ハイアット リージェンシー 東京 View Deluxe Room
Hyatt Regency Tokyo
2009.02.10(火)
東京都新宿区
怒-4

新しくなったビュールーム
 
身内のバカ騒ぎ 長期に渡る改修工事は今も引き続き行われており、現在稼動している客室は15階から17階と24階から26階の6フロアのみで、全体の3分の2はクローズされている。ロビーフロアにあるコーヒーショップ「ブーローニュ」は閉店し、新しい店のオープンに向けて改装中だ。

このように工事箇所が非常に多いため、館内は人が少なく真夜中のように閑散としており、異様な雰囲気が漂っている。これでホテルのスタッフが陰気だったら幽霊屋敷になってしまうが、彼らのフレッシュで溌剌とした振る舞いが、それを打ち消していた。チェックインも明るく元気だった。カウンターで名乗ると、係はハッと表情を変え「いつもありがとうございます」と声を一段高めた。いずれ名乗る前に気付いてくれるようになる日もそう遠くなさそうだ。

今回用意されたのは改装されたばかりのビューデラックスルーム。「新しいお部屋なのでご説明を」と、荷物は少なかったが係が部屋まで同行した。しかし、部屋に入ってもカーテンの開け方を聞かされただけで、それ以外の説明はなかった。部屋までの道中、解説が必要なほど斬新で複雑な仕様になっているのかと期待しながらきたのだが、肩透かしだった。

物足りず、係に質問することにした。全室をこの仕様に改装するのか、クラブルームもこのような感じになるのか、などなど。だが、係はニヤニヤしながら首をかしげるばかりで、回答は得られなかった。後にマネジャーに聞いたところでは、このタイプは高層階の数フロアのみで、クラブフロアはまた趣きの違うデザインになり、それ以外はデザイン的には変更しないとのことだった。

新しいビューデラックスルームは、これまでのクラシカルでエレガントな内装から、ハイアットらしいモダンな空間へと、全面的に改装された。かつての面影はまったくないが、あたたかみのある落ち着いた居心地はそのままに、より機能的な部屋へと進歩した印象だ。

最も違いを実感するのは、バスルームの広さや設備。これまでより格段に広くなってる。その分、居室の面積は減少し、居室部分と残りの部分との割合がほぼ半々になった。

居室はスッキリとシンプル。ベッドは木製の台座の上にマットレスを置き、真っ白いベッドリネンで仕上げている。高級レストランのテーブルクロスのように、シワさえ目立たないメイクが印象的。マットレスはかなり硬いタイプを採用している。ツインの場合でもベッドボードは連続しており、ハリウッドスタイルに近く、ベッド幅は110センチと以前より狭くなった。

両脇にナイトテーブルとナイトスタンドを設けているが、コントロール室内照明やカーテンのコントロールスイッチは窓側の方にのみ設置されている。そのスイッチのデザインもインテリアにマッチしており、英語とアイコンが標記されているが、日本語はない。

ベッドと窓の間にはアームチェアと丸テーブルをひとつだけ置いているが、やはりツインなら同じ椅子がもうひとつ欲しいと思う場面も少なくない。センチュリーハイアットの象徴でもあった互い違いのレースはなくなり、電動遮光スクリーンとレースブラインドに取って代わった。

カウンター式のデスクにはスタンドがあるのみ。傍らの32インチ液晶テレビは地上デジタルと衛星デジタル放送が視聴できる。手持ちの音楽プレイヤーをテレビのスピーカーで楽しむためのコネクターとケーブルが用意されているが、その使い勝手と音質は今ひとつだった。

居室には収納スペースがほとんどなく、デスクの浅い引き出しひとつだけ。収納はホワイエ部分のクローゼットに集約されている。クローゼットは2面設けられ、それぞれ95センチの間口がある。内部に柱があるため部分的にスペースが制限されるが、金庫や引き出しもあり、こまごましたものの整理にも役立つ。ミニバーや冷蔵庫はクローゼットの隅に設置されているが、茶器やポットを並べてあるオープンの部分が暗く、そこに照明があってもよかったように思う。

格段に快適になったバスルームは、独立したシャワーブース付きで、ベイシンカウンター側の壁には磨りガラスのスリットウィンドウを設けており、白基調のは内装に高級感こそないが、明るくて清潔感がある。バスルーム内照明は、ベイシンミラーと2系統のダウンライトに分かれており、ダウンライトの方は調光も可能になっている。ボウル型のベイシンはあまり好きになれないが、ベイシントップは広くて使いやすかった。

ひとつ気になったのは、バスルーム入口の段差が大きいこと。フラットであることが一般的になってきた時代に、やもすればつまずいて転びそうな段差を何とかしなかったのは感心しない。トイレは完全に独立させ、個室内に手洗い用ベイシンも設けている。

クラブラウンジは改装の対象になっていないが、ラウンジのある9階のスイートが改装中のため、クローズされている。改装期間中、クラブフロア客室の予約は受け付けていないが、ゴールドパスポートダイヤモンドメンバー向けのサービスは飲食施設が代替している。

ティータイムとカクテルは、バー「オードヴィー」で提供される。ここはコーヒーショップ「ブーローニュ」の代替も兼ねているので、混雑していることが多い。店内のシックなインテリアは悪くないが、困ったことに全席喫煙で、店内にはもくもくと煙が立ち込めていることしばしばだ。ティータイムにはクッキーが、カクテルには小皿オードブル3品が添えられる。

