二胡とエレクトーン奇跡の出会い at MIMOCA

2日に名古屋港でにっぽん丸を下船した後、ツァオレイとともに新幹線と瀬戸大橋線を乗り継いで香川に来ました。ツァオレイにとって、今回が初めての四国上陸。その瞬間を実感してもらおうと思っていましたが、瀬戸大橋線ではぐっすりモードのツァオレイ。その後も海を渡ったという認識がないまま、美術館でのコンサート当日を迎えました

当日の午前中は自由時間。午後から合流してまずはランチです。ツァオレイに何を食べたいか聞くと「うどん麺」とのことだったので、本番の讃岐うどんを食べに。

うどんにはツァオレイも満足してくれましたが、やはり四国を実感してもらわなければコンサートが開演できないと思い、海ほたるに行って、瀬戸内海と瀬戸大橋を間近で眺めてもらいました。

穏やかな日差しにタワーも美しく見えます。ツァオレイはあちこちでシャッターを切っていました。海辺の風景が気に入ったようです。昨日はあの橋を渡ったんだよと説明すると、今いる場所をなんとなく理解してくれました。

昔ながらの塩づくりが実演されていたので、その様子をしばらく見学。そしてフルーツとパフェが美味しい店で食後のスイーツを。私はマロンショートケーキのパフェ。栗と赤いベリーのコントラストがユニーク。

ツァオレイはコーヒーだけかと思いきや、柿と抹茶のパフェを頼んでいました。抹茶テイストのドリンクやスイーツは、今、上海でも人気が高いそうです。

ちょうどいい時間になったので、コンサート会場となる丸亀の駅前美術館へ。ふつうの駅の前に、いきなりデザインアート感あふれる建物があって、とても不思議な風景に見えます。

前庭にも大きなアートオブジェが点在していますが、その向こうに駅舎が見えているという、面白いロケーション。建物はシンプルながらも、ディテールまで調和のとれた秀作。大胆な空間配置も魅力的です。

最上階まで一直線に続く階段を上りきると、滝のあるルーフトップスクエアがあります。そこから空を見上げると、迫り出した壁が額縁のように空を切り取って、いつもとは違う表情の空を楽しめます。

ミュージアムホールは、ゆったりとした座席が170配置された、横広い空間。建物全体のデザインコンセプトを受け継いでおり、クールで引き締まったカラースキームです。

今回は、音響や照明もスタッフの友人や知人たちが手伝ってくれました。皆で和気あいあいと準備を進めていくのは楽しいものです。セッティングはシンプルイズベストの精神で。2本のスピーカーと、小さなミキサーのみ。これが自分たちで音楽をコントロールする上でもベストな方法です。

音が出たところで、なんとなくリハーサルにシフト。軽く合わせながら響きや音量を確かめていきます。程よい響きもありますし、互いのバランスを取りやすかったので、安心して表現に集中できました。

ところが、私は下船後もまだ揺れているような錯覚が抜けず、頭がシェイクし続けています。船内で違和感なく演奏するために、船上の環境にチューニングし過ぎました。本番には抜けてくれるといいのですが。

それ以外は何も問題なくリハーサルを終えられたので、本番に備えて身支度を。楽屋は舞台袖にあるのですが、楽屋から出るには舞台と客席を通らなければならないという不思議な構造のため、開場時間までには準備を済ませます。開場したらトイレに行くこともできませんし、楽屋に鏡も洗面台もないので、とても不便でした。

開場時間には多くのお客様が並んでくれていました。会場内が賑わってくると、コンサートへの気分も盛り上がってきます。予定より3分遅れて開演。まずは私のソロから。1曲目から、今夜はいい演奏が出来そうな予感。お客様の雰囲気も申しぶんありません。

エレクトーンソロが2曲終わって、二胡のソロ。今回は二胡演奏を始めて聞くお客様もたくさんいらっしゃったので、二胡の構造や聞きどころなどを話題にしながら進めます。

プログラムはダイナミックな曲、繊細な曲など、次々とカラーが変わっていく感じ。アンサンブルあり、それぞれのソロありと、バラエティに富んだ内容でお届け。いつもより激しいのは激しく、切ないものは切なく、コントラストのはっきりした演奏ができました。

アンコールでは、私の弟子がツァオレイと共演。まだ学生ですが、プロの演奏家とアンサンブルをすることができ、またとない素晴らしい経験となりました。これでまた自信を深め、大きく成長してくれることでしょう。

休憩なしで100分のコンサートでしたが、あっという間。お客様は音楽をたぷり深呼吸して、とてもいいお顔で会場を後にしていました。自分がこれまでに出演したコンサートの中でも、今回はベストの部類だったとツァオレイ。企画から運営までボランティアで支えてくれたスタッフの皆さんあっての成功です。

この熱狂的なステージをもっと多くの方々に体験してもらえるよう、互いに磨きを掛けながら、チャンスをつかんでいきたいと思います。