YKsonic Web | home | concert | kidoairaku>2010 | blog | gallery | profile | contact |

グランドハイアット東京 Grand Deluxe Room  
Grand Hyatt Tokyo 2010.02.13(土)
東京都港区 怒-3

客室内

ARCHIVES

1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
ホテル別リスト
レストラン別リスト
「楽5」「喜5」ベストコレクション
グルメ2010
グルメ2011

放置された注文


ここのところサービスの向上が顕著なことから、快適に過ごせるホテルの筆頭格としての印象を固めつつあったが、よいことばかりは続かない。

まず到着時から危機一髪。タクシーで正面玄関に着いた際、目の前にもちょうど到着したばかりのタクシーが停まっており、家族連れがトランクから荷物を降ろしていた。ベルアテンダントは、タクシーがほぼ同時に停まったことで、同一グループの客だと思ったらしく、荷物をごちゃまぜにカートに乗せ、どこかへ持って行きそうになった。

いつもなら、荷物のことは任せて、安心して先へ進めるのだが、この日に限っては危なっかしかった。もし気付かなければ、もっと面倒なことになっていたかもしれない。別の部屋に納まってしまった荷物を、後から取り返すのは容易ではないのだ。

10階のクラブラウンジでは、顔見知りのマネジャーが出迎えた。どうも言いたいことがありそうである。それを察して話を聞くと、この日は満室のため、今回は部屋のアップグレードが難しい状況とのこと。そのため、予約通りの部屋しか用意できないというのである。

混雑していて、アップグレードしようにも、適当な部屋に空きがないのは事実であろう。だが、どうも納得が出来ない。その目を信じるなと心の声が言っていたのは、言葉とは別の思惑が見え隠れしていたからだろう。

アップグレードできるのは、チェックイン時に空室がある時に限るという規定があることは理解している。だが、グランドハイアット東京は、規定を楯にできるほど、これまで満足なサービスを提供してきたのか。事実はそうでなかった。

係が繰り返す「予約通りの部屋を用意した」という表現も気に入らない。予約通りの部屋で満足させたいなら、過去の失態の穴埋めをきっちりしてからにしてもらいたい。「過去の穴埋め」とは、同じ過ちを二度と犯さないという信頼を与えてくれることを意味する。

一ヶ月以上前に入れた予約に対し、それなりの部屋をブロックしておかなかったのは、そこまでする必要がないと考えたからに他ならないだろう。マネジャーなら、その程度の操作は朝飯前のはずなのだから。

こうした考えを正直に伝えると、できることはするが、できないことに関しては納得して欲しいと言い、以前に同意してもらったはずだと反論した。そのことは覚えているし、ひるがえすつもりもない。だが、今の時点でできるできないを論じているのではない。早い段階で特別な配慮をしなかったことを不満に思っているのだ。

お互い、落とし所がかみ合わないのなら、ここで議論しても何もいいことはない。そこまでしてこのホテルに泊まる必要もないので、今日のところはキャンセルして帰ることにした。それが、こちらから提供できる最大の親切である。

だが、マネジャーも、ああそうですかと送り出すほど愚かではなかった。そうおっしゃらずに、と熱心に引き留め、不機嫌な客を予定通りの部屋に放り込むことに成功したのであった。だが、引き留められるのは、そう気分の悪いものでもなかった。

用意されたのは、20階にあるデラックスツインルーム。21階は最高級スイートとそのコネクティングルームだけしかないので、通常フロアとしては最上階にあたる。

広さは55平米。42平米の標準客室より3割も広いことになっているが、不思議なことにとてもそうは見えない。室内の設備は同等で、広さ以外のメリットはなく、隣が清掃係のステーションになっており、おまけに客室用のアイスマシーンがあるため、全客室中で最も騒音が生じやすい環境にある。

だが、ホテルの特別な配慮で、アイスマシーンだけは停止してくれた。同フロアにある他の客室には、ルームサービスで対応するとのことである。

居室は他の部屋と共通の三角形に張り出した窓があり、ベッド、デスクユニット、ベッドというシンプルな設え。配置もグランドルームと同じだが、部屋の横幅が広い分、ベッドとデスクとの間に十分な空間が残っていることで、窮屈さとは無縁だ。

