シェラトン都ホテル東京 Imperial Suite East
Sheraton Miyako Hotel Tokyo
2009.03.08(日)
東京都港区
哀-3

インペリアルスイートの寝室
 
バランスの悪いデザイン シェラトン都ホテル東京の最上階には、最高級客室であるインペリアルスイートが2室ある。いずれもラックレートは同じ323,400円だが、部屋の広さや仕様、向きなど、異なる点が多い。ツインベッドの入ったインペリアルスイートウエストは、これまでに何度か利用したが、ダブルベッド1台のイーストにも興味があったので、今回初めて利用してみることにした。

ウエストは140平米で八芳園側、イーストは125平米で明治学院側にある。たかが15平米の差だが、面積も料金と密接に関わる要素なのだから、見逃すことはできない。15平米少なくても、同料金であることに納得がいく設えであるのかどうか、この目でしかと確かめてみたかった。

まず、部屋割りの配分が違う。ウエストはリビング3に対し、ベッドルーム1の面積比だった。イーストは1対1である。いずれもレギュラールーム4室分というのが大雑把な広さだが、部屋の奥行はウエストのある側の方が長い。それでウエストの方が15平米広くなっているというわけだ。

ウエストでは、パーティーにも十分対応できそうな100平米に迫るリビングがあるのに対して、ベッドルームは落ち着いて眠れる適度な広さだった。イーストの方はほぼ半々ということで、バランスはいいようだが、居心地も本当にいいのだろうか。

このスイートへの入口ドアは3箇所ある。部屋番号表示があるメインのドアは、なぜかベッドルームに直接通じている。リビングとパントリーの扉はサブエントランスのようだ。メインの扉を入ると、ベッドルームに続くまっすぐな廊下になっており、廊下の隅から隅までに渡り、幅広いクローゼットが設置されている。

ベッドルームとしては非常に広いスペースを割いているのだが、ゆったりとしているというより、引越し直後か強盗に入られた後のように、あるべきものが持ち去られたとしか見えないほどがらんとしている。200センチ幅のベッドはスイートではお馴染みの最高級マットレスを使い、夢のような寝心地。オットマンを添えているものの、ベッドと窓との間にも空間を埋めるものがなく、なんとも殺風景。小さなスツールや観葉植物くらいあってもいいように思う。

2面の窓の間には折戸式のワイドなアーモアを置いていて、扉の中には旧式のブラウン管テレビと引き出しが隠されている。ベッドの反対側にはデスクと対面して添えたイス、そして窓際にオットマン付のソファという配置。とりわけ部屋の中央付近に何もないのが寂しすぎる。

また、ベッドルームの光源は、ナイトスタンドふたつと、デスクスタンド、フロアスタンドのみ。しかも、デスクとフロアのスタンドが接近しすぎているし、天井はダウンライトすらなく、照明プランが極めて悪い。この部屋は本当にプロがデザインを担当したのか、まったくもって信じがたい仕上がりである。

ベッドルーム付帯のバスルームは、総大理石張り。大きめにカットされた石を使い、模様もそろえており、立派でいいと思う。これらは改装前からのものだ。石の質も今となっては希少品で、磨き上げられた表面にも数多くの化石が見られて面白い。ベイシン部分まではカーペット敷きで、小さなクローゼットを付帯し、バスローブはそこに収納されている。

バスルーム内はレギュラールームのものと同じ面積だが、ベイシンが外にある分だけゆとりがあり、そこにトイレとビデを設置している。しかし、シャワーブースはなく、照明も蛍光灯オンリーとムードがない。洗浄機能付き便座すらない。30万を超す値段のスイートのバスルームとしては、知る限り最低の設備である。

ベッドルームとリビングを結ぶのは1枚の扉。もちろんロック可能だが、なぜかロックはリビング側から掛けるようになっている。一般的にはベッドルームのプライバシーを守りたいのではないかと思うが、こちらをデザインした人は違うのだろうか。ベッドルームにいる誰かに対し、リビングに入ってはならぬとカギを掛けるというシチュエーションなんて、サスペンス映画ででもなければ、なかなかありそうにない気がするが。不思議の尽きない部屋だ。

リビングルームには、ベッドルームとは打って変わり、数多くのファニチャーが配置されている。両方ともがらんどうならばバランスも取れるが、リビングがそれなりに華やかなものだから、ベッドルームが一層寂れて見える。ソファは3種類の形状と素材のものを揃え、ガラスのテーブルを囲んでいる。壁際にはアーモアがあり、こちらの中には無粋なテレビとともに、もっと無粋な冷蔵庫が入っているので、できれば閉じたままにしておきたいところだ。

奥にはダイニングセット。6名が円卓を囲めるように設えてある。一番奥にはコンソールを置き、金色の華やかなスタンドライトがアクセントになっている。他に、天井のくらげちゃんランプ、観葉植物3鉢に設置された間接照明、窓際のフロアスタンドと、光源は充実しているが、やはり配置のバランスは悪かった。

リビング側にはゲスト用トイレとパントリーキッチンを付帯している。ゲスト用トイレも無駄に広く、ベイシンとトイレの間をシャワーカーテンで仕切ってあるというのが風変わり。こちらにも洗浄機能付き便座はない。パントリーは古く、今となっては不要に思われる。全体的に長い廊下や不要なスペースが多く、無駄だらけという印象。これなら改装する際、もっと大胆に手を加えればよかったのではないか。

同じスイートなら、エグゼクティブスイートの方が、価格もリーズナブルで完成度も高い。このインペリアルスイートに値段ほどの価値はまったくない。イーストとウエストを比べても、圧倒的にウエストの方がよくできている。今回はいい勉強になった。

 
ダイニング ダイニングテーブル リビングのソファ

ダイニング奥のコンソール シッティングエリアにはいろいろな椅子がある ダイニングに行くにはソファの前を横切らなければならない

シッティングエリアとアーモア アーモアを開けると冷蔵庫も露出する 旧式のキッチン

ゲスト用トイレのベイシン ゲスト用トイレはカーテンで仕切られている ベッドルーム側入口とクローゼット

ベッドルーム なんだかガラ〜ン ベッド周辺もさみしい

なにか物足りない空間 デスク越しにベッドをみる ベッドからデスクをみる

デスク脇のソファ ナイトテーブルのオーディオ バスルーム側のベイシン

バスルーム前のせまいクローゼット ビデとトイレ バスタブ

 シェラトン都ホテル東京(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 980815 000728 011110 020118 020329 020519 020525 020803 020927 021108 030505 030510 030524 030728 031004 031111 031228 040401 040402 040407 040530 040904 041010 050225 050401 050406 050409 050521 050807 060416 060503 060606 060715 070320 070328 070404 070508 071118 071208 080309 080323 080511 080804 080820 081214 081219 090107 090115


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