新潟テルサでオペラ

午後の新幹線で新潟に向けて出発し、明日からのカルメン公演会場となる新潟テルサに入りました。1500人規模の大ホールは4月の上海以来久しぶり。スケール感のあるホールにいるだけで、気分が高揚してきます。

オペラのキャストたちは、今日も新潟の別会場で2回の公演を実施。そちらはピアノ伴奏だったので、私の出番はありません。キャストたちとは新潟テルサで集合する段取り。明日から加わる私とパーカッショニストは、一足先にホールに着いて、音響の仕込みをすることになっていました。

しかし、プロデューサーを始め、主要スタッフは今日の公演に同行しているため、ホールには決定権のあるスタッフが不在でした。こうした環境では、物事はなかなか思うようには進みません。

結局、集合するまでほとんどなにも出来ず。時間を無駄にしたくはないので、ひたすらエレクトーンで稽古を重ねました。演奏はエレクトーンの他、ピアノとパーカッションが加わった3人編成。当初はオーケストラピットを使用する予定だったのが、収容人数の関係で舞台花道を使うことに。

演奏には不都合ありません。ただ、この位置だと音のバランスを整えるのが極めて困難です。ピアノは本体から(つまり舞台左側から)、歌は舞台から、エレクトーンは左右スピーカーからと、まったくまとまりのない状態。用意されたスピーカーも、1,500人に向けてPAするには明らかにパワー不足で、「ひとりオーケストラ」とは程遠い印象です。

どんなに腕のいいエンジニアがいても、この環境でまとまりのある音楽を作るのは無理。明日までに別のスピーカーを手配するということで、今日のところはこのまま凌ぐことになりました。

全員が到着して活気づいたホールでは、照明の仕込みや大道具の搬入が進んで、舞台は徐々にオペラらしくなっていきます。

あとは音。私の数千ステージでの経験と知識をもっと活用してくれればと歯がゆい思いもありますが、立場上、なかなか踏み込めません。さて、いったいどうなるんでしょう。中国公演で体験した以来のピンチです。でも、コンサートは不可能と思われた中国公演ですら、危機を乗り越えて成功したのですから、明日も何とかなるに違いありません。