グランドデラックスルーム

デスクユニットは、角度のあるデスクトップと、半円形の3段引き出しとで構成される。鋭いものとやわらかいものが、互いを引き立てる。またデスクの足にはメタルを使い、木目との対比が感じられる。テレビは32インチの液晶。DVDプレイヤーと別添えスピーカーを備えている。

窓際にはオットマン付きソファとコーヒーテーブルがあるが、ふたりで同時にくつろげる場所はない。せっかく広々しているのだから、イスのひとつでも余計に置いてもいいのではないだろうか。

ベッドからデスク側を見る

ベッドは堅いマットレスがハイアット風。ビシッと張ったベッドリネンはフレッテ製。ベッドボードにも木目を使い、シンプルな中にも温かみを感じさせる。

ベッド

バスルームの入口はベッド脇にあり、2枚のスライドドアを全開させると、ほぼ一体的に使うことができる。部屋にスタンドの類はひとつもなく、ハロゲンのダウンライトと間接照明のみ。明るさに不足はないが、シック過ぎて色気もない。

窓側から入口方向を見る

入口ホワイエは壁も床も天井も木目。陰影のある照明で居室との分離を図っている。途中に姿見があるが、場所そのものが薄暗い。

入口ホワイエ

ミニバーもホワイエにある。天端は天然石製で、日本茶、紅茶、インスタントコーヒーを備える。冷蔵庫にはびっしりと飲みものが詰まっている。グラス類も豊富に用意され、それらの手入れにも抜かりはない。

ミニバー

バスルームも標準グランドルームと似ているが、やはり横幅が広い分、ベイシン室が広く取られている。クローゼットも大きく、スライドドア式。トイレは磨りガラスのスイングドアで仕切っている。

バスルーム全体を見る

ベイシンもデスク同様に斜め。ベイシンボウルは天端からはみ出してるが、これは使いにくい。顔を洗っていると水が飛び散りやすいし、ボウルが浅すぎて何かと不便。そして排水が遅いのが最大の難点。さっさと改装してもらいたい。

ベイシン

バスルームは洗い場付き。バスタブも大きくて深い上、湯を溢れさせられるタイプ。節水とは無縁のバスルームだ。レインシャワーも強力で心地よい。バスアメニティはコーセーの品物に。ファッションブランドのトワレのような甘く官能的な香りがする。

バスタブ

トイレの中も、バスルームと同じ天然石仕上げ。照明はハロゲンのスポットだ。トイレの向こう側には、結構広いデッドスペースがあるようだが、どうなっているのだろうか。パイプスペースにしては広すぎるが、実際のところは謎だ。

トイレ

夕刻のカクテルアワーは、ラウンジではなく「オークバー」を利用するように言われた。案内通りに出向いてみると、薄暗いカウンターに案内され、クラブフロア専用メニューを差し出された。飲みものを注文すると、「チャイナルーム」からつまみが運ばれてきた。点心など、なかなかいい味のものだった。

だが、「オークバー」は、今となっては数少ない喫煙の場として、愛煙家たちがこぞって煙をくゆらせている。タバコのみならず香りの強い葉巻きも。煙探知機があれば、たちまち警報が鳴りそうな煙。煙いというより、モックモクという表現がふさわしい。

夕食にはルームサービスで鉄火丼を注文した。係は慇懃な口調で「30分から40分ほどお時間をちょうだいします」と言った。

しかし、待てど暮らせど料理は運ばれてこない。1時間半が経過し、どうも様子がおかしいと感じたので、係に電話をしてみた。すると、そんな注文は受けていないと言われた。今までのことは幻覚だったのか。いくらなんでもそこまで老いぼれてなどいない。責任者にすぐ部屋まで来るよう伝えさせ、電話を切った。

責任者が顔を見せるまでは、少々時間を要した。尋ねれば、何が起こってたのかを検証していたのだという。まずは急ぎ参じて、挨拶だけでもしてから調査に入るべきではないか。

それはさておき、事情を聞くと、要するに調理まで注文が伝わっていなかったらしい。この日、通常ルームサービスの調理を担当する「フレンチキッチン」が貸切のため、代わりにバーラウンジ「マデュロ」の厨房で調理していたとのこと。伝達の過程に不備があり、注文が漏れたのだそうだ。

