10/20 名流祭大正琴大会

ヴィオリラという楽器をご存知ですか?

大正琴をベースに工夫を凝らした21世紀生まれのこの新しい楽器は、ピックで弾くだけでなく、ヴァイオリンのように弓を用いたり、スティックで叩いたり、様々な奏法ができます。

一般的な弦楽器と違い鍵盤が付いているので、比較的容易に演奏することが可能ですが、他の楽器同様、その奥行きは深く、熟練すればするほど表現力が増していきます。

私がヴィオリラに初めて出会ったのは約10年前。渋谷のSongs from my Heartの前身となった銀座の演奏会で、ヴィオリラの若手演奏家と数曲のアンサンブルをした時のこと。よく知られたメロディを奏でながらも、今まで聞いたことのない新しい味わいの音色に、和でも洋でもない不思議な魅力を感じました。

あれから10年。またヴィオリラと共演する機会が巡って来ました。でも、今回は30台以上のヴィオリラが集まった合奏団とのアンサンブルです。

その名もヴィオリラ・サウンド・オーケストラ。メンバーは全員女性で、年齢はさまざまですが、共通点は、皆さん好奇心旺盛で、熱い心を持ち、情に深いこと。

このグループは、大正琴の大会に参加し続け、毎回新しいテーマにチャレンジしており、今年はぜひエレクトーンと一緒にと声を掛けてくれました。

由緒正しき全国の流派が揃う大会は、今年で第26回を数え、その名も「名流祭」。襟を正してチントンシャンと行くべきで、バターくさい音楽など場違いと眉をひそめられないかと気がかりでしたが、ヴィオリラの演奏は毎回大人気なのだそうです。

さあ、エレクトーンと共演すると決まったら、演目は何にするか。メンバーに希望を出してもらい、オペラの名曲をテーマにすることになりました。更に第九もやってみたいとなって、第九はオペラじゃないけどまあいいかと、全7曲を取り上げることに決定。

それを私が編曲し、スコアを作成するのですが、まず私がしなければならないのは、ヴィオリラの研究です。知らない楽器でも奏法や音域をヒントに編曲することは可能ですが、それだけでは作品と楽器の魅力を最大限に引き出すには不足です。楽器の特徴、特に得手不得手をしっかり把握して、演奏効果の高い編曲を目指しました。

スコアが仕上がってから、何度か練習会に私も顔を出しました。実際に音を出してみて、不都合があれば改善したり、よりよい表現があれば取り入れるなどの修正をするためです。

細かい修正はたくさんありましたが、全体としては思惑通りでした。技術的ににも非常に高度で困難な部分が多くなり、時折泣き言らしきつぶやきが聞こえてくることも。「これを弾きたいとおっしゃったのは皆さんです。私じゃありませんよ!」と冗談半分言い放てば、意地でも食らいついて猛練習に励んでくれる皆さんの頼もしいこと。

この様子なら、10月20日の名流祭では、きっとよい演奏になります。当日はヴィオリラの大合奏に合唱団も加わり、おおいに盛り上がることでしょう。ご期待ください。

第26回 名流祭 大正琴大会

2018年10月20日(土) 12:30開場 13:00開演

会場:浅草公会堂 東京都台東区浅草1-38-6 TEL:03-3844-7491

入場料:一般2,500円/こども(3才〜中学生)1,000円/当日は各500円増

チケットご希望の方は、メールでお申込みください。mgt@yksonic.com

ヤマハ ヴィオリラ サウンド オーケスラ+いつものコーラス隊、塚田のコックさん合唱団、サテンドール有志、神田将(エレクトーン)

演奏曲目/
・ビゼー作曲:歌劇「カルメン」より 第1幕への前奏曲、ハバネラ、ジプシーの踊り
・プッチーニ作曲:歌劇「トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ
・ヴェルディ作曲:歌劇「椿姫」より 乾杯の歌
・ベートーヴェン作曲:交響曲第9番「合唱付」第4楽章より
・ヘンデル作曲:歌劇「セルセ」より オンブラマイフ

*私たちの出番は15:00〜15:30にスタート見込み、終演は16:00の予定です。