朝食は日本料理「佳香」での和朝食、中国料理「翡翠宮」でのブッフェなどが利用できる。和朝食は幾つもの小鉢を並べたり、刺身やデザートなども付く盛りだくさんの内容で、明らかに女性好みする工夫が見られる。「翡翠宮」は通常の洋ブッフェと内容は変わらないが、BGMだけが中国風だった。オムレツを作ってくれるコーナーがあるが、見習いに実習させており、提供までに非常に時間を要した。

この滞在中、急に客をもてなす必要が生じ、コンシェルジュにレストランの手配を頼んだ。外出はしたくなかったので、館内のレストランを希望したのだが、あっさりと「満席です」と断わられてしまった。心外だったのは、席が取れなかったとこよりも、あっさりとした断わり方だった。

頻繁に利用する客が、食事のアレンジを頼んできたのである。コンシェルジュとしては最大の腕の見せ所ではないか。さすがはコンシェルジュとうならせるだけの手配があって当然と期待しているのに、あまりの落差である。

満席の繁盛振りは大いに結構。だが、客のたっての要望には最大限の努力をもって応えるべきだ。何とかならないものかと各店と交渉をし、それでもだめなら「お役に立てず大変申し訳ない」という思いが伝わるように詫びた上で、館外の優良レストランの紹介や予約代行までやってこそコンシェルジュである。高級ホテルなら、こうした場合に備えて、予約に余裕を持たせていることも少なくないが、ここではそんなことは無駄だとでも考えているのだろう。

だが、コンシェルジュと問答している場合ではない。客はまもなく到着する。館外には行きたくなかったが、こうなっては仕方がない。コンシェルジュにひとつの電話番号を渡し、どこか適当な店に席を用意してもらえないかと仲介を頼んだ。数分後、席を用意してお待ちしているとのことと返事があった。そして、客人と落ちあい、車でパークハイアットに向かった。

正面玄関では飲食のマネジャーが待っていて、そのまま「ニューヨークグリル」のボックス席へと案内してくれた。見渡せは相変わらずの活気。この混雑時に、よくこのようないい席を用意してくれたものだと、改めて感心した。これでこそ高級ホテルであり、優秀なホテルマンであろう。食事は快適に進み、客人とも和やかでよい時間を過ごすことができた。この店にはひとつ借りが出来たが、いずれ倍以上にしてお返しするつもりである。

その夜のこと、新しい部屋の新しいベッドで心地よく眠ろうと思っていたが、ふたつ先の部屋に滞在する客によって妨害された。深夜2時。聞こえてきたのは大音量のダンスミュージックと、それに合わせて踊り騒ぐ若者たちの声だった。

つい先日のグランドハイアットのオーディオにも辟易したが、この晩の騒々しさに比べれば瞑想曲のようなもの。さすがに誰の目にも度を越しており、ナイトマネジャーはただちに厳しく注意をしてくれた。だが、ものの10分もすればまた元通り。部屋にいるのは若い外国人たちで、相当呑んでいる様子。繰り返し注意し、しまいには「次は引き取ってもらう」と退去勧告をして、やっとおとなしくなったとの報告があった。

後に聞けば、この連中、海外のハイアットの従業員だというではないか。なんともお粗末なはなしである。

ナイトマネジャーは、騒ぎの最中には確かに頼りになった。だが、気が利かない。夜中の騒ぎに巻き込んだのだから、せめて午前中くらい、部屋の周囲の静けさに注意を払うよう伝達してもらいたかった。しかし、盛大に行なわれる客室清掃の音、バタバタと激しく響くドアの音、あげくには工事のドリルやトンカチの音など、それがひとつでも不快なのに、三重奏となるともう拷問。こんなに閑散としているのに、静寂と無縁というのも、なんとも皮肉なものだ。

 
すっきりとモダンになった室内 ベッドは硬め ベッド脇の壁にはスリット窓

カウンターデスクと液晶テレビ 室内から入口を見る ホワイエは木目で囲まれている

窓からの眺め ナイトテーブルのコントローラ ベッド上の装飾

2面のクローゼット 左側のクローゼットにはバスローブ ミニバーの引き出し内

フロアスタンドは紫のシェード バスルームの扉は曇ガラス バスルームと室内を見る

独立したトイレ シャワーブースが独立したバスルーム ベイシンはボウル型

シャワーブースにも小さなミラーがある アメニティを収めた引き出し バスルームの照明は3系統

スカイプール ロビー シャンデリア

「ニューヨークグリル」ブッフェから取り分けた前菜 「ニューヨークグリル」ブッフェから取り分けた前菜 「ニューヨークグリル」ブッフェから取り分けた前菜

「ニューヨークグリル」キッチンから運ばれたメインディッシュ 「ニューヨークグリル」ブッフェから取り分けたデザート 「ニューヨークグリル」ブッフェから取り分けたデザート

「佳香」の朝食 「佳香」のごはん 「佳香」のコーヒー

「佳香」店内 「オードヴィー」店内 「オードヴィー」カクテルアワーのオードブル

照明が寂しい外観 ほとんど空室 朝食時の「翡翠宮」

 ハイアット リージェンシー 東京(公式サイト)
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