ピアノコンチェルトの初リハーサル

せんくら最終日に予定されている米津真浩さんとのアンサンブルに備え、エレクトーンシティ渋谷でリハーサルをして来ました。米津さんと会うのは3月以来。笑顔に変わりはありませんが、外国での研鑚を終えて戻った直後だけに、今までとは違ったものを感じさせます。

先週はカルメンの音楽稽古をしたリハーサルルームに、今日はラフマニノフのピアノ協奏曲が響きます。挨拶もそこそこに、早速合わせてみました。

40分後、一通りの演奏を終えましたが、初回は互いに探り気味。米津さんは私を気遣い、自分を押し殺した演奏をしていた様子です。

もっとソリストらしく好きに弾いて構わないし、私はそれを期待していると伝えて2回目。勢いが増し、音楽にうねりが出て来ました。私もその方が合わせやすく感じます。

小休止の後、3回目。互いに緊張も解け、演奏以外のところにも気持ちを注ぎながら、本番での注意点を探ります。必要以上のアイコンタクトは避け、互いが存在しないかのような感覚の中で、絶妙なアンサンブルを紡ぐという、パラドックス的なアプローチが、少しずつ形になって来ました。

なぜ互いを意識し過ぎないようにするかというと、単純に1対1の演奏にした場合、コンチェルトが持つ壮大な世界観が損なわれてしまうから。それを、ふたりきりならではのブレのないブレス感で包み込みます。

ふたりというミニマムなアンサンブルを、一度擬似的にオーケストラサイズに拡大してから、ふたたびミニマムに集約することで、コンチェルトの醍醐味を再現するのが狙いです。これもまた当日が楽しみになってきました。