で損した気分だった。

朝食は「アガペ」と「とよたま」を利用したが、どちらも他の客に会うことはなかった。2泊目の夜に、もう一度しみじみホテルを見上げてみた。1泊目同様、たくさんの電気が点いていて、混雑ぶりが感じられる。しかし、40階ラグジュアリーグランデには真っ暗。グランデフロアも、レギュラーフロアと比べると灯りは少ない。やはり、個人客は少ないということだろうか。

館内施設の稼動を高め、客室単価を上げていくためにも、個人客へのプレゼンテーションは重要である。大きな出費になっても訪れてよかったと思わせるような価値ある工夫に期待したい。

今回同行した我が家の年寄りは、大の温泉好きである。単に好きなだけで、温泉に対して深い知識もなく、選り好みもしない。ここの温泉に関しては、部屋から遠いことだけは不満のようだったが、それ以外のことはまったく気にせず、時間さえあれば「ちょっと一風呂」と、足取り軽く出掛けて行った。

どれだけ入るかと興味を持ってカウントしていたのだが、2泊3日の滞在中、11時間もの間、あの塩辛い茶褐色の湯に浸かっていた。いやはや。空いていてのんびり入れることと、風情や趣きのある造りが、ことのほか気に入ったようである。

そして、数少ない客を見つけては、旅は道連れと言わんばかりに「どちらからお越しですか〜」とアプローチするのだ。側にいるこちらが気恥ずかしくなるくらいだが、どんな目的でここを訪れているのか、ここにどんな印象を持ったのかなど、興味深い話を次々聞きだすテクニックには脱帽する。顧客の生の声を収集する係に任命すれば、大きな成果をあげることだろう。

 
おなじみのコーナースイート オフホワイト基調のエレガントなインテリア エントランスドアからリビングまで長い廊下が続く

ウェルカムフルーツは宮崎自慢の柑橘類 ベッドはもちろんシェラトン・スイート・スリーパー・ベッド ダブルベイシンのバスルーム

夕方のアトリウムロビー 夜になるとフロントにも静けさが キャンプ中のホークスのPRコーナー

「パインテラス」の店内 「パインテラス」のショーキッチンから次々と料理が提供される 「花洛」での格安ディナーはこれに天婦羅も付く

「アガペ」の朝食 「アガペ」朝食のデザート 40階にあるラグジュアリーラウンジ

「アガペ」ランチのオードブル 「アガペ」ランチのリゾットはメインディッシュとしては物足りない量だった 「アガペ」ランチのデザート

「とよたま」店内 「とよたま」の格安朝食 月を見上げるカメ

新月の風呂 新月の露天風呂 新月の露天風呂

「パインテラス」の外観 シーガイアにはこうしたグリーンがたくさん スプリンクラーの水が眩しい

 シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート(公式サイト)
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