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コンラッド東京 Deluxe Bay View Suite  
Conrad Tokyo 2010.03.23(火)
東京都港区 楽-4

ベッドルーム

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ルームサービスのガッカリさえなかったら


誕生日を静かに過ごしたいと思い、コンラッドに連泊することにした。ここは目に見える部分はモダンでクールな趣きだが、人の温かさを感じさせてくれるスタッフが多く、目に見えない部分にこそ真価があるホテルだと思っている。

チェックインを済ませたのが午後2時過ぎ。ランチタイムには遅く、あまり腹もすいていなかったので、エグゼクティブラウンジで振舞われるアフタヌーンティをつまんでランチ代わりにした。平日だからか、日中のラウンジはほとんど人が立ち寄ることもなく静か。誰もいないラウンジは居心地が良く、珍しく長居をしてしまった。

エグゼクティブラウンジ

窓際の席はビルの谷間を覗くようにして置かれ、恋人たちが座るのを待ちかまえているようだ。きっと夕刻のカクテルタイムには、ロマンチックなムードに包まれることだろう。

エグゼクティブラウンジ

客室のテーブルにはチョコレートやフルーツといったウェルカムアメニティと共に、予約係のひとりが差し入れてくれたボックス型のフラワーアレンジメントが置かれていた。紫を基調としたアレンジは、ホテル同様に都会的だが、やさしい香りがした。

今回の客室は初めて利用するデラックスベイビュースイート。最も広いロイヤルベイビュースイートに次ぐグレードで、同じカテゴリーのスイートは4室ある。そのうち、最も狭いタイプだと思われるが、それでも十分に魅力的なスイートだ。

面積は108平米。窓一枚のスパンは12平米に値するので、窓9枚分で108平米という計算である。これは、72平米あるシティスイートやベイビュースイートの1.5倍の広さに相当する。標準客室の内装を基本とするシティスイートに比べると、ハイグレードな内装が施されており、特別スイートらしい設えだ。

入口ドアは片開き。入ると中央がカーペット敷きになったホワイエがあり、大きなアートワークやコンソールテーブル、オブジェのように置かれたイスとテーブルが出迎える。ホワイエからは、リビング方向、ウォークインクローゼット方向、どちらへも通路があり、脇にはコート用クローゼットとゲスト用トイレを備える。

エントランスホール

リビングもベッドルームも、基本的な床の造りはホワイエに共通しており、周囲がフローリングで中央部分がカーペット敷き。カーペットには銀糸のシルクを使っているのか、華やかな印象だ。

リビングには、中央にゆったりとしたソファセットがあり、窓際にもテーブルとふたつのイスを置いている。モダンでシャープな雰囲気でありながら、深いくつろぎを感じさせるデザイン性は見事。すべての家具やアートから主張が感じられるものの、決して調和を乱すことがない。

デスクからリビングを見渡す

ただ、これだけのスイートでありながら、ダイニングとして適した場所が用意されていない。どのイスやテーブルも食事には低くて不向き。かといって、ルームサービスをワゴンのまま運ばれても、ちょうどいいイスや場所がないのは困ったものだ。

リビング

壁に備えられた収納キャビネットは、なかなか興味深い造りと内容である。上下に滑らかにスライドする戸は、常に表面の半分を隠すか見せるかしている。

リビング

中央にはテレビが収まっており、最上部にボーズスピーカーを設置しているが、ネジが弛んでいるためか、スピーカーはいつも首を下にうなだれたままだった。キャビネット下段は収納になっている。

リビング

また、キャビネットの間接照明も実に効果的。スイッチは室内灯と連動しており、この部分だけをオン・オフすることはできない。

リビングのキャビネット

グラス類はシャンパン、ゴブレット、タンブラー、ロックグラスの4種類が、4つずつ用意され、背景の間接照明に照らされて、これ自体が装飾の役目を果たしている。

キャビネットのグラス

ミニボトルやワインも同様の効果を示しているが、冷蔵庫は中身を考えるとやや小さすぎたように思う。缶が積み上げてあったりするので、不用意に開くと崩れそうだ。また、持ち込んだものを冷やす空きスペースはまったくない。

冷蔵庫内

ワークスペースは、リビングを見渡す位置にあり、艶やかな大型デスクを据えている。背後にはカウンター式の収納ラックが設けられ、引き出しの中まで同じ木目の艶仕上げが施されている。天井が高く、デスク周囲に無駄なものがないので、いつもより良い考えが浮かびそうなスペースだ。

デスク

一方、窓際からは東京湾の見事な眺めが広がる。眼下には浜離宮の緑も見え、都会的でありながら自然美を感じることもできる。窓際の椅子はベロア風のファブリック。床のフローリングとのコントラストがいい。

