庭のホテル Superior Twin Room
 
Hotel Niwa Tokyo
2009.10.18(日)
東京都千代田区
楽-3

夜のエントランス
 
新しい和

2009年5月にオープンしたばかりの庭のホテル。まだ新築の真新しいホテルだが、その歴史は古い。元祖は1935年に当地に開業した旅館森田館。1973年に森田館を閉館改築し、東京グリーンホテル水道橋を開業。2007年には東京グリーンホテル水道橋の営業を終え、2年の改築期間を経て庭のホテルを開業させた。

グリーンホテルの時代が長かったからか、タクシーの運転手には「庭のホテル」と言うより「水道橋のグリーンホテル」と告げる方が理解してくれる。というか、「庭のホテル」と告げても首をかしげられるだけだった。

そもそも、このホテルは大通りよりも引っ込んだ、いわゆる裏通りに面している。周辺には同規模の小さなビルが並んでいるが、これといったランドマークもなく、どこの信号を曲がったらいいのか、よく予習をしておかないと迷うこと必至である。

だが、このわかりにくい奥まった立地が、かえって幸いすることもある。それは静けさと隠れ家的な趣きだ。小さなホテルならではのプライベート感。そして、これまでありそうでなかった和モダン基調の落ち着いた雰囲気は、都会的なシックさを醸す最近のホテルとは一線を画している。

エントランスの風情もなかなか。水の流れが生み出す潤い感や心地よい音。思わず立ち止りたくなるような、木々に囲まれた石畳の小路。それらはほんのささやかな規模ながら、このホテルの在り様を如実に表している。

ロビーは広く開放的に設えている。大きな窓からは植え込みや石組を望み、障子で囲った太い柱は、間接照明の効果で浮かび上がって見える。和の色彩を組み合わせたカーペットや、渋い色調の木目が目にも心地よい。フロントカウンターはロビーの突き当りにあり、複数の係が控えている。

建物の雰囲気に関心していた矢先、サービスではたちまち躓いた。予約が見当たらないというのである。確認をしてくると言った係は、奥に引っ込んだまま、長いこと戻ってこなかった。せっかくのロビーも、佇みたくてそこにいるのと、無駄に待たされているのとでは、居心地に雲泥の差を生む。

やや苛立ち始めた頃、係は戻ってきた。何事もなかったかのように手続きを進めるのには不快感があったが、まあ、まだ経験も浅いことと思い忘れることに。

ルームキーを受け取ったが、部屋への案内はなく、エレベータの場所の説明だけがあった。客室へ向かうエレベータは3基。客室階のエレベータホールは石造りで、照明を抑えた幻想的な雰囲気を持っている。

用意された客室は10階のスーペリアツインルーム。24平米とさほど広くはないが、最新のホテルらしく、さまざまな工夫で快適性を向上させている。客室の形状は正方形に近く、縦長が一般的なホテルルームとは、少々違った印象を受ける。

入口脇にあるクローゼットは小さいが、アイロンセットも用意されており、脇の壁面を一面ミラーにすることで、姿見の役割と部屋を広く見せる効果を併せ持たせている。入口の正面に位置するデスクは、部屋の広さにしてはどっしりと大きい。アクセサリートレーや無線LANを備え、何かと使い勝手はいいが、背もたれが枠だけのイスはあまり気に入らなかった。

デスクサイドの壁面には37インチ液晶テレビが据え付けてあり、地デジ放送が見られるのに、画像はアナログレベルでしかなかった。照明付きのミニバーキャビネットには、空の冷蔵庫、無料のミネラルウォーター、そしてなかなか素敵な日本茶セットを用意している。

窓の大きさは210×155センチ。障子がはめ込まれており、布のカーテンはない。ベッドは105センチ幅のものが2台並び、デュベカバーメイクで、快適なマットレスを使っている。窓側のベッドだと、すぐ脇が障子窓なので、それを蹴ってしまわないよう、注意が必要。

ベッドボードにも間接照明が埋め込まれているが、フレキシブル読書灯はやや使いにくかった。その他の照明も電球型蛍光灯の平板な光なので、せっかくの内装を冷たく見せている。更に、壁紙が平たんで面白くないことに加え、天井にまで同じ壁紙を張ってしまったことで、鬱陶しさが感じられるのが残念。客室の天井高は210から270センチと比較的高めに取られている。

居室はスーツケースを広げる場所もないほど窮屈だが、バスルームは3.6平米とゆったり取られている。トイレとバスタブの間にしっかりした仕切りがあるのも、なかなかよい工夫。またバスタブの幅が80センチと広く、しっかり全身が湯に浸かるのが嬉しい。シャワーも強力で、4種類のタオルはいずれもフカフカで心地よかった。だが、トイレットペーパーの質は著しく劣悪だった。つまらないところでケチらないでほしい。

今回はレストランを利用する機会がなかったが、2店ある飲食店の雰囲気もよさそうである。3階にはフィットネスルームやリフレッシュルームなども備え、ロングステイでも快適。むしろ外国人に人気を博しそうな隠れ家ホテルである。

 
昼の玄関前 正面玄関へのアプローチ 木や石が和を醸す

ロビー ロビー 日本料理店へのアプローチ

エレベータホール エレベータホール 客室階廊下

ツインルーム ベッドからテレビを見る デスクから入口を見る

ベッド ベッドボード ベッド脇に障子が迫る

クローゼットは小ぶり 日本茶セット 窓からの眺め

トイレとバスには仕切りがある 幅広バスタブ ベイシン

リフレッシュコーナー コインランドリーもある ハーブガーデン

 庭のホテル(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 初登場


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