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ウェスティン都ホテル京都 Luxury Suite  
The Westin Miyako Kyoto 2010.01.20(水)
京都市東山区 怒-2

都ホテルからの眺め

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補欠のみでの試合


都ホテルでは、元気溢れる快活なドアマンが出迎えた。体育会系の屈託ないまっすぐな振舞いは、訪れる者を明るい気持ちにしてくれる。到着の上機嫌は、ドアマンから見習いベルに引き継がれても心地よく持続した。まだ、午前10時。チェックイン客はもとより、ロビーにはアウト客もステイ客もいないアイドルタイムだった。

この日は都ホテルで行われるイベントのために部屋を取った。前夜のハイアットリージェンシーに連泊してもよかったのだが、少しでも現場に近い方が好都合と考え、あえて移ることにしたのだった。午前10時に到着したのは、そのイベントの準備が10時より始まるのに合わせ予定したもの。それは担当者にあらかじめ伝えてあった。

見習いのベルは、チェックインタイムまで相当の時間があることを強調し、荷物を預かると言って聞かなかった。だが、もっと聞きわけのない旅慣れた客は、そのままフロントへと直行した。まずはチェックインを済ませたかったのだが、その理由は、このままイベントに突入すれば、もう自分の都合で動く時間は得られない可能性が高いからだった。

フロント係も、あらかじめ到着時間の情報を得て、すでに準備を済ませているだろうと思っていたが、それは甘かった。フロント係にチェックインを申し出ても、まだ時間が早いことを理由に、それを渋った。部屋に入れるのは夕方からで十分だが、荷物を先に入れたり、レストランの部屋付けを可能にしてもらう必要があると説明すると、仕方なくというオーラを放ちながら、端末を操作し始めた。

何とか部屋は手配できるとのこと。更には、南館のシングルルームを用意したが、追加料金を5,000円払えば、デラックスルームに変更できると提案がった。そんな小細工には熱心だが、目の前の客が、今日に限っては特別な立場であることを理解してはいない様子。アップグレードの返答をする前に、責任者を呼ばせた。

メインロビー

マネジャーを待つ間、ロビーを眺めていた。一部が吹き抜けの解放感。ゆったり並んだソファ、ところどころに置かれた植物など、高級ホテルの顔らしい設えである。水が流れ、滝のようなガラスは、このロビーを象徴する巨大オブジェだ。

巨大なオブジェがあるロビー

ロビー周辺には数人のスタッフが配置についているが、全員が見習いで、それを監督する者の姿がない。それは補欠のみでゲームに臨むようなもので、ふざけているのかと問い質したくなる。

現れたマネジャーはとても低姿勢だった。見習いだらけの牧場に乱入した狼に対して、適切な対応をするだけの見識もあるようだ。彼の言葉によれば、イベント主催者からも情報を受けていたし、ハイアットリージェンシーからも後を引き継ぐために連絡があったとのこと。その割には出迎えが粗末であったことをしきりに詫びていたが、もう遅い。

とにかくチェックインをしたいと、到着時から頼んでいるたったひとつの要望を告げたところ、すぐに対応を始めた。最初からそうしてくれれば、狼だって吠えもしないし、ましてや咬みついたりしないのである。

サインを求めるために差し出されたレジストレーションカードを見ると、「Mr.」であるべきところが「Ms.」になっている。これがコンピュータ上で情報と予約が一致しない原因であるようだ。見習いに誤りを指摘すると、未記入のレジストレーションカードを出し、すべて手書きで埋めてくれと言いだした。コンピュータでは書き換えができない状況だと説明されたが、そんなことは客に関係ない。マネジャーに、とにかく会場へ向かうので、何かあれば声を掛けてくれと言い残し、ロビーを離れた。

遅れて到着したイベント会場では、すでに準備が整っており、約2時間掛けてイベントの通しリハーサルが行われた。特に滞りなく進んだことで、ゆっくり昼食を味わう時間を得ることができた。だが、この昼食が本日最後の食事になるかもしれない。しっかりと食べておく必要がある。

スタッフと共に、中国料理「四川」に入った。東京の都ホテルにも同名の店があり、何度か利用したことがあるが、京都のは初めてである。同じ名前でも、雰囲気やメニューには大きな違いがある様子。ここでは飲茶が人気らしい。

飲茶にセットメニューはなく、すべてアラカルト。お任せの場合はひとり4,000円程度で用意できると案内されたが、好きなものを気ままに注文するスタイルにした。一品五百円から千円台の手ごろな皿が多く、飯や麺もある。高級な中国茶と共に味わう点心は、中国にいるような気分にさせてくれ、甜品の「燕の巣とタピオカ入りパパイヤ(2,200円)」はとてもお気に入りの一品となった。