窓際のソファ

ソファの後ろにあるアートワークは、縁の一部が飛び出している。これもデザインのうちであることはわかるのだが、問題はソファとの位置関係だ。そうとはしらずにソファに勢いよく腰かけ、頭を背もたれに委ねると、思わぬ怪我につながりかねない。

キラーアートワーク

ベッドルームはリビングとバスルームに挟まれ、大きなゆりかごのように全体を囲われている。リビングへ通じるドアが2枚、バスルームへ通じるドアが2枚、いずれも同じデザインのフレンチドアで、すべてを閉じれば、ベッドルームは完全に独立する。大型のミラーを設置したシンプルながらワイドなドレッサーも印象的。

ベッドルーム

ベッドはキングサイズ。このタイプのスイートにはスローケットを使わず、真っ白なベッドメイクに棒枕をひとつ添えて、シンプルに仕上げている。ベッドボードはレギュラールームのものと共通のデザインだが、こちらの方がひときわ立派に造られている。

ベッドルーム

窓際にはカウチには舌足らずなレザーソファとともに、望遠鏡が設置されている。一応機能しているようだが、星を眺めるには東京の空は明るすぎる。せいぜい月か、浜離宮の庭だろうか。

ベッドルームのソファと望遠鏡

十分な収納を備えたドレッシングルームは、バスルーム奥に位置し、こちらも完全に独立している。天然石のバゲージ台、レザーのスツールを添え、単なる収納スペースにとどまらない美的空間でもある。引き出しの中も、ほこりひとつなく、実に美しい。

クローゼット

天然石造りのバスルームも窓に面しており、リビングやベッドルームと同じ眺めが得られる。ベイシンはダブル。大きなサークルミラーは、コンラッド東京を象徴する設備のひとつだ。

バスルーム

バスタブは窓際に設けられており、脇に樽型のスツールを添えている。このスツールは非常に重く、簡単に動かすことはできない。これだけ窓に近いバスタブなら、湯に浸かりながら景色を眺めたいところだが、基本的には窓に背を向けるように設置されている。

窓際のバスタブ

浴室テレビはベイシン脇とバスタブ脇の2か所に設置されているが、それぞれのテレビで別の番組を観ることはできない。また、バスルーム全体に床暖房が敷かれ、これは必要に応じてオン・オフが可能になっている。

シャワーブース越しにバスタブを見る

シャワーブースは3方向をガラスで囲われた開放的なスペース。扉が両サイドに設けられているのもユニークだ。トイレはベイシン脇にあり、磨りガラスで仕切られている。

バスタブからトイレ方向を見る

コンラッド東京のレインシャワーは、数あるレインシャワーの中でも最も心地よい。それは強烈な水流が垂直に、しかも高い位置から落ちてくるように設置されているからである。最近ではレインシャワーをあちこちで見かけるようになったが、水が四方八方に飛び散ったり、水の筋が細かったり、雨とは似ても似つかないようなニセモノがほとんどだ。

レインシャワー

バスアメニティはアッカカッパ。標準ルームの品揃えにマウスウォッシュと基礎化粧品が加わっているが、さほど変わり映えしない。

バスアメニティ

滞在中、何度か屋内プールに出向いたが、平日だからか、ほとんど人と出会うことはなかった。以前、アームフローやビート板が目立つ場所に並んでいて、せっかくの雰囲気を壊していると指摘したことがあるが、それらは目立たない位置に置かれるようになっていた。

屋内プール

ルームサービスを利用した時のこと。運ばれてきた料理は冷めきっていたので、責任者を部屋に呼んで、どういう状態を指摘しているのかを見てもらった。やってきた「キャプテン」と称する韓国人は、現実を見ても詫びることをせず、あれこれと言い訳を始めた。それが原因で、単なる「指摘」が「怒り」に変わった。

温かい状態で提供されるべきもの(具体的にはステーキ)が冷たいのだから、言い訳など必要ない。きちんと頭を下げてさっさと作り直せばいいのだ。そう言うと、しぶしぶ退室していった。

やがて届いたのはステーキだけ。一緒に食べるつもりで注文したスープや野菜グリル、パンといった添えものは、最初に運んで来た時のものを食えということなのか。パンなど固くなっているし、他の品も冷めきっている。

食に関わる仕事をするのであれば、「お客様に美味しいものを召し上がっていただきたい」という気持ちを持つべきである。だが、そうした心はまったく感じられなかった。これさえなければ、パーフェクトな滞在だったのだが、残念。

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コンラッド東京

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