そこに、チェックイン時に「予約通りの部屋」を強調して不満を買ったマネジャーも駆け付けたので、その時の気持ちを伝えた。

10回の滞在のうち9回まで、このようなみっともないミスを重ねるのを見てきたのだから、この程度の不手際に今更驚きもしない。だが、こうした事柄は、滞在中のすべてのお客がもれなく分かち合って体験していることなのか。まさかそうではないだろう。何度も何度もつまらないミスで時間を無駄にし続けてきた立場で、よく規定通りのサービスしか提供しないなどと言えたものだ。これがグランドハイアット東京の現実である。

そこまで言われて、やっと目が覚めたらしく、何をもって挽回すべきかを考え始めた様子。通り一遍の対応ではなく、特別な配慮が必要、いや特別な配慮で気分よく過ごしてもらいたいと考えてくれれば、あとはその男の力量を信じていればいいことだ。

さしあたり、ルームサービスの食事は改めて調理させてくれというのだが、もう日付が変わる時間も近い。もはや食欲も消え去ったが、どうしてもというので、料理が届くのを待った。届いた鉄火丼はとても美味しそうだった。

ルームサービスの鉄火丼

その後、向かいの部屋がにわかに騒々しくなった。若いギャルたちが集まって盛り上がり始めた様子。フロントに電話を入れ、収拾がつかなくなる前に対応してもらった。その時、15階のスイートがキャンセルになり空きが出たので用意できると言われたが、面倒なので辞退した。

クラブラウンジで朝食を済ませ部屋に戻ると、上階からドスドスと重機で作業しているような激しい音が聞こえてきた。窓清掃マシーンでも作動させたのだろうか。チェックイン直後から上階の音は気になっていたが、それは主にフローリングを歩く靴音。だが、これは違う。

またフロントに電話をして、状況を説明すると、調べてから折り返すとのことだった。しばらくして電話が鳴った。係が言うには、特に変わった様子はないらしい。そして「また何かありましたらお電話下さい。」と締めくくった。

この対応には違和感があった。何かあったから電話をしたのに、「何かありましたら電話をください」とはどういうことか。次回も特に変わった様子はないと答えるだけなら、電話する意味がない。

このことからも、係が自分中心の発想で考えていることがうかがえる。客からの要望に応えたのか、問題は解決したのか、それを検証せず、主観だけを示しておしまいにするなんて、悪徳刑事の事件処理のようなものである。言葉だけは慇懃だったが、そんなバカ丁寧さよりも、迅速なアクションが求められる。

追って、昨日からお馴染みのマネジャーからも電話が掛かった。先ほどの騒音は、複数のベルアテンダントが、大きな荷物を運んでいた時の音だとのこと。階下に迷惑が及ばないよう、努めて静かに作業をするよう伝達してあったのに申し訳ないと、さかんに謝っていた。

そんなシンプルな指示でさえ守ってもらえないとは、悲しいマネジャーである。だが、それも現実。気取ってばかりで、実はヘマばかり。カッコ悪いことこの上ないではないか。

昼食は寿司「六緑」で。クラブレセプションで予約してもらったが、単なる予約作業をしただけで、特別なフォローはなかった。用意されたのは一番狭い窮屈な席。しかも、隣には騒々しい子ども連れ。そうならないように、クラブレセプションに頼んでいるのだが。まったく役に立たない。

寿司店

注文したのは昼食の寿司会席6,930円。写真は、左上から時計回りに、先付、造り、煮物、焼物。

料理

にぎり寿司は八貫。赤だしを添えて。想像よりもずっと美味しかった。グランドハイアット東京の日本料理と中国料理はなかなかいい。値段も手ごろだ。

寿司

水菓子。それぞれの器も、見た目、感触で楽しませてくれる。味は大満足だが、マネジャーの態度は横柄だった。

水菓子

チェックアウト時、またチェックイン時のマネジャーが顔を出し、しっかり見送ってくれた。求めているのは、あっぱれな仕事ぶり。血の通った心遣いを持って、素晴らしいと言わしめて欲しいと言い残し、車を走らせた。

 ▲このページの先頭へ  

OFFICIAL WEBSITE

グランド ハイアット 東京

このホテルに関する過去のレビュー

030502 031031 031130 060211 060624 070103 070210 071229 080322 090103 090201 090307 090502 090801 090815 100101