ツバメの巣とタピオカ入りパパイヤ

食事が済んだ頃、マネジャーがルームキーを届けてくれた。荷物はすでに部屋へ入れてあるとのこと。その荷物を整えるために、一度部屋へと向かった。

今回の部屋は最上階、佳水園側のラグジュアリースイート。デラックスルーム2室分にあたる約75平米の面積があるが、建物の形状が単純ではないので、同じカテゴリーでも部屋の広さに多少の差がある他、バルコニーやウォークインクローゼットの有無、バスルームの広さなど、設備内容が若干異なっているようだ。この部屋は最上階という利点があるが、広さやレイアウトの点で「当たり」ではない。

入口から見たリビング全景

客室ドアを入ると、仕切りのないホワイエがあり、その奥にリビングルームが広がっている。ソファセットには大きな2名掛けソファと、ひとり用のアームチェアが並び、4つを組み合わせてひとつとなるテーブルがある。アームチェアやスタンドは昔ながらの村野藤吾デザイン。やや浮いているが、むしろ都ホテルらしさを今でも雄弁に物語っている。

ソファセット

窓際のオーバルデスクに添えられたアームチェアには、赤いファブリックが使われ、華やかに見せている。座面のデザインもユニークだ。電話機はデスク脇のサイドボードに載っている。

デスクとアームチェア

ホワイエにはコンソールデスク、ミニバー、クローゼットがあり、奥に寝室への扉と、バスルームへの引き戸がある。寝室、リビング、バスルームを往来するには、必ずこのホワイエを経由する造りだ。

入口ホワイエ

ベッドルームには、キングサイズのヘブンリーベッドがあり、ライトカラーの木製ベッドボードを添えている。純白のベッドリネンが眩しく映り、包み込むような寝心地は確かに快適だ。

ヘブンリーベッド

窓際にはソファセットが配され、リビングに似たテーブルや、間接照明付きのコンソールを置いているが、リビングとベッドルームのテイストが同じで面白くない。また壁面に装飾がなく、スイートにしては質素で退屈な印象がある。

ベッドルームのソファセット

ベッドルームのテレビ側も、シンプル過ぎて殺風景。ドレッサーを置こうとは思わなかったのだろうか。逆に、このシンプルさを活かすなら、家具の選択もそれに合わせるべきだったと思われる。

ベッドルームのテレビ

リビング、ベッドルームとも同じ向きに窓があるので、眺めは同じ。いずれの窓もわずかに開閉することができる。佳水園側の深い緑と日本建築は、眼にも優しい風景として映る。

窓からの眺め

バスルームはそれなりに広いが、高級という感じは少しもしない。せっかく床やベイシントップに天然石を使っても、壁面はすべてビニールクロス。バスタブも古いままで、シェラトン都ホテル大阪のバスルームとクオリティとしては大差ないのが理由だ。ウェスティンとシェラトンでは格が違うはずだと思うが。

ベイシンとバスタブ

シャワーブースとトイレはそれぞれ独立させているが、内部はセンスのかけらもない。このつまらなさは、オークラの悪趣味を連想させる。ブースの枠組みも安っぽい。

独立したブース

シャワーブース内部は、まるで屋外プール用のシャワーみたいで、とても高級スイートとは思えない。四方がビニールクロスまたは曇りガラスで囲われているので、視界がないのも失敗だ。

シャワーブース

かろうじて高級感を支えているのは、ブルガリの75ml入りバスアメニティと、ふかふかのヘブンリータオル。ヘブンリータオルは2枚だけで、後は通常のホテルタオルが、3サイズ4枚ずつ備わっている。もちろんバスローブも用意されている。

バスアメニティ

ウェスティンエグゼクティブクラブフロアには、専用のラウンジとライブラリーが設けられているが、どちらも狭く、サービス内容も充実しているとはいえない。ライブラリーには書棚があり、明るい窓際にイスやテーブルが並び、静かに自由に過ごせるようになっている。係は常駐していないようだった。

ライブラリー

ラウンジではイブニングカクテル、朝食、リフレッシュメントを提供している。こちらもライブラリー同様、広くはないが、混雑する様子もなく、いつでも静かだった。窓からの景色も見飽きることがない。

ライブラリーからの眺め

ラウンジ

ラウンジでの朝食は、パン、フルーツ、ヨーグルト、サラダ、飲みもの。簡単なコンチネンタルスタイルだが、パンの味はなかなかだった。

ラウンジの朝食

ホテル敷地内には、庭や散策路が設けられており、ホテルに居ながらにして、京都らしい空気に触れることができる。散策路にはアップダウンもあり、散歩に最適。自然も感じられ、高台から眺める京都市街の風景は格別だ。

チェックアウトは手厚く行われた。到着時にこのもてなしがあれば、どれほど印象が良かったことか。フロントに立っているのもベテランと見え、受け答えや身のこなしなど、すべての洗練度が違っていた。同じだったのは、到着時にもいた元気なドアマン。同じく快活に見送られ、気持ちよく出発することができた。タクシーの中では、メインバーで聞いた、誠実で心地よいサクソフォンの音色が、胸にこだました。

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ウェスティン都ホテル京都

このホテルに関する過去のレビュー

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