1/14 所沢ミューズ

1月14日は所沢労音主催の演奏会がありました。西武新宿駅から通勤電車に揺られること40分。日曜朝の下り路線に乗客はまばらで、低い太陽からの日差しが車内を暖かく照らす中、ふと他の乗客を見ても、だれひとりスマホに顔をうずめるでもなく、心地よさそうにのんびり腰を掛けていて、昭和な風景だなぁと思いました。

会場は所沢ミューズ。三つあるホールのうち、中サイズのマーキーホールです。これまで大と小では演奏したことがありますが、中は初めて。それぞれに趣きの異なる個性があるので、とても楽しみです。

楽屋口では主催者の皆さんが並んで出迎えてくれました。初めての会場では入り口がどこか迷うことも多いので、とてもうれしい出迎えです。すでにエレクトーンが到着し、運送の兄ちゃんたちが待っているとのことで、楽屋に寄らず舞台に急行。コートを着たままスタッフに挨拶し、そのままセッティングという失礼を。なんとなくその流れでリハーサルに入りました。

マーキーホールの客席はスロープ状の1階客席と、アールを描く2階、3階席を持つユニークな形状。デザインや設備は近代的ながら、クラシカルな劇場からモチーフを得ている感じで、舞台に立つとシェイクスピア劇を演じる俳優にでもなった気分を味わえます。

その割に、客席から舞台を見ると至ってふつう。舞台の設備も割とふつう。もっと面白い仕掛けがあるのではと勝手に想像していたので、ちょっと肩透かしでした。音響面では、ごく短い間だけボワンと豊かに響きますが、後を引かずにシュッと消える感じ。ボワン-シュッ。音数の多いところは膨らんで濁りそうで、フレーズを響きの中で引継ぎたいところは伸ばした手が届かない時のような歯がゆさがあり、感覚をつかむのに苦労しました。

リハーサルとして与えられた時間をフルに使って、当日の演奏曲を一通り弾き、加えて2月10日リサイタルの演目も。本番に体力が尽きては困るので、力も気持ちも抜き気味で通しました。開演が午後1時なので、昼食も抜きですが、朝は大好きな栗パンをふたつ食べて来たので大丈夫です。

開場すると、あっという間にホール内が賑やかになりました。文字通り、賑やか。大阪のおばちゃん的パワーを感じます。クラシックでいいのかなぁと一瞬不安になりました。

5分遅れで開演。照明が決まり、ステージへ進むと歓迎の拍手に包まれました。まだ賑やか。歌謡ショー的な、ゆるりとした雰囲気です。私はもったいぶらずにすぐ楽器に向かい、数秒と経たずに演奏を始めました。

最初はベートヴェンの5番。場内のざわめきはすぐに収束し、音楽への集中力に取って代わりました。1曲終わると、拍手とともにざわめきが。初めてエレクトーンのクラシック演奏に触れる方々が多いということもあるでしょうけれど、皆さん、気取らずに素直な反応をしてくれているのですね。嬉しいです。

この雰囲気になれば、もう大丈夫。私は音楽に集中し、聞こえてくる名曲をお客様と一緒になって堪能します。ただ、本気で弾くと椅子が滑ること、舞台が揺れること(床の下は空洞らしいです)など、リハーサル時に本番同様に弾けば気づいて対応できたことを見過ごしてしまったために、ちょっと苦労しました。

ステージで別の演奏会の宣伝をすることはまずない私ですが、今回ばかりは2月10日のアピールもさせていただきました。もう一度聞きたいと思ってくださるといいのですが・・・

終演後は所沢労音の事務所で、交流会を設けていただきました。肩が触れ合う距離でテーブルを囲み、手作りのお料理を楽しむ。そして歓迎の車人形。こうした心の触れ合う集まりに、日本の伝統芸能は本当にぴったりです。皆さんから感想や質問がたくさん飛び出し、クラシック音楽とエレクトーンへの理解を深めてもらえたことがとてもよく伝わってきました。

次は2月10日のリサイタル、そして、2月12日の加古川第九と続きます。ぜひ皆さまご来場ください。お願いいたします。